2023.09.27
ジム通い挫折した医師考案「30秒スクワット」|1カ月でお腹周りが2.7センチ減った男性も…
「キング・オブ・エクササイズ(エクササイズの王様)」といわれるほど、スクワットの健康効果には目を見張るものがあります(写真:kei.channel/PIXTA)
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ジムに行けば運動できるはず。一念発起したのに、途中でなんとなく行かなくなってしまったことはありませんか?
「私自身、メタボ体形をなんとかしようと気合いを入れてジムに通ったのに、今日は仕事が遅いから、着替えるのがめんどうだからと、気がつけば足が遠のいていました」と言うのは、フィットネストレーナーとしても活躍する整形外科専門医の吉原潔さん。挫折せずに続けられるのはもちろん、短期間で効果を感じられる運動はあるのか、吉原さんの著書『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』より、本文を一部引用・再編集してご紹介します。
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自覚症状がないぶん厄介な運動不足
「健康のためには、運動をするといいですよ」
そんなこと言われなくても、きっとご存じですよね。では、あなたは今、十分に運動をしていますか?
スポーツ庁が発表している令和4年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、運動不足を感じている成人の割合は、76.2%にも上ります。
健康のためには運動がいいとわかっていながらも、つい運動不足になりがちだということがわかります。なぜなのでしょうか?
例えば、食べる量が少なければ、すぐにお腹が減ります。でも、運動不足だからといって、すぐに目立った体調の変化は感じないものです。
運動不足だとわかっていながら、そのまま放置しがちなのは、実感として運動不足の害を感じにくいからかもしれません。
しかし運動不足がもたらす害は、肥満や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の発症や、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる疾患にかかるリスクの増大など。実は、運動不足を笑って済ませるのは危険なのです。
しかも気づいたときには深刻な事態になっていることが多いというのも、運動不足の非常に厄介な点です。
ですが知っておいていただきたいのは、これらは、運動をするだけでもみるみる数値がよくなる場合が多いことです。もちろん薬でも数値はよくなりますが、服薬はあくまでも重症な人、身体的な原因で運動ができない人や、運動でよくならない人に限るのが理想と考えています。
血糖値が高いからこの薬を、今度はコレステロールや中性脂肪値が高いからこの薬を、今度は血圧が高いからこの薬を……。これを続けていたら、何種類もの薬を服用することになってしまいます。薬代もかさみますし、その都度医療機関を受診する手間や医療費も馬鹿になりません。
数値をよくできるのは運動、病気の根を断ち切ることができるのも運動なのです。
スポーツジムは挫折する理由だらけ
かく言う私も、実は長らく運動不足でした。学生時代は筋トレをしていたのですが、医師になってからは忙しさにかまけて運動はゼロ。
その結果、50歳になったころにはお腹がポッコリ出た、いわゆる「メタボ体形」になってしまったのです。当然、健康診断の数値は悪くなり、中性脂肪値は正常値の2〜3倍ありました……。
ある日、鏡に映る自分を見て、これはまずい! そう思い、スポーツクラブに入り、筋トレを再開することにしたのです。
ところが、です。一念発起はしたものの、「今日は仕事が多くて帰りが遅くなったから、スポーツクラブには行けない」などと言い訳をして、足が遠のきがちに。
もう少しなんとかならないか……。言い訳の原因がどこにあるのか考えたところ、私が毎日運動できないのは「運動のハードルが高い」ということでした。
それまでは、スポーツクラブに行かないと運動をした日としてカウントしていませんでした。でも、仕事の合間を縫って、スポーツクラブに行って、着替えて、トレーニングをして、また着替えて、帰宅して……。どうしても、おっくうに感じてしまいます。
実は、スポーツジムには挫折の原因になる理由がたくさんあるのです。そこでやってみたのは「運動をした日」の基準を低くすること。
「短時間でもOK、1日1回でも体を動かせば、その日は運動をした」とし、スポーツクラブに行けない日は自宅でスクワットを行い、毎日続けることを目標にしました。
数ある運動の中で、特にスクワットを選んだのには理由があります。それは「キング・オブ・エクササイズ(エクササイズの王様)」といわれるほど、スクワットの健康効果には目を見張るものがあるからです。
なかでも大きなメリットは、体の動きを支えるうえで中心となる、大腿四頭筋や臀筋、ハムストリングスや脊柱起立筋など重要な筋肉を一度にまとめて鍛えられるということ。
人間の筋肉の約7割は下半身に集まっているので、上半身を動かす運動より下半身を動かす運動のほうが効率的です。実は、スクワットのように下半身を中心に動かす運動はそれほど多くありません。
大きい筋肉の周りには、連動して動くたくさんの小さい筋肉がついているので、大きい筋肉を動かせば、小さい筋肉も自然と鍛えられます。
体だけではなく、心の健康を保つうえでも有効
スクワットをすると、筋肉内で乳酸という物質が発生します。
乳酸には「成長ホルモン」の分泌促進作用があります。成長ホルモンは、子どもの成長のためだけに働くホルモンではありません。筋肉を増やす、糖や脂質の代謝を促進する、免疫機能や認知機能の亢進など多くの作用を持つことがわかっています。
分泌量が減ると気分が落ち込みやすくなり、イライラしやすくなるなど、心の健康も害されます。
つまり、スクワットは体だけではなく、心の健康を保つうえでも有効な運動ということです。
運動のハードルを低くしてみたところ、徐々にスクワットが生活のなかに定着しました。そして体形も変わってきて、もっと運動をしたいと思うようになったのです。
懸念していた中性脂肪値も、356mg/dl→120mg/dl(基準値は150mg/dl未満)と、しっかり基準値内になりました。
もちろん薬は一切飲まず、運動のみの結果です。
血圧も上が10mmHgほど低くなりました。そして、還暦を迎えた現在も血糖値なども含め、すべて正常値を維持できています。
ちなみに、健康効果以外でもうれしいことがありました。1年ほどでメタボ体形を脱した私は、その後3年連続でベストボディコンテストの50歳以上の部で3年連続グランプリを受賞することができたのです。
メタボ体形が気になった2013年のころ(一番左)。左から3カ月後→5カ月後→1年後(写真:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』)
2017年のベストボディコンテストではグランプリを受賞(写真:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』)
私自身のそんな経験から編み出したのが、ジムに行かずに自宅でできる「30秒スクワット」です。
・1回にやる時間は30秒だけ
・1日1回やれば、「運動をした」とカウントする
ということがポイントです。
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「めんどうくさい」「やる時間がない」と感じてしまうと、運動は挫折するからです。
私と同じく、スポーツジムに通っても続かずにやめてしまったという40代の男性は、仕事の合間に30秒スクワットをやるようにしたら続けられたといいます。この方は、在宅勤務で1日中座りっぱなしで、外出もほとんどしないのですが、それでもたった1カ月で腹囲が2.7cm減りました。
ほかの数値も目を見張るものがあり、測定を担当した理学療法士も、「短期間でこんなに効果が出ると思わなかった」と驚きを隠せない様子でした。
以下は、この男性の30秒スクワットをする前と、1カ月後の数値の変化です。
●筋肉量 1.5kgプラス(46.6kg→ 48.1kg)
●体脂肪量 0.5kgマイナス(11.5kg→ 11.0kg)
●体脂肪率 1.1%マイナス(18.9%→ 17.8%)
●腹囲 2.7cmマイナス(75.4cm→ 72.7cm)
●体重 1.1kgプラス(60.9kg→ 62.0kg)
筋肉量が増えて、体脂肪量と体脂肪率が減少したのは、脂肪が燃えて筋肉がついたということです。体重は増えたものの腹囲は減少しているので、筋肉でお腹が引き締まって、見栄えがよくなった好例です。
見た目の変化は、モチベーションを高めてくれる起爆剤です。全身でも、お腹だけでもいいので自分の写真をスマホで撮影し、記録に残すのがおすすめです。少しずつお腹がへこんでいく様子がわかると、やる気が出るはずです。
30秒しかやらない!驚異のスクワット法
30秒スクワットのやり方は、驚くほど簡単です。
しゃがんだ状態から立ち上がる、という動作を30秒くり返すだけです。30秒間で何回やるかにこだわる必要はなく、1日1回行うことを目標にします。
やり方は、こちらから確認できます。
『医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」ドクターズスクワット』(動画:アスコムチャンネル/YouTube)
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提供元:ジム通い挫折した医師考案「30秒スクワット」|東洋経済オンライン