2023.09.12
「サウナ=寝つき良くなる」本当か?納得の"答え"|よく眠れない人必見!「ポイントは3つ」ある!
サウナに入った日はぐっすり眠れるのはなぜなのでしょうか(写真:shimi/PIXTA)
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サウナブームが日本を席巻しているのは、今や誰の目にも明らかだ。「サウナ本場の国」北欧フィンランドにあやかり、「フィンランド式サウナ」を謳うサウナ施設も次々につくられている。
だが、果たしてどれだけの日本人が、フィンランド・サウナ本来の特徴を正しく把握しているだろうか。
「フィンランド・サウナ」を曲解しているのは、決して日本人だけではない。「今やサウナは世界全体で1700万もあると推定されるが、国外で『フィンランド・サウナ』を名乗るサウナのほとんどは、実際にフィンランドで体験できるサウナとは全く異なったものになってしまっている」と、話題の書『「最新医学エビデンス」と「最高の入浴法」がいっきにわかる!究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』の著者カリタ・ハルユ氏(サウナ・フロム・フィンランド協会代表)も憂いている。
本記事では、同書を再編集し、「『サウナ』で寝つきが良くなるは本当か?納得の答え」を解説する。
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20~30年前と比べて「睡眠時間」が減っている現状
多忙かつインターネット漬けである現代の生活スタイルは、脳へ大きな負担をかけています。
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本来、脳を休める意味で睡眠の必要性は以前より増しているはずですが、多くの人は、たとえば「約20~30年前の平均と比べて睡眠時間が減っているのが現状」と言えます。
脳にとって睡眠は、永久に切り詰めることのできない、「大切な療養・休息時間」です。
にもかかわらず、多忙な現代生活によって不眠に陥る人は増えつづけ、睡眠リズムは乱れるいっぽうなのです。
そんななか、経験ベースの議論のなかで「サウナに入らなかった日と比べて、サウナ浴後は簡単に入眠でき、かつ深く眠れる」ことを多くの人が証言しています。
では、多くの研究や証言から考えられている「サウナ浴が良い睡眠につながる理由」とはどのようなことなのでしょうか。
1つめは、「『セロトニンの増加』と『ノルアドレナリンの降下』を誘発するため」です。
「幸福ホルモン」として知られる「セロトニン」が増加
【1】「セロトニンの増加」と「ノルアドレナリンの降下」を誘発
良質な睡眠のために重要な神経伝達物質は、「幸福ホルモン」として知られる「セロトニン」です。
ヨーロッパ行動薬理学協会の公式ジャーナルである『Psychopharmacology』誌に掲載されたある学術論文によれば、「サウナ浴は、ほかの温熱療法と同様に、身体の温度調節メカニズムの過程でセロトニン分泌を活発化させる」そうです。
約30分のサウナ浴で体温が大幅に上昇すると、いったんは覚醒をつかさどる「ノルアドレナリン」が多く放出されますが、同時に、体温調整や興奮抑制のために「セロトニン」の分泌もさかんになります。
そして、入浴後は徐々に体温の低下や脳の冷却が起こるため、脳の「ノルアドレナリン」量もはっきりと低下します。
この「セロトニン」の増加と「ノルアドレナリン」の降下の影響で、眠りの深さも増加するというわけです。
【2】入浴後約2~3時間後に入眠しやすくなる
また、この「セロトニン」の増加と「ノルアドレナリン」の降下の影響で、サウナ浴後約2~3時間後に最も入眠しやすくなり、眠りの深さも増加しやすくなります。
それは、一般に「体の深部の温度が十分に下がると眠りに落ちやすい」と言われるからです。
そのため、運動やサウナ浴のあとは、クールダウンによって身体を冷やしたほうが、安眠を確保できる可能性が高くなります。
サウナの入眠効果には「慣れ」も大きい
ただし、サウナの入眠効果には、入浴への「慣れ」も大きく関わってくるでしょう。
サウナ浴の経験がない、あるいは浅い人にとっては、睡眠の改善よりむしろ負担になる可能性も否めない、という指摘もあります。
「セロトニン」の増加と「ノルアドレナリン」の降下の影響で、サウナ浴後約2~3時間後に最も入眠しやすくなり、眠りの深さも増加しやすくなる(イラスト『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』より)
3つめの理由は、「入眠後のノンレム睡眠量が増加するため」です。
【3】入眠後のノンレム睡眠量が増加する
専門家たちは、概して7~9時間の睡眠が必要だと提唱します。
睡眠中は、「深い眠り(=ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(=レム睡眠)」という異なる深度の睡眠状態が交互にやってきます。
夜間には、それぞれの睡眠状態が約1時間半の周期で入れ替わり、一晩のうちに3~5回は交代を繰り返します。
「深い眠り(=ノンレム睡眠)」は、とりわけ脳にとっては重要な時間で、不眠症などの睡眠障害はストレス、集中力の低下、物忘れ、注意散漫、憂鬱、頭痛などを招きます。
1976年に、フィンランド人研究チームが5人の被験者と行った、「サウナと睡眠」に特化した希少な実証研究の成果を発表したものがあります。
そこでは「サウナが睡眠の質を上げる要因は、体内の温度変化に伴って起こる脳内の神経伝達物質の変化で説明がつくのでは」という指摘がされています。
それによると、サウナ後の睡眠のほうが、最初の2時間で70%強、6時間で約45%も、統計的に「ノンレム睡眠量」が増加していました。
サウナ後の睡眠のほうが、最初の2時間で70%強、6時間で約45%と、「ノンレム睡眠量」が増加することが、統計的にも実証研究で発表されている(写真提供:こばやし あやなさん)
入眠や睡眠を助長あるいは阻害する要因についての経験談は、あくまで個々人の主観に基づくものです。
人びとの入眠や睡眠の質に関する自己評価は、必ずしも実験に基づく睡眠研究から得られた結果とは一致しません。
「睡眠に悩む人」はサウナを試す価値は大いにあり
しかし、もしあなたが睡眠障害に悩んでいるなら、その改善策として、継続的なサウナ浴を試す価値は十分にあるのではないでしょうか。
はじめてのサウナ浴のあとはうまく寝つけなくても、入浴やタイミングのとり方に慣れてきたら、期待以上の効果を発揮してくれるかもしれません。
これを機会に、ぜひ「サウナ浴」を生活に取り入れて、睡眠障害のない「ストレスレスな生活」を目指してみてください。
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提供元:「サウナ=寝つき良くなる」本当か?納得の"答え"|東洋経済オンライン