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2023.09.09

医師が教える「認知症予防へやめるべき食習慣」6つ|身近な食べものが認知症リスクを高めることも


普段の何気ない食習慣が、認知症のリスクを高めているかもしれません(写真:Graphs/PIXTA)

普段の何気ない食習慣が、認知症のリスクを高めているかもしれません(写真:Graphs/PIXTA)

認知症は一度発症してしまうと回復が難しいため、予防することがとくに大切ですが、ささやかな日々の生活習慣が発症リスクにつながっていると、精神科医・認知症サポート医の岩瀬利郎氏は指摘します。認知症の発症リスクを抑えるためにやめたほうがいい食習慣を岩瀬氏が解説します。

本稿では岩瀬氏の新著『認知症になる48の悪い習慣 ぼけずに楽しく長生きする方法』から一部抜粋・再構成したものです。

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(1)夜にコーヒーを飲むのをやめる

カフェインには覚醒作用があるため、飲みすぎると良質な睡眠が阻害されます。睡眠不足が続くと脳内のアミロイドβを排出するメカニズムに悪影響が出て、アミロイドβが溜まりやすくなります。アミロイドβの蓄積がもたらす脳の委縮が認知症を引き起こすと考えられているので、良質な睡眠のためにカフェインの摂取を控えたいものです。カフェインが多く含まれる飲み物としては、コーヒーや玉露が代表的です。

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一方で、1日にコーヒーを4、5杯飲んでいる人は、コーヒーを飲まない人に比べてがんの発症リスクが下がるとの報告があります。カフェインには血管拡張作用もあるため、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果的です。

また、コーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸やそれから生成されるカフェ酸も豊富に含まれています。クロロゲン酸には抗酸化作用があるので、私たちの体を酸化から防御してくれます。体が酸化すると、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などを引き起こすので、抗酸化作用がある成分は積極的にとっていきたいものです。

そのため、コーヒーが好きな人は日中に飲み、夜に飲むのは控えるとよいでしょう。カフェインは摂取後3〜10時間経っても半分は体内に残るので、少なくとも就寝時間の5時間前から、できれば15時以降は飲まないのが理想です。

(2)パンにマーガリンを塗るのをやめる

植物油を主原料とするマーガリンには、トランス脂肪酸が多く含まれています。トランス脂肪酸とは、人工油脂をつくる際に大量に発生する成分のこと。常温では液体の植物性脂を、化学処理して固体化したり酸化しにくい性質に変えたりするときにトランス脂肪酸が発生します。

このトランス脂肪酸を摂取すると、主に心臓に蓄積されて心臓病のリスクを高めるだけでなく、認知症のリスクも上昇する可能性があるといわれています。

1961年から九州大学と福岡県久山町が共同で行っている認知症の研究、通称「久山町研究」によると、血液中のトランス脂肪酸の濃度が上昇すると、アルツハイマー型をはじめとした認知症の発症リスクが最大で16倍上昇すると考えられています。

パンにはマーガリンを塗るのではなく、バターを塗るとよいでしょう。バターのトランス脂肪酸含有量はマーガリンの約4分の1となっています。

しかし、バターは動物性の脂肪、すなわち飽和脂肪酸であり、飽和脂肪酸は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるともいわれています。

牛肉や豚肉についている脂肪を思い浮かべてください。 常温でも白く固まっていますよね。常温で固まる動物性の油は当然、体内に入ったときにも血管に詰まりやすいです。

そのため、パンに何か塗って食べたいのであれば、オリーブオイルやアボカドオイル、ココナッツオイルなどの植物油がおすすめです。ちなみに、ジャムは果物を砂糖で煮詰めたものなので糖質が多く、体によいとはいえません。

(3)白米を食べるのをやめる

食後の血糖値やインスリンを大幅に上昇させる食品は、肥満症や糖尿病などの生活習慣病や心臓疾患の発症リスクを高めると考えられています。日本人が主食としている白米も、食後の血糖値を上昇させる食べ物です。

ごはんやパンなど炭水化物が多く含まれる食べ物が口から入ると、食道を通り、胃や十二指腸で消化され、小腸から吸収されます。吸収された糖分はブドウ糖などとして血液中に取り込まれます。血糖値が上がるのはこのときです。

血液中のブドウ糖が増えると膵臓からインスリンが分泌され、インスリンが全身の細胞に作用して、ブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞に取り込まれます。すると、血糖値は食事前の値まで下がる、というメカニズムになっています。

肥満やインスリンの低下により体内でうまく血糖の処理ができなくなると、血糖値が下がらなくなります。その状態が慢性的に続くのが、糖尿病です。そのため、糖尿病予防には、血糖値が食後急激に上がらない食品をとることが大切なのです。

食品のうち、血糖値が食後急激に上がるか否かは「GI」という指標で判断できます。GI値とは、食品による食後血糖上昇に与える影響の違いを比較できる指標です。低GIの食品を上手に活用すれば、糖分を穏やかに取り込めるでしょう。

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(4)白砂糖を使うのをやめる

糖尿病も認知症になるリスクを高める症状のひとつです。

糖尿病とは、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。血糖値が高いまま放置されると、血管が傷つき、動脈硬化が進行し、心臓病や腎不全などといった慢性合併症を引き起こすのですが、脳神経も傷めます。

膵臓でつくられたインスリンは血液によって全身に届けられ、神経を保護する方向に働き、アミロイドβをつくりにくくします。また同時に活発化するインスリン分解酵素の働きもあって、アミロイドβを分解しやすく、溜めにくくするのです。そのため、糖尿病になるとアルツハイマー型認知症を引き起こす可能性が高くなるというわけです。

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さらに近年は、高血糖な状況が続くと脳内も高血糖となり、神経細胞が死んでしまうため、認知症を引き起こすともいわれています。認知症は〝脳の糖尿病〟という考え方があるのです。

糖尿病を予防するためには、白砂糖を使うのをやめましょう。精製度の高い白砂糖は黒砂糖のような精製されていない砂糖に比べGI値が高く、血糖値を急上昇させます。高血糖の状態が続くと、インスリンの量や働きが不足してしまうので、体が吸収しても血糖値の上昇がゆるやかな黒砂糖を積極的に使用するとよいでしょう。

(5)加工肉を食べるのをやめる

ハムやソーセージなどの加工肉は、手軽に調理できて子どもから大人まで好きな味ですから、日々の食卓に登場するシーンが多い食材でしょう。

ハムは豚肉を塩漬けや燻製にし、ゆでたり蒸したりしてつくられます。ソーセージは豚のひき肉を香辛料と一緒に薄い膜上の袋に詰めたものです。

加工肉は塩分も多く、高たんぱく、高脂肪。認知症だけでなく健康全般を考慮すると、塩分や脂質が多く含まれている加工肉はなるべく避けたほうがよい食材だといえます。

加工肉は、加工する段階で脂と塩分を加えるため、通常のお肉と同量食べると、加工されていないお肉よりも、脂質や塩分をとりすぎてしまうことになります。

脂質のとりすぎは、体脂肪として身体に蓄積され、血液中の中性脂肪やコレステロール値が上昇し、脂質異常症の原因になる可能性があります。

そして、塩分のとりすぎは、高血圧の原因となります。さらに、動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性があります。

このように、疾患のリスクがあることは明らかですが、あくまでも、食べすぎないということが大切です。

加工肉を食べるときには、カリウムを含む野菜や果物、海藻類、豆類などを取り入れた食事にしましょう。カリウムには過剰な塩分を身体の外に排出する作用があるためです。

また、加工肉を食べた次の日は魚にしたり、大豆製品などの植物性たんぱく質を含むものを食べたりして、脂質の少ないたんぱく質をとり、バランスのよい食事をするように工夫しましょう。

(6)ラーメンのスープを飲むのをやめる

日本の国民食ともいえる存在になった「ラーメン」ですが、認知症予防の観点からすると食べないほうがよい料理です。

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頭のなかでラーメンを思い浮かべてみてください。味の濃いスープのなかに、ゆでた麺が入っていて、その上にチャーシューやたまご、味つけされた野菜が乗っている──そのようなものを想像した人が多いのではないでしょうか。

まず、味の濃いスープは塩分濃度が高いです。そして麺は精製度の高い小麦でつくられているため糖質が多く、またラーメンの上のチャーシューには脂がのっているので脂肪が多いです。このように考えると、ラーメンは、認知症の発症リスクを高める成分の宝庫といえます。

このように考えると、スープを飲み干すのも避けたいところです。ラーメンを食べるのであれば、スープは飲み干さないようにしましょう。

また、スープはラーメンに限らず、そばやうどんの出汁も同様です。基本的には、「しょっぱそうだな」と思うものは避けたほうがよいでしょう。

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提供元:医師が教える「認知症予防へやめるべき食習慣」6つ|東洋経済オンライン

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