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2023.09.05

100回より10回の「スクワット」が効果的なワケ|「筋トレはキツいほどよく効く」は大きな誤解


本当に効果のある筋トレとはどんなものなのか、皆さんはご存じでしょうか(写真:kei.channel/PIXTA)

本当に効果のある筋トレとはどんなものなのか、皆さんはご存じでしょうか(写真:kei.channel/PIXTA)

キツくなければ筋トレの効果がない――。そう思っていませんか? 「筋トレ全般にいえるのは、負荷が強すぎると腰やひざを痛めるリスクが高まってしまいます。それより何より、キツ過ぎるとつらくて、続ける意欲が失せてしまいませんか?」そう言うのは、整形外専門医でありフィットネストレーナーでもある吉原潔さん。本当に効果のある筋トレとはどんなものなのか、吉原さんの著書『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』より、本文を一部引用・再編集してご紹介します。

『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「筋肉」こそ健康のキーワード

患者さんから「昔は軽く1万歩は歩けた」とか、「昔は水泳をしていた」という話をよく聞きます。

話していると、その運動をやめてしまったから調子が悪いのではと、思われる方の多いこと。

私たち人間は、ある程度運動をしないと、いずれ体に不調をきたしてしまいます。厚生労働省が発表しているデータによれば、毎年約5万人もの人が、運動不足が原因で死亡しているといいます(厚生労働省「2013年9月27日 副大臣ロコモレク資料」)。

運動不足と体の不調。この2つを結びつけるキーワードは「筋肉」です。

・運動不足が続くと、まず筋肉が硬くなります
・さらに、筋肉の量や筋力も低下してきます
・そのまま年を重ねていけば、「ロコモティブシンドローム」に移行する可能性が高くなります

ロコモティブシンドロームとは、英語で「移動」を意味するロコモーション(locomotion)と、「移動する能力がある」を意味するロコモティブ(locomotive)からできた言葉です。

日本語での正式名称は「運動器症候群」です。「ロコモ」と呼ばれることが多いので、聞いたことがある方も多いでしょう。移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態のことです。

ロコモになると、立ったり歩いたりするのが大変なので、あまり動かなくなります。すると徐々に体力が落ちます。体力が落ちると、実はさまざまな病気にかかりやすくなったり、うつなど、心の問題も抱えやすくなったりしてしまうのです。

さらに、ロコモは認知症の発症にも深く関わっています。

運動不足の弊害はまだまだあります。肥満や脂質異常症、高血糖(糖尿病)、高血圧などの生活習慣病を発症させ、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる疾患にかかるリスクが増大します。

つまり、運動不足は健康寿命を短くする最大の要因なのです。

これから運動不足を解消するための筋トレをご紹介しますが、その前にぜひ知っておいていただきたいのは、筋肉は体を支え、体を動かし、ほかの内臓の働きを助けるとても重要な役割を持つ「臓器」だということです。

実は、心臓や胃腸といった臓器も、心筋や平滑筋という筋肉でできています。ですから、筋肉=臓器なのです。

もし、心臓や胃腸など臓器の調子が悪くなったら、どうしますか? そのまま放置しますか? おそらく、ほとんどの方が治そうとしますよね。

心臓や胃腸などの臓器と同じように、筋肉という臓器にも注意を向けてみると、運動をしてみようという気持ちが高まると思います。

キツい筋トレはデメリットが多い

それでは、筋肉を鍛えるのに向いているのは、どんな筋トレでしょうか。

人間の筋肉の約7割は下半身に集まっています。そのため、全身の筋肉量を増やすことを目的に運動を行う場合には、上半身を動かす運動より下半身を動かす運動のほうが効率的です。

実は、下半身を中心に動かすことができる運動はそれほど多くありません。その一つが、「スクワット」です。

スクワットで鍛えられる筋肉は、

・太ももの前に位置する大腿四頭筋
・太ももの裏側に位置するハムストリングス
・お尻に位置する臀筋
・背中の脊柱起立筋

です。スクワットは太ももやお尻など、下半身の筋肉だけではなく、脊柱起立筋という体幹(胴体)の筋肉まで鍛えられる、万能といっても過言ではない筋トレです。 

また、大きな筋肉にはたくさんの小さな筋肉が付着していて、連動して動くことから、ここで解説している筋肉のほかにも数えきれないほど多くの筋肉を同時に鍛えることができます。

スクワットをやったことがある方ならわかると思いますが、立ったところから腰を落としていく最中に、脚がプルプルと震えたりしますよね。それだけ筋肉には強い負荷がかかっているという証拠で、つまり、キツいということです。

筋トレ全般にいえることなのですが、負荷が強すぎると腰やひざを痛めるリスクが高まってしまいます。それより何より、キツすぎるとつらさが先に立って、続ける意欲が失せてしまいませんか?

とはいえ、まったくキツさを感じないような運動では効果は期待できません。そこで私自身がいろいろなトレーニング方法を試した末に考案したのが、キツすぎない、でも適度な負荷がかけられて効果を得られる「ドクターズスクワット」でした。

それを可能にするのが「逆スクワット」の動きです。

それでは、実際にやってみましょう。

実践!「逆スクワット」

(1)しゃがむ

足を肩幅に開きます。

つま先をやや外側に向けます。

両腕を前に伸ばして、両手のひらは下にして重ねます。
※手のひらはどちらが上でもかまいません。

背すじをまっすぐにします。

口から息を吐きながら立ち上がります。

(2)立つ

胸を軽く前に突き出します。

目線はまっすぐ前に向けます。

鼻から息を吸いながらしゃがみ込みます。

(出所:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』)

(出所:『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』)

30秒間で、(1)と(2)をくり返します。

30秒間で何回やるかにこだわる必要はありません。リズミカルにくり返すと10回程度になります。

1日1回行うことを目標にしましょう。

「30秒なんかでほんとうに効果があるの?」と、実は私も最初はそう思いました。しかし、実際に血糖値や体脂肪率が下がったり、体形が変わったりした事実を経験すると疑問は確信に変わりました。

A.立った状態から、しゃがみ込んで反動をつけてジャンプする

B.しゃがんだ状態からジャンプする

より高く跳べるのはどちらだと思いますか?

子どものころに、より高くジャンプをしようとして、しゃがみ込んで反動をつけた経験があるのではないでしょうか? 

つまり、より高く跳ぶには「A.立った状態から、しゃがみ込んで反動をつけてジャンプする」です。

実は、これは一般的なスクワットの動きと似ています。

立った状態から腰を落として、そして立ち上がります。反動をつけている感じはないかもしれませんが、筋肉には反動をつけたときと同じ「伸張反射」という現象が起きています。

伸張反射は、「火事場の馬鹿力」を発揮することができます。しかしそのぶん、筋肉や腱、骨には瞬間的に大きな負担がかかることになります。

100回より10回のスクワットが効果的

一方、ドクターズスクワットで採用している「逆スクワット」の動きは「B.しゃがんだ状態からジャンプする」と同じで、反動はつけません。

火事場の馬鹿力は出ませんが、体に優しいうえ、楽に感じます。毎日続けるなら、火事場の馬鹿力で体に負担をかけるより、楽にできるほうがよいと思いませんか?

もう一つ、質問です。効果的なのはどっちだと思いますか?

A.スクワットを10回する

B.スクワットを100回する

私がよく、患者さんにする質問です。

健康効果を得るために、ある程度の回数を行うことは意味があります。ですが、行ううちに、いつしか20回、30回、とやった回数が目標にすり替わってしまうことがよく起こります。

ということは、先ほどの質問の答えはおわかりですよね?

答えは、Aの10回。

100回スクワットをしようとしたら、キツくて途中から姿勢がくずれて、正しいフォームを保てないはず。

実際、筋力が弱い人に20回やってもらうと、途中から猫背になりがちです。そうすると、効果が出ないどころか、体を痛めることにもなりかねません。

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『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

そこで、決めたのは、

・ドクターズスクワットは回数にこだわらない

・30秒でいい

ということです。

30秒では物足りなそうですか? 試しに、1分間やってみてください。かなりキツいと思います。では、10秒にしたらどうでしょうか? これでは、やった感じがありません。

30秒というのは絶秒な時間設定なのです。時間がない、めんどうくさいというときでも、「なんとか30秒くらい」と、思いやすいのもポイントです。

そして、「とにかく30秒、最初はゆっくり、2~3回でもいいから丁寧に体を動かすことを意識してやってみてください」と言うと、皆さん正しいやり方のまま行えるのです。

筋トレは回数をこなすことが目標ではなく、正しいやり方で継続することが大切です。そのために、ぜひドクターズスクワットをご活用ください。

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提供元:100回より10回の「スクワット」が効果的なワケ|東洋経済オンライン

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