2023.08.20
脂質異常症だとカレーは食べられない?~カロリー&脂質控めレシピも紹介~
当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
「脂質異常症になったらカレーは食べられないの?」
子どもから大人までみんなが大好きなカレーですが、脂質異常症の方にはカロリー・脂質ともに少し高めです。
食べるのが好きな方にとって、食事制限はとても辛いことですよね。ところが、ポイントを押さえれば脂質異常症の方でもカレーを食べられるのですよ。
そこで今回は、脂質異常症の方のカレーを食べる際の注意点について、かんたんに解説します。オススメのカロリー&脂質控えめなカレーレシピも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
脂質異常症の人はカレーを食べてもよいのか
結論からいいますと、脂質異常症の方にはカレーはあまりオススメできません。
なぜなら脂質異常症の治療の基本は、適正エネルギー量を守ることだからです。
参考までに、身長160cmの成人の適正エネルギー量は1690kcalなので、1食あたり約560kcalです。外食などのカレーは1食あたり764kcalあるので、全部食べるとカロリーオーバーになってしまいます。
また、カレーに使用するルーやお肉には飽和脂肪酸(※)が多く含まれます。飽和脂肪酸を摂りすぎると悪玉コレステロール値が高くなるので、脂質異常症が改善されません。
(※)肉の脂身や乳脂肪などのいわゆる動物性脂肪に多く含まれる脂肪酸
ただし量に気を付け、飽和脂肪酸の少ない材料を使用すれば、脂質異常症でもカレーは食べられます。
詳しいポイントは、のちほど解説しますね。
参考記事:【管理栄養士解説】脂質異常症の食事で気を付けたいポイント~脂質代謝改善に期待できるレシピ紹介~ ※外部サイトに遷移します
参考記事:カレーのカロリーは低い?〜カロリーオフの簡単レシピとともにポイント解説〜 ※外部サイトに遷移します
カレーはコレステロールが多い?
カレー1食分のコレステロールは65mgと、やや多いです。なお、悪玉コレステロール値の高い方は重症化予防のために、1日あたりのコレステロール摂取量を200mg以内に抑えることが望ましいです。
1食あたりとってもよいコレステロール量は66mgまでなので、カレーはギリギリセーフといったところでしょう。
ちなみにコレステロールは卵や肉、魚介類、菓子類に多く含まれます。カレーのトッピングに卵を追加する場合は、とくに注意が必要です。
卵1個あたりのコレステロールは185mgと、かなり多いです。カレーにトッピングする際は卵の量を半分にし、他の2食はコレステロールの少ない食事を意識すると、1日の中でバランスがとれますよ。
脂質異常症の人がカレーを食べる際のポイント
脂質異常症の方がカレーを食べる際のポイントは3つあります。
(1)脂質の少ない具材を選ぶ
脂質の多い食材はカロリーが高いです。そこで、脂質の少ない具材を選ぶとカロリーを抑えられます。
先ほどご紹介したカレーは、豚バラ肉を使用したもので764kcalでした。ところが豚バラ肉を鶏ひき肉に変更すると651kcalと、なんと100kcal以上抑えられるのです。
また脂質異常症を改善するには、飽和脂肪酸の少ない具材を選ぶことも大切です。豚バラ肉を鶏ひき肉に変えると、8割近くも飽和脂肪酸を減らせます。
(2)市販のルーは使わない
市販のカレールーには脂質が多く含まれ、その半分が飽和脂肪酸です。そこで活躍するのがカレー粉です。
カレー粉を使うと、1食あたりのカロリーは70%、脂質は97%もカットできます。またカレー粉には飽和脂肪酸が少なく、1食あたりたった0.1gしか含まれません。
カレー粉を使用して最低限の油で作ったカレーであれば、脂質異常症の方でも安心して食べられますね。
カロリーオフのルーを使えば大丈夫?
最近では市販でもカロリーオフのルーがあるので、そちらを使用するのもオススメです。カレー粉を使用する場合よりもカロリー・脂質ともに少し高くなりますが、手軽に作れるところが嬉しいですね。
ただし、普通のルーやカレー粉に比べると値段が高い点はデメリットといえます。
なお、全く油を使用しないカレールーも販売されています。値段はかなり高いのですが、脂不使用の美味しいカレーを手軽に食べたい方はぜひお試しください。
(3)サラダなどの副菜を添える
脂質異常症の治療では、食事はバランスよく食べることが大切です。バランスの取れた食事とは、主食・主菜・副菜がそろった献立です。
ところがカレーを単品で食べると、主食と主菜だけの食事になってしまいます。
そこで、カレーを食べる時はサラダなどの副菜を添えると、バランスの取れた食事になります。
外食の際もカレーの量を減らして、サラダを追加するとよいでしょう。なお、サラダにかけるドレッシングはノンオイルのものを選んでくださいね。
注意!糖質も適正量に
脂質異常症の中でも中性脂肪の高い「高トリグリセライド血症」の方は、糖質量にも注意が必要です。
そもそも中性脂肪は、摂りすぎたエネルギーが体に貯め込まれたものです。私たちの体の主なエネルギー源は脂質や糖質ですが、摂取量が多いとエネルギーの摂りすぎになります。
そこで、脂質だけでなく糖質も適正量の摂取が大切なのです。
カレーの時はいつもより白米を多く食べてしまいがちですが、中性脂肪が高い方は食べすぎないように注意しましょう。
また、カレーによく入れるじゃがいもは糖質が高めです。糖質の低い野菜へ変更するとよいですね。
【脂質異常症の方にオススメ】カレーレシピ
それでは鶏ひき肉とカレー粉を使用した、カロリー&脂質控えめなカレーのレシピを紹介します。脂質異常症の方でも安心して食べられるので、ぜひ作ってみてくださいね。
【カロリー&脂質控えめカレーレシピ】
【作り方】
(1)玉ねぎとにんじんはみじん切りにして、電子レンジ600wで10分加熱する
(2)鍋にオリーブオイルとおろししょうがを入れて、香りが立ったら鶏ひき肉を加えて加熱する
(3)鶏ひき肉に火が通ったら(1)を入れ、カレー粉を加えて混ぜる
(4)(3)にトマト缶、ウスターソース、コンソメを入れたら、にんじんがやわらかくなるまで煮込む
(5)塩、こしょうで味をととのえたらできあがり
※写真ではしらたきご飯を添えています。しらたきご飯の作り方はこちら ※外部サイトに遷移します
【ポイント】
・血液中の悪玉コレステロールを減らす働きのあるオレイン酸を含む、オリーブオイルを使用
・鶏ひき肉を鶏むね肉のミンチに変更すると、さらにカロリー&脂質オフできる
・トマト缶の抗酸化作用で悪玉コレステロールの酸化を防ぐ
・しらたきご飯でカロリー&糖質をカット
参考記事:オリーブオイルのカロリーは高い?〜ダイエット効果や糖質オフレシピも紹介〜 ※外部サイトに遷移します
カレーが動脈硬化を予防するって本当?
ハウス食品の研究によると、カレーは健康な成人の動脈硬化を予防する可能性があるようです。
カレーに使用されるスパイスには抗酸化作用があります。研究によると、「カレーの抗酸化作用で、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化疾患の原因となる血管内皮機能が改善する効果」が見られたそうです。
今後もカレーの抗酸化力に期待大ですね。
まとめ
以上、脂質異常症の方のカレーを食べる際の注意点をまとめました。
外食のカレーはカロリー・脂質ともに多いので、1食分ではなく量を減らした方がよいです。
また、カレーを食べる際のポイントは
(1)脂質の少ない食材を選ぶ
(2)市販のルーは使わずにカレー粉を使う
(3)サラダなどの副菜を添える
が挙げられます。市販のカロリーオフのルーを使ってもよいですね。高トリグリセライド血症の方は、ご飯や具材の糖質にも気を配りましょう。
それでは当記事を参考に、脂質異常症の方でもポイントを押さえてカレーを食べていただけると幸いです。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
健康長寿ネット
ハウス食品
監修:編集長 宮田 亘造
早稲田大学社会科学部卒業後、証券会社での新規開拓営業、製薬会社でのMRなどを経て香港中文大学MBA卒業。同時に北京大学MBAに交換留学、そして北京語言大学にて漢語修習生として学ぶ。帰国後、Webマーケティングのコンサルティング会社を経て、デジタルと医療の融合が患者への新しい価値提供ができると感じ、H2株式会社に入社。
執筆者:管理栄養士・調理師 前間弘美
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業後、管理栄養士として給食会社や病院に勤務。糖尿病・高血圧の方に向けた献立作成や調理、栄養管理・栄養指導などを担当。特に病院勤務では、働き盛りの方が血糖値、血圧そして食事の記録を時間を作って手書きで行う手間や、その先にある健康面における自己管理の難しさを目の当たりにしてきた。身近なスマートフォンをベースにデジタルヘルスを展開することに可能性を感じたのとあわせ、より多くの方の生活習慣の改善に携わりたいという想いからH2株式会社に入社。管理栄養士、調理師の資格を保有。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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提供元:脂質異常症だとカレーは食べられない?~カロリー&脂質控めレシピも紹介~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】