2023.08.07
放っておいたら危ない腎機能の低下!今からできる腎臓を労わる食事法
“かんじんかなめ”と言葉をご存知ですか?“最も大切なこと”という意味を体の臓器を使って表現しており、漢字で表すと“肝腎要”もしくは“肝心要”となります。この語源は肝臓と腎臓・心臓がとても大切な臓器であることに由来すると言われています。
今回はこれらの臓器の中でも腎臓に注目をし、日頃から腎機能の低下を防ぐための食生活のポイントをお伝えします。
そもそも“腎臓”ってどんな働きをするの?
腎臓は、尿をつくる働きが主と思われがちですが、その他にも様々な働きをしています。たとえば、血液(赤血球)を作るホルモンを分泌して血液を作る働きを助ける、血圧を調整するホルモンを分泌して血圧をコントロールする、体内の水分量や体液中のミネラル濃度などを整え体内環境を一定に保つ、骨を丈夫にする働きを助けるなどといった、私たちの体に欠かせない役割を担っています[1,2]。
腎機能の低下が起こると、どんな症状が現れるの?
腎機能が低下すると、腎臓から水分を十分排泄できないことでむくみが起こる、尿量の増加や減少による頻尿、血液を作り出すホルモンの分泌低下が招く貧血などの症状が現れます。さらに腎機能の低下が進むと、腎臓に代わって血液中の老廃物を取り除く人工透析が必要となります[1]。
腎機能の低下を防ぐ習慣のポイントは?
腎機能の低下は、厄介なことに自覚症状が出ないものもあるため、体に不調を感じた時にはかなり進行している場合があります。そのような状態を防ぐためにも、日頃からの小さな心がけが大切になります[3]。
(1)塩分を上手に控えよう
塩分のとりすぎと、腎機能の低下には関わりがあることがわかっています。私たち日本人は平均的に塩分をとりすぎている傾向があるので、特に気を付ける必要があります。
漬物を控える、麺類の汁物は残す、新鮮な食材を用い食材の持ち味を生かす、みそ汁は具だくさんにする、何にでもむやみに調味料を使わない、酢やケチャップなど塩分の少ない調味料を使う、しょうゆやソースは “かける”より “つける”に変えることで塩分を控えることができます[4,5,6] 。
(2)食べ過ぎに注意
ごはんやパンなどの糖質を含む食品や、肉類や乳製品などの脂質を含む食品の食べ過ぎはカロリーオーバーに繋がり、肥満の原因となります。肥満になると、腎臓に流れる血液の量が増えるため腎臓に多くの負担がかかります。食べ過ぎないためにも、食べる量に意識を向けましょう。また、間食をする習慣がある方は、食べる回数や量が多くならないよう注意が必要です [3,6,7]。
(3)野菜や果物をしっかりとる
私たちの体にとって重要な役割を持つ栄養素のカリウムは、食塩の成分であるナトリウムの排泄を促す働きがあると言われています。カリウムは野菜や果物などに多く含まれ、加工や精製度が進むに連れて含まれる量が減るため、生野菜サラダや生の果物のまま食べることがおすすめです。その他には大豆製品にも含まれており、納豆や冷奴、豆乳などもおすすめです[5,8]。
日々の食習慣を見直し、腎機能の低下を防ごう!
今回ご紹介したことを全て取り組んだからといって大丈夫とは限りません。食事の他に、適度な運動やこまめな水分補給も重要です。腎機能の低下が進むと必要となる人工透析は病院や施設で行うため、週に3回ほどの通院となり、本人や家族の負担が大きくなります。そうならないためのも、日頃から意識をして食生活の改善に取り組むことをおすすめします。未来のリスクを回避するために、今からできることを始めましょう。
【参考文献】(すべて2023年6月22日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1] 一般社団法人:日本腎臓学会,腎臓の病気について調べる
[3] 一般社団法人全国腎臓病協議会:腎臓病について,予防法について
[4] 一般社団法人日本腎臓学会:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
[8]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版,ミネラル,カリウム
【プロフィール】管理栄養士 橋本牧子
結婚・出産を機に食事の大切さを改めて感じ、食事や栄養について学ぶべく、子育てをしながら大学で学び直し管理栄養士免許を取得。さらに食の学びを深めるべく、専門フードスペシャリスト、フードコーディネーター、かんぶつマエストロの資格を取得。主に離乳食講座の講師・乳幼児健康診査での栄養相談や、シニア向けの栄誉相談・健康教育、その他にレシピ作成や料理動画の撮影等にも携わる。現在はコラム執筆に活動の場を移して活動中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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