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2023.07.21

「首・肩コリ」に悩む人が知らない本当の原因・対策|現代人が抱える「静的疲労」はストレッチで解消


多くの人が抱える首コリと肩コリの原因と対処法について、解説します(写真:Fast&Slow/PIXTA)

多くの人が抱える首コリと肩コリの原因と対処法について、解説します(写真:Fast&Slow/PIXTA)

テレビや雑誌などのメディアで健康情報を発信するトレーナーの坂詰真二さんが、疲れない体、引き締まった体、自信がもてる体をつくるメソッドを伝授する本シリーズ。今回のテーマは体の不調を和らげて、コンディションを整えるトレーニングの2回目、「首と肩のコリを予防、軽減する」です。

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体の不調を和らげてコンディションを整えるトレーニング、今回のテーマは「首と肩のコリ予防と軽減」です。

さて、重力に逆らって重い頭を支える首と、腕を支える肩 は、上半身を起こした状態でいる限り常に働き続けている筋肉です。では、首が支える頭の重さは体全体の何%にあたるでしょうか?

A 2~3%程度

B 5~6%程度

C 8~9%程度

昔とは違う現代の疲労・コリ

正解はCの8~9%程度です。

体重50kgの人の場合、頭の重さはおよそ4~4.5kgで、ボーリングの9~10ポンドのボールに相当します。腕(片側)は体の6~7%程度で頭よりやや軽いですが、それでも新生児と同じくらいの重さです。

首と肩の筋肉はそのような重い部位を、寝ているとき以外の1日16時間も支えているわけですから、疲れがたまってしまうのも当然です。

今回は首と肩の負担を最小限に抑え、また疲労やコリを軽減する方法についてお伝えします。

従来、疲労といえば、肉体労働や家事、スポーツなど、体を動かすことによって多量にエネルギーを消費し、その結果、筋肉に疲労物質が蓄積して引き起こされるものでした。しかし、現代の典型的な疲労はそれとは質が異なります。

技術の進歩で機械化と自動化が極端に進んだ現代では、仕事でも家事でも体を動かす時間は減り、長い間、機械やパソコン、あるいはスマートフォンを操作したまま、ジーッと同じ姿勢をとり続けることが増えています。

同じ姿勢を長時間保っているとき、筋肉は弱い収縮をずっと続けています。このとき筋肉では、筋肉内の血管が圧迫されて血流が阻害され、疲労物質が少しずつゆっくりと蓄積していきます。これが現代の疲労です。

従来の疲労は“動的疲労”、現代の疲労は“静的疲労”と言い換えることができます。

動的疲労を軽減・解消するには、動きを止めて安静にするとともに栄養を補給し、疲労した筋肉の回復を促すことが有効です。対して、静的疲労を和らげるには、むしろ体を動かして筋肉を伸び縮みさせることが必要。動的疲労には静的休養、静的疲労には動的休養が有効なのです。

では、動的休養で静的疲労が軽減・解消されるしくみについてお話ししましょう。

筋肉には動脈と静脈が通っています。動脈では心臓が血液を全身に送り出す際の圧、つまり血圧によって血液が押し出されますが、静脈ではその力が十分に及びません。それをサポートするのが、筋肉のリズミカルな伸縮によるポンプ作用、“ミルキングアクション”です。

静脈には逆流を防ぐ役割をする弁が複数存在します。筋肉が収縮すると血管が圧迫されて心臓側(中枢側)の弁が開いて心臓に向かって血液が送られ、次いで弛緩すると血管にかかる圧力が減って末端側の弁が開いて血液が流れ込んできます。

筋肉がリズミカルに収縮と弛緩を繰り返すことによって静脈の血流が促され、疲労物質が除去されていくのです。

私たちは体の疲れを感じると、つい体を動かさずに休めようとしがちですが、それでは疲労物質が滞ってしまうためあまり有効ではなく、むしろ疲労を感じる部分をリズミカルに動かして、血流をよくしてあげるべきなのです。

静的疲労は動かすことで解消

首コリも肩コリも典型的な静的疲労です。ですから、疲労を回復させるには、首や肩の筋肉を伸縮させてあげればいいのです。

とはいえ、筋トレのように重い負荷をかけて伸縮させる必要はありません。首コリを感じたら、頭をゆっくりとリズミカルに前後左右に傾けたりひねったりして筋肉を伸縮させ、血行を促進しましょう。肩コリも同様で、肩を上下に動かしたり回したりしましょう。数分程度でも筋肉の血流が増えて、じわーっと温かくなるのが感じられるはずです。

このように筋肉に負荷をかけることなく、大きく伸び縮みさせる運動を、動的ストレッチといいます。

ちなみに、一般的なストレッチとして知られる筋肉を伸ばした状態で静止する静的ストレッチも、筋肉の血流を促すのに有効です。

1つめの理由は、静的ストレッチによって筋肉が弛緩しやすくなるからです。

筋肉はスポーツやトレーニングで強い収縮をしたり、姿勢維持のために弱い収縮を長時間続けたあと、自分では力を抜いたつもりでも無意識のうちに弱い収縮を続けやすく、このため血行が阻害されがちです。 静的ストレッチにはこの無意識の収縮をリセットする効果があるのです。

もう1つの理由は、静的ストレッチにはストレスを和らげる働きもあるからです。

首や肩のコリはストレスとも関わりがあります。動物にとって最大のストレスは敵との対峙ですが、四足動物は敵に対峙すると飛び掛かる準備として、肩をすくめて後足に重心を移します。これには頸動脈を守る意味もあります。

人間ももともとは四足動物なので、この反応の名残があると考えられます。実際、ストレスを感じた際に、無意識に肩の筋肉に力が入って、肩をすくめてしまう人が少なくありません。

静的ストレッチを楽な体勢でゆっくりと行うと、ストレスに反応する交感神経の働きが抑えられ、副交感神経の働きが優位になります。ストレスを和らげるには呼吸も大切です。ゆっくりと呼吸を繰り返すことで、やはり副交感神経が優位になります。

仕事や家事で首や肩のコリを感じたら、イスに座って楽な姿勢をとり、鼻から2~4秒かけて息を吸い、口をすぼめた状態で4~8秒かけて口から息を吐く腹式呼吸を1分ほど行いましょう。

次にコリを感じる部分をゆっくり伸び縮みさせ、最後に筋肉を伸ばしてください。最終ページに首と肩の静的ストレッチを紹介しています。

無意識に体をコントロールしている自律神経のうち、交感神経は臨戦態勢へと導き、副交感神経は安定と回復を促す(イラスト:suma/PIXTA)

無意識に体をコントロールしている自律神経のうち、交感神経は臨戦態勢へと導き、副交感神経は安定と回復を促す(イラスト:suma/PIXTA)

コリは善後策以上に予防策を

ここまで首コリ・肩コリの軽減・解消法をお伝えしましたが、これは善後策に過ぎません。肝心なのは予防策です。なぜなら首コリも肩コリも作り出しているのは自分自身(の行動や姿勢)だからです。

すぐにできる予防策は、「同じ姿勢を保つ時間をできるだけ短くすること」です。現代は仕事でも、プライベートでも、とかくパソコンや携帯端末の画面を長時間覗き込みながらの作業や視聴に没頭しがちですが、少なくとも1時間に1回は作業を中断して、画面から離れる時間を5~10分取りましょう。この際、先にお伝えした呼吸法やストレッチを行えばさらに効果的です。

次の予防策は、仕事やプライベートで首や肩に負担のかからない姿勢や体勢をとることです。

まず、首の負担を減らすには、頭を下げない工夫が必要です。冒頭で申し上げたように、頭の重さは体重の8~9%程度もあります。視線と顔を前に向け、頭が体の真上に乗った状態では、首周りの筋肉だけで十分に頭を支えられます。しかし、視線が下がって首が30度前傾するとその負担は3倍、60度前傾した場合は6倍程度にまで跳ね上がってしまいます。

パソコンを使用する際は、目線と顔が正面を向くデスクトップが理想ですが、ノートパソコンやタブレット端末を使用する場合は、ノートパソコンスタンド(ノートパソコンを目線の位置に接地するスタンド)を利用しましょう。

ただし、これを使うとキーボードが斜めになるため、手首を大きく曲げなければ操作できなくなり、手首の関節と手首を曲げる前腕の筋肉の負担が増してしまいます。できれば外付けのキーボードを使用することをお勧めします。

続いて、肩の負担を減らすには、作業中に腕を机から浮かさないようにするのが効果的です。前腕部を乗せられるアームレストや、リストレストを利用しましょう。こういったグッズは2000円前後からあります。長い目で健康のことを考えれば、安い買い物だといえるでしょう。

最も首や肩の筋肉に負担がかからない姿勢は、背骨を地面と垂直にした状態です。逆に頭を前に出し、肩をすくめ、背中を丸めた悪い姿勢をとると首や肩の筋肉の負担が増加します。

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このような姿勢をとると、首の前側の筋肉や、胸、お腹の筋肉 が縮んだ状態にあり、この姿勢を長期間とり続けているとこれらの筋肉の柔軟性が失われて硬くなってしまいます。そして、無意識のうちに体が硬い筋肉に引っ張られて、悪い姿勢になってしまいがちです。

そこで、根本的な対策となるのが首の前側や胸の筋肉の静的ストレッチ で、この部分を柔らかくしてあげることです。以下で紹介しますので、こちらも仕事中などに取り入れて姿勢をリセットしましょう。

なお、肩の痛みの多くは筋肉の緊張による血行障害で起こりますが、関節や骨などの組織の障害や、心臓病などが原因となることもあります。ストレッチで首や肩の違和感がある場合、あるいはまったく改善しない場合は、一度医療機関にご相談ください。

「首&肩」に効くストレッチ2種

■首コリと肩コリを軽減するストレッチ

(1)安定したイスの右端に座り、足を肩幅より長めに広げて背すじを伸ばす。左手の指を座面の端にかけ、右手は太ももの上に置く
(2)左手でしっかり座面を持ったまま、右側に体を傾けつつ、頭を右斜め前に傾ける。左の首と肩に適度な張りを感じる位置でとめて、ゆっくり呼吸をしながら10秒キープする。一呼吸置いて3セット繰り返したら、座面の左端に座って逆側も同様に行う
※座面を持つ腕が曲がってしまうと、肩が伸びなくなるので注意

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■首コリと肩コリを予防するストレッチ

(1)安定したイスに浅く座って足を少し開いたらかかとを手前に引く。このとき、かかとは自然と上がった状態になる。両手をうしろに回してお尻の横で組む
(2)お尻を突き出しながら上体を反らすと同時に、腕を伸ばして後方に引き、顔を斜め上に向ける。お腹、胸、首に適度な張りを感じる位置でとめ、ゆっくり呼吸をしながら10秒キープする。ひと呼吸置いて3セット行う
※腕を高く上げてしまうとお腹や胸は伸びなくなるので注意

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イラスト:竹口陸郁

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提供元:「首・肩コリ」に悩む人が知らない本当の原因・対策|東洋経済オンライン

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