2023.06.09
医師解説「健康を守る"賢いおやつ"」食べ方4秘訣|我慢より「食べてストレス解消!」が健康の近道
ダイエットの天敵と思われがちなおやつですが、上手に食べればストレス解消につながります(写真:Fast&Slow/PIXTA)
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生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで、「心臓の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。
テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。
過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』を上梓した。
「人生100年時代」を最期まで満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなど、あらゆる観点からアドバイスする1冊で、発売後わずか6日で3刷2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。
その池谷氏が、「肥満を防いで健康を守る『おやつ』の食べ方」を解説する。
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「ホッとできる時間」が心身の健康を守る
みなさんは、「スイーツ」はお好きですか?
私はもともと甘党。お酒も飲みますが、スイーツも大好きです。忙しい毎日のなかで、私がほっとできるのは、少量のスイーツとコーヒーをいただく時間です。
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こんなことを言うと、「甘いものは健康によくないのでは?」という声も聞こえてきそうですね。
ですが、好きなものを我慢してストレスをためるよりも、適量を上手に食べてストレスを発散したほうが、心身の健康のためによいと私は考えています。
ストレスの健康への影響については、「『ストレス多い人』は"4つの考え"を捨てるべきだ」で詳しく紹介しているので、そちらもご覧になってみてください。
「『ストレス多い人』は"4つの考え"を捨てるべきだ」 ※外部サイトに遷移します
ストレスは、「心臓の健康」にとって大敵です。ストレスを感じると、「ノルアドレナリン」というホルモンが放出され、このホルモンの作用で血圧が上昇したり、心拍数が増えたりして、その結果、「心臓への負荷」が増大してしまうのです。
だからこそ、日常生活のなかで上手にストレスを発散することが大切になります。そのために、自分がリラックスできるものを用意して、ホッとできるひとときをもつことが大事なのです。
もちろん、スイーツが大好きとはいえ、無制限に食べては健康にダメージを与えかねません。だからこそ、「どうやったら太らず、甘いものが楽しめるか」と考えて実践しています。その秘訣と、私が考案した「最強おやつレシピ」を紹介しましょう。
ひとつめの秘訣は、「食べる時間帯」にあります。
「糖質摂取」は午後2〜6時が「ゴールデンタイム」
【1】脂肪をためにくい「昼食後の時間帯」に食べる
スイーツの大好きな私が、どうやったら太らず、甘いものが楽しめるかと考えた結果が、午後の診察前のおやつタイムでした。
私の場合、休診日以外は朝から次から次へと患者さんを診るので、息をつく間もありません。午前の診察が終わって、午後の診察が始まるまでの短い間だけがホッとできる時間です。
ランチのあと、午後の診察が始まる前に、ブラックコーヒーとともに少量のスイーツをいただくのが何よりの楽しみです。
昼食後であれば、すでに食事を済ませているために食べすぎないで済むこと、さらに日中であれば、食べすぎても夜までに運動量を増やして、帳尻を合わせられると考えたからです。
また動物実験で、午後2時から6時までのあいだは、1日のうちで最も脂肪をためづらい時間帯である可能性が示唆されていることからも、安心感があります。
仕事中は緊張やイライラがつのったり、その日のタスクをこなそうと焦って心臓がバクバクしたりと、なにかと心拍数が上がりがち。自分なりのリラックス方法を取り入れて、できるだけ心拍数を上げない工夫をすることが「心臓の健康」のために大切(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
【2】脂肪燃焼効果が期待できる「コーヒー」と一緒に楽しむ
一緒にとるブラックコーヒーは、カフェインの作用で脂肪燃焼効果が期待できます。
さらに、身近な飲み物であるコーヒーは、上手に飲めば心臓の健康を守ってくれる効果が期待でき、「心臓にいいスーパードリンク」といえます。
意外に知られていませんが「コーヒーが心血管疾患のリスクを下げる」という研究結果は、世界中で発表されています。
詳しくは、「医師解説「コーヒー驚きの健康効果」正しい飲み方」で解説していますので、ぜひご覧ください。
「医師解説「コーヒー驚きの健康効果」正しい飲み方」 ※外部サイトに遷移します
【3】「チョコレート」はじつは「太りにくいおやつ」
スイーツは和菓子も洋菓子も好きですが、よく食べるのはチョコレートです。チョコレートには抗酸化作用のある「カカオポリフェノール」、心臓にいいスター成分「GABA」 が入っています。
チョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」には、抗酸化作用のほか、肥満や高血圧を予防する効果が期待できる。また、ストレスの軽減や血圧を下げる効果があるとされる「GABA」も豊富に含まれている(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
「カカオポリフェノール」には優れた抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善して動脈硬化を防ぎ、冠動脈の血管拡張を引き起こして心臓病を予防する効果が期待できます。
2つのスター成分「カカオポリフェノール」「GABA」
また、カカオポリフェノールに含まれる「プロシアニジン」は、小腸からの「やせホルモン」とも呼ばれる「GLP-1」の分泌を促進する作用があることがわかっています。
「GLP-1」は、膵臓からのインスリンの分泌を促進して高血糖を防ぐとともに、脳の視床下部に作用して食欲を抑えることで肥満の防止にも役立ちます。さらに 「GLP-1」は、血管をしなやかに開き、高血圧の予防効果も期待できるのです。
また、糖代謝を改善する働きがあることもわかってきています。
事実、食後に86%の高カカオポリフェノールチョコレート(5g/個)を3個食べる人の試験において、食後の高血糖を抑える効果があることが確認されています。
「GABA」 はアミノ酸の一種で、最近ではチョコレートやコーヒーなどの食品に使われているので、ご存じの人も多いことでしょう。
よく知られているのは 「ストレスを和らげるリラックス効果」 ですが、「血圧を下げる効果」もあるのです。
「交感神経」を鎮めるほか、血管を収縮させるノルアドレナリンの作用が抑制されることで血管が弛緩し、血圧が下がると考えられます。
チョコレートの健康効果を解説しましたが、「バナナ」 も 「チョコレート」と同様に「GABA」が豊富な食材です。
この2つを組み合わせて私が考案した池谷式スーパーフード 「チョコギャバナ」は、ダブルで「GABA」を摂取できて「カカオポリフェノール」もとれるという、じつに健康にやさしいおやつになります。
【4】チョコはダークチョコレートがおすすめ
チョコはなるべく糖質が低くてカカオの多い「ダークチョコレート」を使いましょう。「ダークチョコはちょっと苦手」という人もいると思います。
しかし、それも溶かしてバナナにかけると、不思議なもので、バナナの甘みとあいまって、とてもおいしく食べられるのです。
チョコもバナナも少々カロリーは高いですが、おやつにスナック菓子や菓子パンを食べるよりずっといいと思います。バナナは食べごたえがあってかなりお腹にたまるし、バナナにかけることでチョコの食べすぎ防止にもなります。
抗ストレス効果も期待できるので、仕事の合間に食べるのもいいかもしれません。
ダイエットを意識するなら、太りにくい午後2時ごろに食べるのがベターです。
肥満を防いで、上手に「ストレス・コントロール」
昼は仕事や家事など、みなさんそれぞれ忙しく過ごされているはず。短い時間であっても、ホッとできるひとときをもつことは大事です。
私のように甘いものが好きで、食べているときに心からリラックスできるなら、無理に我慢せず、今回紹介したコツを参考に上手におやつタイムを取り入れて、ストレスをコントロールしてみてください。
それが、「100年もつ心臓」を手に入れ、健康を守ることにもつながるのです。
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提供元:医師解説「健康を守る"賢いおやつ"」食べ方4秘訣|東洋経済オンライン