2023.05.22
医師解説「コーヒー驚きの健康効果」正しい飲み方|「この飲み方」なら健康にいい!医学根拠も紹介
コーヒーは「身近なスーパードリンク」。「健康へのメリット」について解説します(写真:kotoru/PIXTA)
生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで、「心臓の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。
テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。
過去15キロ以上の減量に成功し、そのメソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える 「100年心臓」のつくり方』を上梓した。
「人生100年時代」を最期まで満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなど、あらゆる観点からアドバイスする1冊で、発売後わずか6日で3刷2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。
その池谷氏が、「『コーヒー』の健康へのメリット」について解説する。
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コーヒーは「身近なスーパードリンク」
朝食と一緒に、仕事や家事の休憩、食後のひとときなど、コーヒーは皆さんにとって身近な飲み物かと思います。私もコーヒーは大好きで1日3~4杯をブラックで飲みます。
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私の場合、休診日以外は朝から次から次へと患者さんを診るので、息をつく間もありません。午前の診察が終わって、午後の診察が始まるまでの短い間だけがホッとできる時間です。
ランチのあと、午後の診察が始まる前に、ブラックコーヒーとともに少量のスイーツをいただくのが何よりの楽しみです。
忙しい毎日のなかで、ついイライラ、せかせかしがちですが、ストレスを感じて交感神経が緊張すると、心拍数が増え、血圧が上がってしまい、健康にとってマイナスになってしまいます。
だからこそ、自分がリラックスできるものを用意して、ホッとできるひとときをもつことが大事なのです。
さらに、コーヒーは"上手に"飲めば、健康を守ってくれる効果が期待でき、「健康にいいスーパードリンク」といえます。
まずは、その具体的な効果を3つ紹介しましょう。
意外に知られていませんが「コーヒーが心血管疾患のリスクを下げる」という研究結果は、世界中で発表されています。
「コーヒーを適量飲む人」は、飲まない人より長生き
【1】「心血管疾患のリスクを下げる効果」が期待できる
ブラックコーヒーには、カフェインの作用で「脂肪燃焼効果」が期待できるほか、心筋梗塞や脳卒中などによる死亡リスクの低下、2型糖尿病を発症するリスクの低下などの報告もある(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
たとえば欧州心臓病学会(ESC)の調査によると、コーヒーを1日0.5~3杯飲む人は、飲まない人に比べて、心筋梗塞や脳卒中などによる死亡リスクが約17%低下するそうです。
日本における調査では、1日に3~4杯のコーヒーを飲む人は2型糖尿病を発症するリスクが男性で約17%、女性で約38%低下するという結果も出ています。
コーヒーを飲むことによって「心血管疾患のリスクを下げる効果」が期待できるということです。
【2】「脂肪燃焼効果」が期待できる
忙しい毎日のなかで、私がほっとできるのは、少量のスイーツとコーヒーをいただく時間であると先述しました。
私はもともと甘党。お酒も飲みますが、スイーツも大好きです。
ブラックコーヒーは、カフェインの作用で「脂肪燃焼効果」が期待できます。
私自身、甘いものが大好きだからこそ、「どうやったら太らず、甘いものが楽しめるか」を考えて実践しているのです。
【3】「幸せ」を感じ「若さを保つ効果」が期待できる
コーヒーに含まれているカフェインは、「幸せホルモン」といわれるドーパミンやセロトニンの分泌量を増やすともいわれています。
コーヒーに含まれるカフェインが「幸せホルモン」といわれるドーパミンやセロトニンの分泌量を増やすとされるほか、抗酸化作用のある「クロロゲン酸」が血管を若く保つことなども期待できる(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
また、コーヒーには抗酸化作用のある「クロロゲン酸」(ポリフェノールの一種)が含まれていて、これも血管を若く保ってくれる作用が期待できます。
「カフェインの作用で交感神経が緊張するのでは?」と疑問をもつ方もいらっしゃるでしょう。
たしかにコーヒーは交感神経を刺激するのですが、末梢血管の血流にはそれほど影響がないのです。
とくにホットの状態で飲めば血管が広がるので、血圧にはいい影響を及ぼします。
心拍数は少し上がりますが、いま述べた血流への効果、リラックス効果を考え合わせれば、心拍数上昇を上回るメリットがあると思います。
「睡眠を妨げない範囲」で「体質に合わせて適量」を
ただし、カフェインに敏感な人で、飲むと動悸や体の違和感を感じる場合には、無理に飲まないようにしてください。
コーヒーを飲む量は、総合的に考えると「1日2杯から4杯ぐらいがいい」といわれています。
1日5杯以上となると、カフェイン摂取が多すぎてデメリットが出てきてしまいます。眠りのことを考えたら、「コーヒーは午後3時ごろまで」にしたほうがいいでしょう。
コーヒー以外に、紅茶や緑茶もおすすめです。とくに緑茶は「カテキン」が入っていて、がん予防効果も期待できます。
ぜひ「自分の体質に合った方法」で、毎日の中に「ちょっとしたリラックスタイム」を取り入れてみてください。ストレスは「心臓の健康」にも非常に悪影響を及ぼす怖いものです。
ぜひ「日々の小さな工夫」によって「心身の健康」を保つだけでなく、日本人の死因第2位の「心臓病(心不全)」を防ぎ、人生100年時代を楽しめる「100年心臓」を手に入れてほしいと、医師として強く願っています。
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提供元:医師解説「コーヒー驚きの健康効果」正しい飲み方|東洋経済オンライン