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2023.05.11

GW明け「五月病になる人」「ならない人」を分ける差|五月病になりやすい6つのタイプとリカバリー方法


毎年ゴールデンウィーク中から終了後に「五月病」の相談が増えるといいます(写真:TY/PIXTA)

毎年ゴールデンウィーク中から終了後に「五月病」の相談が増えるといいます(写真:TY/PIXTA)

長年、人間関係や生き方など、悩み相談のコンサルタントとして活動していますが、毎年ゴールデンウィーク中から終了後に増えるのが、「この症状は五月病ですか?」という問い合わせ。「頭や体が重い」「何もやる気が起きない」「仕事や学校に行きたくない」などと感じて、「どうしたらいいのか」「病院に行ったほうがいいのか」と悩む人々の声が寄せられるのです。

長引くと、うつ病や適応障害に進行するケースも

一般的に五月病とは、社会人の就職や部署異動、学生の入学やクラス替えなど、新たな環境での生活がはじまってから1カ月あまりが経過したゴールデンウィークの連休をきっかけに、心身に表れる症状のこと。

私の相談者さんも、「気分がすぐれない」「体がだるくて疲れやすい」「頭が痛い」「眠れない」「食欲がわかない」などの症状を訴えて、その理由を探ろうとしたり、会社や学校をやめたほうがいいのかを尋ねたりという傾向があります。

さらに、「自分は新しい部署やクラスでやっていけないのではないか」「行ったらこの症状が悪化するのではないか」などと不安を抱く人も少なくありません。また、最近では、4月に環境が変わった人だけでなく、数カ月前や数年前に変わった人、あるいは、環境が変わっていないにもかかわらず連休をきっかけに五月病の症状が表れる人もいます。

五月病は医学的な病名ではなく、これらの症状を指す言葉ですが、これが長引くことで、うつ病や適応障害に進行してしまうケースもあるため、軽くみないほうがいいでしょう。すでに症状をはっきり感じている人は、心療内科や精神科を受診したほうがいいかもしれません。

私は医師ではありませんが、五月病の人々から相談を受け続けてきたコンサルタントとしての経験と、医療関係者への取材を通して得た知見を踏まえて、連休で五月病になりやすい人のパターンと、自ら行えるリカバリーの例をあげていきます。

五月病の症状が出やすい「6タイプ」

まずゴールデンウィークなどの長期連休をきっかけに、五月病の症状が出やすい人の例をあげていきましょう。

五月病の症状が出やすい傾向があるのは、主に「良くも悪くも目の前のことに向き合おうとする人」「新しい環境への期待や理想が高かった人」「何でも白黒をはっきりつけたがる人」「ネガティブなことだけ積み重ねていく人」「以前から過重労働などで心身の緊張が続いていた人」「人や場の雰囲気の変化に敏感な人」の6タイプ。実際、五月病の症状がある相談者さんは、このどれかに当てはまる人が多かったのです。

1つ目の「良くも悪くも目の前のことに向き合おうとする人」は、きまじめ、誠実、一生懸命などの長所と、融通が利かない、頑固、視野が狭いなどの短所が表裏一体のタイプ。目の前のことに集中して頑張ろうとする人や、目の前の人と向き合おうとする人は、それがうまくいかないときに、五月病や適応障害のような症状が出やすいものです。

2つ目の「新しい環境への期待や理想が高かった人」は、現実とのギャップに苦しみやすいところがあります。さらにそのギャップを埋めようとするほど緊張やストレスを感じやすくなるのがつらいところ。理想をいったん手放して現実を受け止められたら楽になれることはわかっていても、それがなかなかできずモヤモヤを募らせていきます。

3つ目の「何でも白黒をはっきりつけたがる人」は、成功か失敗か、勝ちか負けか、正解か間違いかなどをはっきりさせたいタイプ。しかも、失敗、負け、間違いなど“黒”のときだけでなく、“グレー”の状態でもストレスを感じる分、他の人よりも症状が出る可能性が高くなります。成功、勝ち、正解など“白”を得るまでの過程を楽しめず、せっかちなのも特徴の1つでしょう。

4つ目の「ネガティブなことだけ積み重ねていく人」は、「またか」「いつもそう」「何で自分ばかり」などと小さなストレスを積み重ね、大きなストレスがあるように感じやすいところがあります。逆にポジティブなことは別々でとらえて積み重ねないため、幸せを実感しづらいのも、このタイプの特徴。主に、自分を責めるタイプと、人にせいにするタイプに分かれますが、どちらも孤立しがちです。

危険な生活の乱れと栄養の偏り

5つ目の「以前から過重労働などで心身の緊張が続いていた人」は、たとえば昨年秋ごろから年度末の3月あたりまで過重労働が続いていた。また、それによって生活リズムが乱れている人。肉体的な疲労と精神的な緊張が続き、誰にも相談せず頑張り続けた人ほど、連休をきっかけに倦怠感を覚えるケースが少なくありません。

6つ目の「人や場の雰囲気の変化に敏感な人」は、他人に気をつかいすぎたり、表情や機嫌を感じ取ったりするタイプ。「上司が変わった」「同僚の異動」「新人の入社」「業績悪化などで職場の雰囲気が変わった」「プロジェクトのチームがギスギスしている」など、環境が変わっていないのに連休をきっかけに五月病の症状が表れるのはこのようなケースです。

これら6つのタイプに当てはまる人は、長期連休によって心身の緊張がゆるみ、倦怠感を覚えやすいなどの症状が出やすいところがありました。自分にあてはまるタイプはないかチェックしてみてください。

次に、五月病の相談者さんに多かった連休中の行動パターンをあげていきましょう。こちらのほうが明確な傾向があって、その最たるものが、生活の乱れと栄養の偏りの2つ。

実際、連休中の生活を尋ねると、「遅寝遅起き」「家からあまり出なかった」「食事はコンビニやデリバリー。または、あまり食べなかった」「休みなので暴飲暴食してしまった」「ずっと寝そべってテレビやネットを見ていた」「ゲームをやり込んだ」などの乱れが見られました。「連休だけの間」と思っていても、特に仕事や学校でストレスを抱えている人は、なかなか生活の乱れを元に戻せないところがあります。

それ以外の行動パターンでは、「帰省先や旅行先でほとんど何もしなかった」という人、「仕事のストレスを解消するために遊びまくったけど、終わってみたらそれほど楽しめなかった」という人、「帰省や旅行帰りの極端な混雑で、通勤ラッシュを思い出して行きたくなくなってしまった」という人、「連休中は家族サービスばかりで休めなくて疲れてしまった」という人などがいました。

職場や学校でのストレスに加えて、不規則な生活、栄養の偏りなどが自律神経の乱れにつながり、倦怠感や不安を覚えやすくなっていくのでしょう。多少なりとも身に覚えがある人は要注意です。

ストレスを軽くする日常の思考回路

では五月病の症状を自覚したとき、どのように対処すればいいのでしょうか。そのアプローチは、“思考”と“行動”の2つから考えられます。

まず“思考”からのアプローチですが、前提として大切なのは、ストレスの捉え方。「ストレスは自分だけがあるものではなく、誰にでもあるのが普通で、どんな過ごし方をしてもある程度は感じるもの」「完全になくなることはないけど、『それがあると生きていけないほど嫌』までではないもの」という認識がベースになります。

小さなストレスを集めて、大きなものとして実感させないこと。逆に、幸せを感じられるものは集めて、大きな幸せとして実感すること。1つストレスを感じたら、1つ幸せを実感できることをして、その都度減らしておくこと。日ごろからこれらを心がけておくだけでストレスが軽くなるものです。

「頭の中を整理するのが苦手」という人は、自分の現状を書き出してみることがおすすめ。ストレスを感じるものと、幸せを実感するものを書き出していくことで、過不足なく自分の現状を把握できるので、「思っていたより悪くないかな」「こんなにいいこともあるから大丈夫かも」などと落ち着けるかもしれません。特にストレスに敏感なタイプの人は、「過剰に感じていないか」をチェックするために試してみてはいかがでしょうか。

次に“行動”からのアプローチですが、地味でも優先してほしいのは、規則正しい生活と睡眠の質を上げることの2つ。

休日前夜は少し早めに寝て、翌朝はふだんと同じ時刻に起き、ゆっくり朝食をとる。晴れていたら太陽の光を浴びて体を起こすために散歩するのもいいでしょうし、そこで昼食を買ったり食べたりもあり。朝・昼・夜の食事は暴飲暴食こそNGですが、素直に好きな料理を食べて、好きなお酒を飲めばいいのではないでしょうか。

日中の過ごし方はもちろん自由ですが、ベースは「自分が笑顔でいられるときを過ごす」こと。好きな場所へ行く、好きなコンテンツを見るなど、無理にストレス発散させようとするのではなく、心身をリラックスさせたいところです。

一日を構成する5つのバランスを探る

また、倦怠感があるときは「人と会わないでおこう」と思いがちですが、それなりに心を許せる人と会話することも大切。話すだけで気持ちが軽くなることもあれば、その流れで不安を打ち明けられることもあるでしょう。もし「心を許せる人がいない」という人は、似た境遇の人が集まるコミュニティや相談窓口などで話すことで不安の軽減が期待できます。

もう1つ体の倦怠感がある人におすすめなのは運動。特に「心の重さが体の重さにつながっている」という人は、運動で筋肉や関節をほぐし、血流をよくすることで心身をリラックスさせられると言われています。なかでも、「家で十分休んだのに体が重い」という人ほど運動が必要なのかもしれません。

ちなみに私の相談者さんに「運動は苦手でやりたくない」という男性がいました。その男性は動物が好きで「犬か猫を飼いたい」とも言っていたので、私は「犬を飼って散歩することも1つの方法」と提案してみたのです。その約半年後、犬を飼いはじめた男性は「毎日1時間程度の散歩がいい運動になり、朝起きるのが早くなって規則正しい生活になった」と報告してくれました。

そしてもう1つ大切なのが、睡眠の質を上げること。休日前夜こそ夜ふかしせず早めに寝る。昼食後に昼寝の時間を作る。また、日ごろから日が沈んだらデジタル機器の使用をやめて頭と体を休める。布団と枕を自分に合うものに買い替える。布団を干すか、布団乾燥機を積極的に使う。これら行うことで、「睡眠の質が高くなった」という実感を得ることも、自律神経の乱れを整え、倦怠感の軽減につながると言われています。

人間の一日は主に、睡眠、食事、勉強・仕事、対人、趣味(運動)という5つの要素で構成されているので、これをバランスよく行える人は自律神経が乱れにくく、倦怠感を覚えにくい状態を保てるでしょう。「リラックスできてストレスを感じづらい」という自分に合う生活のバランスを見つけたいところです。

少し遅れて症状が表れるケースも

私の相談者さんは軽めの適応障害で、徐々に改善していく人が多いのですが、「これらの方法も試そうと思えない」「何をしても楽しくない」「だるさを感じるのに眠れない」「遅刻や欠席・欠勤が増えた」「家事をせず、食事も適当で、部屋が散らかっている」。もしそんな状態が5月下旬になっても続いていたら、やはり医療機関で受診したほうがいいでしょう。

また、厚生労働省によるメンタルヘルスの情報サイトや相談窓口などもあるので、これらを頼ってみるのも1つの手です。とにかく1人で抱え込まないで、話を聞いてもらうことだけでも試してみてはいかがでしょうか。

さらに、ゴールデンウィークが明けたばかりの今、「そういう症状はない」という人も油断は禁物。このところ連休が明けてすぐではなく、5月下旬から6月にかけてストレスや倦怠感を自覚し、「やっぱりダメだった」と問い合わせをする相談者さんが増えています。

いずれにしても、自分は大丈夫なのか。自分の家族、友人、同僚は大丈夫なのか。連休明けからしばらくの間は気にかけておいたほうがいいかもしれません。

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寝ても疲れがとれない人がすべき「3つのこと」

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提供元:GW明け「五月病になる人」「ならない人」を分ける差|東洋経済オンライン

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