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2023.05.03

「赤身肉は避けたほうがいい」意外な健康理由|霜降り肉のほうが「腎臓」への負担は少ない


赤身の肉の意外な落とし穴とは(写真:freeangle/PIXTA)

赤身の肉の意外な落とし穴とは(写真:freeangle/PIXTA)

成人の5人に1人が腎臓病という統計があるほど、腎臓病はポピュラーな病になりました。悪化すれば、透析に至る恐れもあり、身体的にも経済的にも大きな負担になります。普段から腎臓病にならない生活を心がけることが重要ですが、そのために押さえておくべき意外なポイントを、腎臓専門医の髙取優二氏の著書『人は腎臓から老いていく』より、一部抜粋、加筆、再編集してお届けします。

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「赤身」は実はヘルシーではない

美味しい牛肉の代名詞ともいえる「霜降り」のお肉。

牛肉のランクを決める基準の一つに、サシ(脂肪)がどれだけ細かく入っているか、ということがあるそうです。いわゆる「A5ランク」の高級肉は、綺麗にサシが入った霜降りの肉ということになります。

ただ、最近は健康志向の強まりに合わせて、霜降り肉を敬遠する人も増えているようです。

脂質がそれだけ多いので、コレストロールや中性脂肪を増やす要因になると考えられているのです。

その代わりに、人気が上がってきているのが「赤身」の肉。

脂肪分が少なく、タンパク質が豊富でヘルシーだというわけです。

確かに、そういう側面もありますが、腎臓専門医の立場からすると、手放しで推奨はできません。赤身の肉には意外な落とし穴があるのです。

腎臓の機能を守るためには、赤身の肉は避けたほうがいいでしょう。

理由の一つは、たんぱく質量の割に、リンが多いからです。

リンの過剰摂取は、腎機能低下、慢性炎症の引き金となることがわかっています。

リンは、私たちが生きていく上で必須のミネラルです。体を動かすためのエネルギーになったり、代謝などで重要な役割を担ったりしています。

また、カルシウムとともに骨格を形成する働きもあります。

ところが、リンの過剰摂取によって血中のリン濃度が上昇すると、カルシウムとリンのバランスが崩れ、骨から血液中にカルシウムが放出されます。そのため、骨のカルシウム量が減少する骨軟化症などのリスクが高まります。

また、血液中のリンが血管に入り込んで、骨のように硬くなる石灰化が起こります。

それだけでなく、リンとカルシウム、血液中のたんぱく質が結びつくと、血管の内側を傷つけて炎症を起こしたり、血管が硬くなる「石灰化」を誘導します。

こうして、腎臓の血管が動脈硬化を起こすと、腎臓の機能が大幅に低下します。

腎臓は「体のゴミ」を外に出している

「腎臓は血液をおそうじするフィルター」

このたとえ話、多くの人が耳にしたことがあると思います。

車の場合は、ガソリンを燃料にして動く際に、排気ガスを外に出しています(電気自動車を除く)。それと同じように、人間は空気と水と食物を体内に入れて活動していますが、その結果、体内で発生する有害なゴミ(老廃物)や毒素は、体外に排出しなくてはなりません。

人間の体の細胞の数は、およそ37兆個といわれています。一つひとつの細胞が、血液で運ばれてきた栄養と酸素を受け取り、ゴミや二酸化炭素を戻しています。

ゴミには、次のものがあります。

●尿素窒素……たんぱく質が分解された後にできるゴミ
●クレアチニン……筋肉が運動するためのエネルギー源の燃えカス
●尿酸……遺伝子の構成成分であるプリン体が、肝臓で分解されてできるゴミ

血液に乗って運ばれてきたゴミは、腎臓の糸球体という組織でふるいにかけられて、不要なものは尿として排泄されます。つまり、尿は血液からできているわけです。

腎臓の働きが低下してふるいがザルになると、血液中にゴミが残るだけでなく、必要なものは尿に混ざってどんどん出ていきます。

体のゴミの排泄というと、便を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、便に含まれるのは食べ物の残りカスや腸内細菌の死骸など、ほとんどが腸のゴミです。

一方、尿については、血液に乗って運ばれてくる、全身のゴミを排泄しているのです。便秘が数日続いても不快な程度ですが、尿が出なくなることは生命の危機につながる深刻な事態です。

この状態が続いたら、体にはゴミがたまっていき、命の危機にさらされます。

ただ、その変化は少しずつ起こるので、自覚症状はなかなか現れません。むくみや頭痛、だるさを感じるようになっているときには、すでに腎臓の機能低下はかなり進行しているので、「非常にまずい状態」になっています。

もしも体から腎臓がなくなれば、汚れ切った血液が全身を巡り、脳や心臓、肝臓などはゴミだらけです。そのために、全身の臓器は本来の機能を果たせなくなるのです。実は、これが、老化の大きな要因にもなります。

腎臓で尿がきちんと作られることで、血液中のゴミが取り除かれて、細胞や臓器が本来の働きを行える状態になっています。

リンの過剰摂取は、腎臓のフィルター機能を低下させる恐れがあるのです。

ベーコンなどの加工食品は、リンが多く使われており真っ先に避けるべきです。赤身の肉などの動物性たんぱく質もリンが豊富なので、過剰に摂取することは控えた方が賢明です。牛肉がお好きな方は、霜降りの肉を選んだ方が、腎臓への負担は少ないのです。植物性たんぱく質のリンは、腸からあまり吸収されませんので、比較的安全です。

腎臓の大敵「メチオニン」

もう一つの問題点は、腎臓に悪影響を与える「メチオニン」というアミノ酸の存在です。

たんぱく質を構成しているアミノ酸の中で、体内で合成されないものを「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸は体の外から補わなければならず、栄養学的には積極的に取ることが推奨されてきました。しかし、取り過ぎると、逆に老化を促す場合もあります。

そんな必須アミノ酸の一つが、メチオニンです。

メチオニンは、肉類、鶏卵、マグロやカツオなどの魚介類、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐や納豆といった大豆が原料の食品に多く含まれています。

メチオニンを過剰に摂取すると、血管の中に蓄積して悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と結合することで、動脈硬化を引き起こします。

カロリー制限の効果を検証した動物実験で、メチオニンの含有量を減らしたエサを与えたネズミのグループは、そうではないグループと比べて腎機能が保たれて寿命が延長したと報告されています。

たとえ必要とされている栄養でも、年齢を重ねると体内でうまく利用されず、蓄積していくことで血管などにダメージを与える場合もあります。成長期の子どもや20~30代の「健康常識」が、そのまま40代以降にも当てはまるわけではありません。

さらに、赤身の肉には、鶏肉や豚肉などと比べ、腎臓に悪影響を与えるカルニチンが多く含まれることが分かっています。

また、メチオニンは、動物性のたんぱく質に含まれているものは腎臓に負担をかけますが、実は大豆などの植物性たんぱく質に含まれている場合、ほとんど吸収されません。

たんぱく質を積極的に摂取する場合には、大豆など植物性の食品を選ぶようにしましょう。

たんぱく質は植物性がベター

そもそも、動物性たんぱく質を多く含む肉類を食べ過ぎると、体内で尿素窒素やクレアチニンなどの体のゴミ(老廃物)が増えてしまいます。動物性たんぱく質を過剰に摂取すると、こうしたゴミを排泄するために、腎臓への負担が大きくなります。

『人は腎臓から老いていく』(アスコム)

『人は腎臓から老いていく』(アスコム)

腎臓の機能が落ちた場合に、たんぱく質の制限が行われているのは、こうした理由によるものです。ただ、たんぱく質を制限し過ぎれば、筋肉が弱って、サルコペニアやフレイルの問題が起こります。

そのため、含まれているリンが体に吸収されにくく、クレアチニンなども発生させにくい植物性の食品で、たんぱく質を積極的に補給してください。

大豆を使った大豆ミートなど、代替肉を利用するのもいいでしょう。代替肉にも加工度によって添加物の量に差があるので、できるだけ添加物の少ないものを選ぶよう心がけてください。

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「バーベキューは体に最悪の食べ方」医者語る根拠

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提供元:「赤身肉は避けたほうがいい」意外な健康理由|東洋経済オンライン

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