2023.03.08
安くてキャベツ絶品「スタミナ炒め」手早く作る技|実は「焦げ目」がごちそう、ご飯がすすむ味
ご飯がすすむ「豚肉とキャベツのスタミナ炒め」の作り方を伝授します
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回はご飯がすすむ「豚肉とキャベツのスタミナ炒め」の作り方を伝授します。
『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』 ※外部サイトに遷移します
冬キャベツと春キャベツの違い
年中おいしく、安価なキャベツですが、出回る量が多いのは冬から春にかけて。一般に冬キャベツ、春キャベツといいますが、これら2つは品種からして別のもの。どちらも甘みが特徴ではありますが、味や性質が異なるので、適した料理法も異なります。
一番の違いは糖度です。冬キャベツの糖度は10度を超え、これは果物並みです。ブランドキャベツのなかには12度を超えるものもあります。一方、春~夏に出回る春キャベツの糖度は7〜8度といったところ。そのため、春キャベツを加熱する場合は玉ねぎや長ネギとあわせたり、甘みのあるみそを使ったりして味を補う必要があります。
冬キャベツと春キャベツは結球の違いで見分けられます。キュッと丸まっているのが冬キャベツで、巻きが緩いのが春キャベツです。
選び方は、冬キャベツは持って重いもの(しっかり結球しているもの)が火を通したときにおいしく、春キャベツは持って軽いものを選ぶと生でおいしく食べられるでしょう。
今日は豚バラ肉とキャベツのスタミナ炒めを作っていきます。スタミナ炒めはにんにく風味をつけた炒め物につけられる俗称で、ご飯のおかずの定番。にんにくとキャベツには硫黄分が含まれているので、一緒に調理すると同じ硫黄分を持つ肉の風味を強調し、おいしさを作ります。
豚バラ肉とキャベツのスタミナ炒めの材料(2人分)
豚バラ肉(薄切り) 100g
塩 ひとつまみ(0.8g)
ごま油 大さじ1
キャベツ 200g
しょう油 大さじ1+1/2
砂糖 大さじ1
みりん 大さじ1
にんにく 小さじ1/2
タバスコ 少々
七味唐辛子 適量(好みで)
この分量は26cmのフライパンを想定しています。今回は冬キャベツを使っていますが、春キャベツを使う場合は玉ねぎ1/4個(薄切り)を入れると甘みが補えるでしょう。
キャベツ200gは1/4個弱が目安です
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炒めもののコツはあらかじめ調味料をあわせておくこと。炒める、という調理法は言ってみれば高温での和え物です。和え物では調味料を加えてからすぐに食べることが強調されますが、それは炒めものでも同じこと。
塩が入ると野菜の細胞壁の一部(ペクチン)が溶けやすくなり、水分が出てくるので水っぽくなります。そのため、炒めものは「調味料を投入するタイミング」と「その後の調理時間」が味のカギを握ります。調味料を順番に加えていると時間がかかってしまい、失敗するリスクが上がるのであらかじめ合わせ調味料を作っておきましょう。
甘めの味付けですが、タバスコを入れると味が締まります
豚バラ肉は加熱すると脂が抜けて縮むので、やや大きめの3〜4cmに切ります。
豚肉は肩ロース肉などもオススメです
キャベツは3cm角くらいを目安に手でちぎります。
包丁で切ってもかまいません
フライパンにごま油大さじ1をひき、豚バラ肉を並べ、中火にかけます。塩ひとつまみで味付けしましょう。ところで塩ひとつまみというのはどれくらいの量でしょうか。ひとつまみや少々は料理研究家の沢崎梅子が考案した手秤という方法。
ひとつまみ:親指、人差し指、中指の3本で掴んだ塩の量=0.8〜1g
少々:親指、人差し指の2本で掴んだ塩の量=0.3〜0.5g
を指します。計りがあれば一度、自分のひとつまみを計り、感覚として覚えると役に立つでしょう。
塩は片面に振るだけで十分です
薄切りの肉の場合は両面に焦げ色をつけようとすると加熱し過ぎになるので、片面焼きです。全体的に色が変わり、肉の縁が色づいてきたら、焼き上がりの目安。フライパンの端に豚肉を寄せ、キャベツを入れるスペースを作ります。
豚バラ肉から脂が出るので、均等に加熱できます
キャベツを入れ、豚肉をキャベツの上に移します。
キャベツを広げます
ふたをして45秒〜1分ほど蒸し焼きにします。底は焼いた状態、上は蒸した状態になり、効率よく加熱できます。
キャベツの水分で全体を加熱します
ふたを開け、合わせ調味料で味付けします。調味料を加えたら火を止め、余熱でみりんのアルコール分を飛ばします。手早く器に盛りましょう。
キャベツの焦げ目がごちそうです
好みで七味唐辛子を振ります。黒胡椒もあいますし、辛さが苦手であればもちろん省いても結構です。これで出来上がり。甘めの味付けでご飯がすすむ味です。コチュジャンなどの唐辛子みそを添えてもいいでしょう。
出来上がり
炒める、と聞くと鍋をあおって料理するイメージがあると思いますが、豚肉を焼く→キャベツを蒸し焼きにする→調味料を加える=鍋をあおるのであればここから。あおることで調味料が全体に絡まり、鍋の表面温度を下げ、食材全体の温度を上げる効果がありますが、このくらいの量であれば箸でも十分に混ざります。
あおる動作に意識を傾けるよりも、調味料を加えてからの加熱時間を短くし、手早く皿に盛ることを心がけたほうが炒めものは上手にできるでしょう。
(写真はすべて筆者撮影)
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提供元:安くてキャベツ絶品「スタミナ炒め」手早く作る技|東洋経済オンライン