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2023.01.23

「5大変化」で日本人の旅行は2023年かなり変わる|主要観光地から自分が好きな場所へ行く時代に


コロナ禍を経て復活しつつある旅行需要ですが、旅行のトレンドが大きく変わりつつあります。今年はどんな旅が流行するのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

コロナ禍を経て復活しつつある旅行需要ですが、旅行のトレンドが大きく変わりつつあります。今年はどんな旅が流行するのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

世界では、2022年は”海外旅行復活”の1年となったと言えます。国連世界観光機関(UNWTO)は、国際観光は2022年末時点でコロナ禍前2019年比65%まで回復を見込むと発表。また、日本政府観光局(JNTO)によると、訪日外国人も2022年11月は95.5万人と前月(2022年10月:49.9万人)からほぼ倍増し、街中でも観光客を見かけるようになりました。

世界だけでなく、日本も大きく動き始めている2023年の今押さえておくべき「5つの世界の最新旅行トレンド」を紹介します。

観光地は量より質を重視するように

1. 未来の観光のカタチ 〜量から質の時代へ

コロナ禍前は、ある一定の地域において観光客が過剰に増加し、地域住民や自然環境に悪影響を与える「オーバーツーリズム」が問題視されていました。日本でも京都などがそれにあたります。その対策の1つとして、世界各地で”観光税”の導入や見直しが進んでいます。

「幸福の国」として知られるブータンでは、昨年9月に外国人旅行者の受け入れ再開と同時に、それまでは滞在中はつねにガイドが旅行者に同行する施策を廃止。一方で観光税を1人1泊当たり65ドル(約8310円)から、約3倍の200ドル(約2万5580円)へと大幅改定しました。

これは外貨獲得の目的だけではなく、コロナ禍前は年々旅行者が急増し続けていたブータンが、今後オーバーツーリズムとなることを危惧し、もともと掲げていた“High Value, Low Volume(高価値を少人数に)”という観光政策に立ち返るための施策となっています。

イタリア・ヴェネチアも、日帰りの観光客数を抑える目的で、繁忙期で最大10ユーロ(約1390円)の観光税を年内に導入予定。タイでも、今年6月より外国人旅行者から300バーツ(約1200円)を入国税として徴収する予定です。その税金は観光地の開発整備や旅行者の医療保険として使われます。他にも、バルセロナなどスペインのいくつかの都市でも年内に観光税の引き上げが行われる予定です。

また、観光税とは目的が異なりますが、欧州連合(EU)では今年11月までに「ETIAS(エティアス)」と呼ばれるアメリカのESTAと同じ仕組みの「事前渡航認証システム」を導入予定です。これまでは日本からの観光や短期ビジネスでの渡航はビザ免除でしたが、これにより事前にETIASのウェブ申請および7ユーロ(予定、約970円)の支払いが必要となります。

これまでは量を重視することが多かった観光施策の質を求める方針への転換が世界的にトレンドになってきており、そういった国や地域の今後の動向が注目されます。

若い世代は「自分に優しい旅」を求めている

2. 自分に優しい旅 〜ウェルネス&リトリート

コロナ禍で自分と向き合う時間が増えたことにより、これまで以上に個人の価値観が顕在化し、必ずしも「有名観光地へ行く」ことだけが旅行の目的ではなくってきています。そんな中、特にミレニアル世代を中心に人気となっている旅のキーワードは、ウェルネス&リトリート。心と体を癒やし、自分を大切にする旅行です。

例えば、旅先でヨガなどのフィットネスやスポーツを体験する、スパでのマッサージやサウナ、温泉などでリラックスする、健康食を選ぶなど心と体を癒やす目的のアクティビティが、観光地をめぐることと変わらない目的の1つになっています。

大自然の中を散歩したり、スマホの電源を切ってデジタルデトックスをしたり、非日常だからこそできるアクティビティも人気。また、現地の伝統医療を取り入れたホテル、睡眠改善や体質改善などをプログラムとして提供するホテルといった、ウェルネス&リトリートに特化したホテルも世界だけでなく、日本でも増加しています。

3. 航空会社の復活 〜新規就航から新会社設立まで

旅行の回復に伴い、国際線の運航再開のニュースだけでなく、新規就航のニュースも続々届いています。当初は2020年3月就航予定だったエル・アル航空(イスラエル)が、3月1日に成田〜テルアビブ線(週2便)を開設。ウエストジェット航空(カナダ)はアジア初路線として、4月30日に成田〜カルガリー線(週3便)を始めます。ヴァージン・オーストラリア航空(オーストラリア)は、6月28日に羽田〜ケアンズ線(毎日1便)を就航予定で、いずれも日本初就航の航空会社となります。

また、新たな航空会社も世界中あちこちで立ち上がっています。グレーターベイ航空(香港)は昨年7月に1路線目(香港〜バンコク)を就航し、今月12日より成田〜香港線を開設し、日本初就航を果たしました。

ノーザンパシフィック航空(アメリカ)はアラスカ・アンカレッジを拠点とし今年運航を開始予定。日本、及び韓国へも年内就航を予定しており、東アジアからアメリカおよびメキシコへ向かう選択肢としてアラスカ経由が加わります。さらに同社は北マリアナ諸島での合弁会社設立を計画しており、将来的には日本〜サイパン線開設も目指しています。

日本でも今年、新たな航空会社が誕生します。新潟空港を拠点とする格安航空会社のトキエア(新潟)は、今年6月までに新潟〜札幌丘珠線の就航を予定。今秋以降で新潟と仙台、中部、神戸を結ぶ路線、および佐渡と新潟、成田を結ぶ路線の開設も予定しています。国内線の新規参入は大手傘下や外資系を除けば、2009年のフジドリームエアラインズ(静岡)以来14年ぶりとなります。

ほかにも世界では、マラブ(ドイツ)、ボンザ(オーストラリア)、アンティグア航空(アンティグア・バーブーダ)、ガーナ航空(ガーナ)、バリュージェット(ナイジェリア)などの新しい航空会社がすでに運航開始、または年内での運航開始を予定し、コロナ禍前には無かった旅のルートがどんどん増えています。

旅行先や旅行手段も「サステナブル」が意識される

4. ハイブリッドな移動 〜進化するサステナブルツーリズム

観光地本来の姿を持続的に保ったうえで観光する「サステナブル・ツーリズム」は、日本でも認知されつつありますが、「Future of Global Tourism Demand」(オーストラリア政府観光局 2022年)によると、日本人の旅行する際の「サステナブル」への意識は、調査をした20カ国中最下位。

一方、世界では、使い捨てプラスチック廃止などのサステナブルな取り組みを行っているホテルを優先的に選ぶことや、コストが高くなったとしても自然とより共存した形のツアーを選ぶなど意識が浸透しています。

さらには、サステナブルを意識するのは、旅先のホテルやアクティビティ選択だけではありません。近年、移動手段についてもサステナブルなものへの転換が始まっています。フランスでは、昨年4月から鉄道やバスで2時間半以内に移動できる国内へのフライトを禁止する法律が施行され、これにより国内線による二酸化炭素排出量が12%削減されました。

さすがに旅行の際に長距離移動で飛行機を使わないのは難しいかもしれません。しかし、飛行機を使ったとしても、旅の途中の近距離、中距離の移動は鉄道や自転車などを利用した「ハイブリッド」な移動を選択する人が増えてきています。

特にヨーロッパは鉄道網が発達しており、ハイブリッドな移動で数カ国を周遊することも容易にできます。また、自転車道の整備が世界の多くの大都市に行われており、シェアサイクルを利用すれば観光客も気軽に自転車移動が可能です。

サステナブルツーリズムは、観光事業者側の努力も必要ですが、最終的には旅行者のサステナブルへの意識があってはじめて実現するものです。そして継続的にその意識を持つためにも、個人の旅のスタイルに合わせた「自身が無理なく続けられるサステナブルな選択」を旅行に採り入れることが重要になってきています。

万人ウケの「インスタ映え」より熱狂的ファンのいる聖地

5. 聖地巡礼 〜旅先選びはSNSから映画やドラマへ回帰

コロナ禍で韓国ドラマにハマった人も多いのではないでしょうか(何を隠そう、筆者もその1人です)。自宅で多くの時間を過ごすことになった2020年から2021年にかけては、映画やドラマなどを見て”おうち時間”を楽しんだ方も多いはず。そこで見た映画やドラマの世界へ飛び込むことができる「聖地巡礼」は、今年の旅の新たなトレンドになりそうです。

エクスペディアグループの調査(2022年)によれば、世界の旅行者のうち66%が「映画やドラマで見た場所への旅行」を検討し、実際に39%がその旅行の予約をしています。さらに同調査では、旅先を決める際にネットフリックスやアマゾン・プライムビデオなどのストリーミングサービスから受ける影響が、家族や友人からのアドバイスとほぼ同等の影響を持ち、さらにはSNSの影響を上回ったことがわかっています。

つまりは、人々は情報があふれてしまったインスタグラムでの検索ではなく、人気の映像作品で見た光景から旅先を決める時代になったのです。実際に筆者も「梨泰院クラス」や「ヴィンチェンツォ」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(いずれもネットフリックス)などの韓国ドラマを見て韓国旅行を熱望し、昨年9月に渡航しました。今はちょうど「エミリー、パリへ行く」(ネットフリックス)シーズン3を見終わったところで、パリへの旅行熱が異常に高まっています。

観光客を呼び込みたい自治体や観光スポットは、いかにして話題の映像作品に登場するかが、今後のカギになるかもしれません。

これら5つのトレンドが2023年の旅を牽引すると予想しますが、このトレンドからも見えてくるように、人々の旅の目的や旅に期待することが本当に多様化しています。コロナ禍前のように「話題のインスタ映えする観光地」へ一気に人が押し寄せる時代は終わりました。これからは「万人受けする観光地」よりも、「ニッチでも熱狂するファンがいて、多くの選択肢がある観光地」のほうが大きな需要を生むと思われます。

後編:プロ厳選!「2023年行きたい海外旅行先」ベスト8 ※外部サイトに遷移します

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提供元:「5大変化」で日本人の旅行は2023年かなり変わる|東洋経済オンライン

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