2023.01.20
他人の分まで食べる「食い尽くし系」3つの対応策|おかずをせがむ、家にある食べ物を食べ尽くす
身近に「食い尽くし系」の人がいる場合、どう対応すればいいのでしょうか(写真: ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)
大皿に盛ってある食べ物を1人で食べてしまう。家でストックしている食べ物をぜんぶ平らげてしまう。人の食べ物を勝手に食べてしまう――。
こうした、いわゆる「食い尽くし系」が、SNSで話題になっている。今月ツイッターで「男性と食事中に、『これ食べる?』と何度も聞いたり、相手が立ったときに(相手の食事を)食べてしまう人がいるが、カウンセラーによると『一種の過食症とモラハラであるため兆候があれば絶対結婚しないで』といわれた」という内容の投稿があり、これを受けて「大皿にのっていたものをほとんど平らげられた」「翌日の作り置きまで食べられた」と、さまざまな意見が飛び交った。
「友人からおかずを延々とせがまれる」
「食い尽くし系」はパートナーに限った話でもないようで、「祖父が孫の食べ物まで奪おうとする」などの声や、「学生時代に、友人から弁当のおかずを次から次へとせがまれたことがあった」との話もあった。
こうした「食い尽くし系」には、どう対応すればいいのだろうか。筆者は3つの対応策があると考えている。
1つ目は、「もし自分の食事が勝手に他人に食べられたらどう思うか?」と"自分ごと"として考えてみることだ。パートナーや家族が「食い尽くし系」である場合は、「もしも勝手に食べられたらどう思うのか」、聞いてみて、自分自身で考えてもらうのもありかもしれない。
「食い尽くし系」がどのようなものであるか、自分自身がその被害者になったらどう思うのか、さらには自分が加害者になっているかもしれないと、"自分ごと"として想像を働かせてみることが、極めて重要だ。
2つ目は、食事の場でのちょっとした工夫だ。
「食い尽くし系」は、実は2019年頃からすでにSNS上で取り上げられているものの、身近に「食い尽くし系」の人がいて体験した人と、体験していない人とで認識にも差があるようだ。
そのため重要な問題である一方で、話題になっても忘れ去られてしまうことが多く、本当に困っている当事者への解決方法が、まだまだ周知されていない。食事の場で「食い尽くし系」の人に出会ってしまい、戸惑っている人も少なくないようだ。
家族の場合は冷蔵庫の中にあるモノを明示したり、全員が揃ってから食事することを徹底したり、それぞれの食事をあらかじめ小皿に盛るなど、対策はいくつかある。こうした対策をとることで、各々楽しく食事をとることができるだろう。
食育に「食い尽くし系」を組み込む
3つ目は、食育への組み込みだ。
食育とは、農林水産省によると「生きるうえでの基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、さまざまな経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること」とされている。食育を推進するために2005年に制定されたのが、食育基本法である。
・食育基本法/農林水産省(サイトはこちらより) ※外部サイトに遷移します
食育基本法をもとにして、2021年3月31日に公表されたのが、第4次食育推進基本計画だ。2021年度から2025年度までの5年間の計画であり、ここでは共食の重要性も述べられている。
・第4次食育推進基本計画/農林水産省(サイトはこちらより) ※外部サイトに遷移します
「食い尽くし系」になる要因として、摂食障害や発達障害が挙げられることもあるが、その関連性がはっきり解き明かされているわけではない。何かしらの病気だけが主因ではないとすれば、食育でもカバーできるのではないだろうか。
共食=他人との食事の場においては、自分が食べられる分量を考えたり、相手のものを勝手に取らなかったり、同席者の気持ちをおもんぱかったりすることは、基本中の基本だ。
たとえば学校などの教育の場で、食育で共食を推進するにあたり「食い尽くし系」の例を取り上げることができれば、子どもにその傾向がある場合は、本人も気付きが得られたり、家族で授業で聞いた話を共有するなど、家庭内でも浸透するのではないだろうか。
食事はコミュニケーションを促進する場でもある
人は食べなければ生きていけない。人にとって食事は必要な営みだが、ただ単に栄養を摂取するためだけに食事しているわけではない。誰かと共に食事することによって、コミュニケーションを促進したり、人間関係を円滑にしたりしている。せっかく共食しているにもかかわらず、「食い尽くし系」によってその関係性が壊れてしまうのは残念だ。
「食い尽くし系」のことがもっと周知されることによって対策も行われ、少しでも快適な食事が紡がれることを願いたい。
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提供元:他人の分まで食べる「食い尽くし系」3つの対応策|東洋経済オンライン