2022.10.05
濃厚で官能的な「ベーコンエッグ」家で作る簡単技|カリカリベーコンと卵黄が食欲そそる朝の定番
カリカリベーコンと濃厚な卵黄が食欲をそそる、ベーコンエッグの作り方を伝授します
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回は朝の定番「ベーコンエッグ」です。
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カリカリに作るには「ベーコン選び」が重要
ベーコンエッグは朝食の定番。カリカリのベーコンと濃厚な卵黄が混ざりあう官能的な料理で、ジョン・スタインベックの短編小説『朝食』でも物語を象徴する料理として登場します。
通常のベーコンエッグはフライパンにベーコンを並べ、中火で加熱したところに卵を落とし、一緒に焼き上げるもの。ベーコンと卵の加熱をそろえるのが難しく、卵と接触している部分のベーコンが湿ってしまうので、僕のレシピはそれぞれを焼く工程を分け、さらにベーコンの加熱に一工夫することで、ジューシーさとカリカリ感を両立させています。
カリカリベーコンを作るにはまず、ベーコン選びが重要です。安価なベーコンは食感としてはハムに近く、焼いてもカリカリにはなりません。やや高価でも、伝統的な製法で作られている製品を選びましょう。英語で「Streaky Bacon(縞模様ベーコン)」と呼ばれる脂肪と赤身の肉のバランスがいいものが最適。
卵は1人1個を使いますがもちろん2個に増やしても
ベーコンエッグの材料 (2人分)
卵 2個
ベーコン 100g
塩
材料はシンプルです。フッ素樹脂加工のフライパンを使っていますが、家に鉄のフライパンしかない場合は最初に鍋になじませる油として、オリーブオイル小さじ1程度を足してください。
まずベーコンの下処理からです。ベーコンをパックから取りだし、オーブンペーパーなどに広げます。
ベーコンは常温に戻したほうが広げやすいです
もう1枚オーブンペーパーを重ね、麺棒などで伸ばします。これがこのレシピの秘密。この工程でベーコンが薄くなり、繊維が壊れるのでやわらかくなるのです。
麺棒がない場合はワインの瓶などを使ってください。あまり強く伸ばしすぎると崩れてしまうので、ほどほどに
扱いやすくするために半分に切りましょう。
半分に切ります
フッ素樹脂加工のフライパンにベーコンを重ならないように並べ、中火にかけます。音がしてきたら弱火に落とし、さらに焼きます。
26cmのフライパンを使っています
裏返しながら両面を加熱すると、やがて焼き色がついてきます。
いいベーコンは脂が跳ねにくいのも特徴です
2〜3分経ったら、ここで半分を取りだします。カリカリベーコンは水分が完全に抜けてしまうので、ジューシー感が味わえません。そこで半量はさっと焼いて取りだし、ベーコンそのものの味を楽しみます。
ベーコンは焼きすぎないこと
残りのベーコンをさらに焼いて、カリカリにします。最初に取りだしたベーコンからも脂が出ているので、ベーコンの脂で揚げ焼きしているような状態になっているはずです。6分経過した段階で、強い焦げ目がつきました。
強い焦げ目がついています
ここで残りのベーコンをキッチンペーパーに取ります。カリカリベーコンの出来上がりです。
冷ますと余熱でカリカリになります
ベーコンの脂で焼いていくので、油ハネを防ぐために、卵の白身の水っぽい部分をザルなどで除去します。水っぽい部分は水様性卵白という部分で食べられますが、鶏の餌に由来する臭みなどが残っている場合があり、除去したほうが濃厚な味になります。
水様性卵白は少量ですが、捨てるのがもったいないという場合はみそ汁(みそは臭みを消す効果が強い)に入れてください。
卵1個分であれば、茶こしなどを使ったほうが簡単です
ベーコンの脂が残っているフライパンに卵を入れ、再び中火にかけます。
たっぷりのベーコンの脂で揚げ焼きにします
卵の周りが固まってきたら、スプーンで脂を白身部分にかけながらさらに焼きます。フライパンを傾け、脂を手前に集めるとかけやすく、フライパンが熱源から離れるので温度調整もできます。
写真は1人分を焼いていますが、2人分の場合はもちろん2個同時に焼いてください
焦げ色がついたら最初に焼いたベーコンをさっと温めます。温めるだけが目的ななので加熱しすぎには注意。
白身の縁にカリッとした焼き色がつくぐらいが目安です
皿にベーコンを敷き、目玉焼きをのせます。そこにカリカリベーコンを添えます。全体に粒の粗い塩(フルール・ド・セルやマルドン・クリスタルシーソルトなどがおすすめ)をちらします。好みで黒胡椒を挽いてもいいでしょう。
出来上がり。
カリカリベーコンを手で砕いて、フォークとナイフで食べてもいいでしょう
ベーコンエッグにはやはりカリカリに焼いた薄切りの食パンがよく合いますが、醤油を少しかければご飯にもよくあいます。焼いたベーコンにはさまざまな香りが複雑に含まれているので、あらゆる食材と相性がいいのです。
シンプルな料理だけに1つひとつの工程をきちんと踏むことが重要ですが、それ以上に食材選び(この場合はベーコン)が味のカギを握ります。料理の味は技術ではなく、食材で決まるのです。
(写真はすべて筆者撮影)
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提供元:濃厚で官能的な「ベーコンエッグ」家で作る簡単技|東洋経済オンライン