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2022.09.26

「中高年でお腹が出る」のは不摂生が原因ではない|体型を大きく左右する若いときとの違いとは


中高年は若い時とは違う体の状態を把握したうえでトレーニングをするべき(写真:プラナ/PIXTA)

中高年は若い時とは違う体の状態を把握したうえでトレーニングをするべき(写真:プラナ/PIXTA)

筋トレは、体型を筋肉質に変えるだけではなく、生活習慣病の症状を改善することも報告されている。しかし、中高年男性が若い人と同様にハードなトレーニングを行っても、あまり効果は期待できない。そこで中高年がおさえておくべき、男性ホルモンと筋肉肥大のメカニズムを紹介する。(※本稿は『50歳からの科学的「筋肉トレーニング」』より一部抜粋・再編集してお届けしています。)

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筋トレ効果の違いはホルモンの違い

同じトレーニングをしても、若者と中高年では筋肉の付き方が違います。なぜでしょうか?

一言で言えば、ホルモンの違いです。

同じトレーニングをして同じものを食べても、若者と中高年では筋肉の付き方が違うのは、中高年は様々なホルモンが低下していくからです。どのようなホルモンが低下するかというと、いわゆる「アナボリック・ホルモン」と言われる一群のホルモンで、テストステロン(男性ホルモン)、成長ホルモン、IGF-1(インスリン様成長因子:成長ホルモンとともに成長を促進する働きを持つ)などです(図1)。

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アナボリック・ホルモンは「タンパク質同化ホルモン」とも呼ばれ、タンパク質の合成を促進したり、タンパク質の分解を抑制したり、タンパク質のもととなる窒素の蓄積を促進したりするホルモンの総称です。一言でいえば筋肉を増やすために働くホルモンです。「同化」は「作る」と同じ意味と思ってください。これらタンパク質を作るために必要なアナボリック・ホルモンが、中高年になると低下してしまうのです。

たとえるとしたら、パンを作る時に酵母が少ないと、いくら練っても、水や小麦を足してもパンはほとんど膨らみません。酵母が多ければ、膨らみが良くなります。アナボリック・ホルモンは、筋肉において酵母のような働きをすると考えてください。いくらトレーニングしても、いくらタンパク質を摂っても、アナボリック・ホルモンが少ないと筋肉は膨らみません。

若い頃はアナボリック・ホルモンが体中に充満しているので、どんなものを食べても、どんなトレーニングをしても筋肉は付きます。それはアナボリック・ホルモンが代謝機能を良くし、筋肥大メカニズムに必要なキナーゼ(細胞を活性化させる酵素)とサテライト細胞(筋肉になる前の細胞。活性化されて筋肉になる)を活性化するからです。

アナボリック・ホルモンは、トレーニングと食事に対する体の反応を決定します。ですから、いくらトレーニングしてもアナボリック・ホルモンの量が少なければ、体は少ないなりの反応しかしないので、大部分のトレーニングは無駄になってしまいます。したがって中高年になってアナボリック・ホルモンが減少したら、若い頃と同様に「トレーニングはハードにすればするほど良い」というわけではなくなるのです。

男性ホルモンの減少でメタボになりやすくなる

何をしても楽しくない。エネルギーがない。性欲もない。最近、このように感じたことはありませんか? これは体内で分泌されるホルモンの変化が原因です。

女性の更年期とそれによる更年期障害はよく知られていますが、同様に男性にも更年期はあります。どちらの更年期も性ホルモン、女性の場合は主に女性ホルモン(エストロゲン)、男性の場合は主に男性ホルモン(テストステロン)の減少、つまり性腺機能の低下によって起こります。

テストステロンの減少は、生殖能力の低下のみならず、いわゆるメタボリック症候群になりやすくなるほか、心血管疾患、体脂肪、糖代謝、脂質代謝などのリスクを増加させ、精神面にも影響を及ぼします。

テストステロンは、なぜ「男性ホルモン」と呼ばれるのでしょうか?

テストステロンが男性にとっていかに大切なホルモンかを知るために、テストステロンが不足する病気(性腺機能低下症)を見てみましょう。

性腺機能低下症は、男性の成長・発達などに重要な役割を果たすテストステロンが十分に産生されない状態を指します。性腺機能低下症は生まれつき、または病気、怪我、それ以外にも加齢や生活習慣によって発症する疾患です。症状は、胎児の場合は男性生殖器の未発達、思春期の場合は筋肉量、声、体毛や性器の発達の遅れがあります。

成人の場合は、性欲やエネルギーの低下、うつ病が発症の初期の兆候として見られます。症状がさらに進むと、ED、不妊、体毛や筋肉量の低下、女性化乳房、骨粗しょう症、代謝機能障害などに拡大する可能性もあり得ます(図2)。

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テストステロンは非常に強力なホルモンであり、男性の健康に大きな影響を与えます。しかし、テストステロンは一般的に健康診断などでは検査項目に含まれておらず、患者本人の症状説明と専門の医師がいない限り、性腺機能低下症と診断することが困難です。

性腺機能低下症は男性のQOLを大幅に低下させます。性腺機能低下症特有の症状以外にも、低テストステロンによって肥満、2型糖尿病や循環器の障害につながる可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。近年では様々な治療薬が開発され、ほとんどの患者の性腺機能低下症を治療できるようになりました。

加齢による性腺の機能低下

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テストステロンが不足する状態を、性腺機能低下症と名付けていますが、ほとんどの場合は「病気」ではなく、ただ加齢によって体内のテストステロン量が低下する自然な現象です。加齢によってテストステロンの分泌自体が低下するとともに、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)というテストステロンと結合する糖タンパク質の増加によって、有効なテストステロンがさらに少なくなります。これらによって、年をとると体が使えるテストステロンが少なくなりますが、それは自然な流れであり、病気ではありません。

繰り返しますが、健常な男性でも加齢によるテストステロンの低下は自然の流れであるので、「テストステロンが少ないから病気だ」と短絡的に思わないでください。けれど、中高年が筋肉を付けるには「テストステロンが少なくなっている」ということをしっかり意識して、それなりの工夫が必要です。加齢によるテストステロンの低下は、トレーニングや食事、生活習慣の見直しなどで、改善できる可能性があります。

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提供元:「中高年でお腹が出る」のは不摂生が原因ではない|東洋経済オンライン

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