2022.09.21
物覚えが悪い人は覚えられるコツをわかってない|抜群に効率が高まる「脳の使い方」、3つの共通点
覚えられないのは脳の使い方のせいだった(写真:Fast&Slow/PIXTA)
新しい知識や情報に接したとき、すぐに覚えられる人となかなか覚えられない人がいます。その差は能力や頭の良さではなく、脳が記憶モードになっているかどうかです。
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覚えられないのは、年をとればしょうがない?
大切なことをド忘れしてしまった。何度も同じところで間違える。人の名前と顔が、いつまでたっても一致しない。こんな悩みを抱えていませんか?
「年をとったから記憶力が下がるのはしかたない」
「やることが多くて忙しいから、多少はやむを得ない」
などと思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、物事を効率良く記憶するためには、コツがあります。そのコツをおさえることで、脳を「記憶モード」に変え、必要なときに必要な知識や情報を思い出すことができるようになるのです。
どのようにすれば、必要な知識や情報を効率良く覚えることができるのでしょうか?
私たちは今回、100人以上の「学びの達人」たちが書いたベストセラーを精読し、頭が良い人、勉強で結果を出してきた人の勉強法について研究しました。そして、誰でも効率良く学びを深めていくための絶対ルールを発見しました。
今回は、その絶対ルールの中から、記憶力を高めて必要な知識や情報を効率良くインプットするために最も大事なポイントを3つ、紹介します。特別に時間をかけたり労力を費やしたりしなくても、格段に効果のある方法です。
(1) 物覚えが悪い人は「そもそも振り返らない」
大切な知識や情報が覚えられない理由を端的にいうと、それは、その人の脳が「この情報は大事だ」と認識していないからです。脳には脳の性質があり、その性質に従ってはじめて、物事を記憶できます。つまり、脳の性質に従う形で「この情報は大事だ」と教え込まなければいけません。
では、どうすれば脳に「この情報は大事だ」と認識させることができるのか。それは大事な知識や情報に触れた後に「遅くとも翌日までに、必ず1回は、振り返る(復習する)」ことです。
私たちの脳は、繰り返し触れた情報を「大事だ」と判断し、記憶する性質を持っています。ですから、大事な情報に触れたら、必ず一度は振り返ること。その1回目は、遅くとも翌日までにすること。それだけで、記憶に残りやすくなります。
たとえば会議で重要な伝達事項を聞いたら、自席に戻ったタイミングで一度、キーワードを振り返っておく。キーパーソンを紹介されたら、その日のうちにその人のことを一度だけ思い出す。情報に触れた直後や出会ったその日であれば、難しいことではありません。
そのたった数秒の振り返りで、忘れるリスクは格段に下げられるはずです。
情報や知識は「使おう」とすることで記憶に残る
(2) 物覚えが悪い人は、アウトプットの意識がない
知識や情報に触れる際、「この知識や情報をどこかで使おう」という意識を持つだけで、さらに記憶力を高めることができます。ただ話を聞くだけ、ただ読むだけ、ただ言葉を交わすだけで覚えられるほど、人間の脳は単純ではありません。インプットした知識をアウトプットする――実際に使うというプロセスを経てはじめて、記憶力が鍛えられ、内容を思い出しやすくなるのです。
知識をアウトプットするとは、学習であれば、その知識を使って問題を解いたり、試験を受けたりすることです。あるいは仕事であれば、その知識をもとに考えを深めたり、発表したり、人に教えたり、ということが該当します。
アウトプットを意識的に行うことによって、記憶に定着しやすくなるほか、
・「覚えたつもり」がなくなる
・覚えた知識の活用方法がわかる
・インプットしきれていない箇所がわかる
といった利点も得られます。
インプット2:アウトプット8か、インプット3:アウトプット7が、記憶に定着しやすいバランスといわれています。大切なことや覚えておくべきことは、積極的にアウトプットすることが不可欠です。
(3) 物覚えが悪い人は「覚えられないのは努力が足りないせい」と思っている
物事を覚えようと思ったら、そのために時間をかけたり、努力したりすることは確かに大切です。では、たくさんの物事を覚えようと思ったら、休憩する間も惜しんでとにかく机に向かい続けなければいけないのでしょうか。
いえ、そうではありません。勉強のプロたちは、そうしたスパルタの方式ではなく、むしろ休憩をうまく使うことを勧めています。脳科学の分野では、休憩を挟まずにまとめて勉強する「集中学習」と、小刻みに休憩を挟む「分散学習」を比べると、分散学習のほうが記憶に定着しやすいことが明らかになっているのです。
「最初」と「最後」に提示された情報は残りやすい
なぜ休憩が大事なのか。その理由の1つとして、「初頭効果」と「親近効果」が挙げられます。
・初頭効果……「最初」に提示された情報は記憶に残りやすい
・親近効果……「最後」に提示された情報は記憶に残りやすい
「最初と最後の記憶が残りやすい」という脳の特性を踏まえると、「最初」と「最後」の回数を増やすことで、学習効果を高めることができるのです。
たとえば、何かを覚えたい場合に、休憩を入れずに1時間、机に向かい続ける場合に生じるのは、「初頭効果1回、親近効果1回」です。一方、1時間の間に一度、小休止を挟めばそれだけで、「初頭効果1回、親近効果1回」を2回繰り返すことができます。
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さらに、休憩を挟むことで集中力も高まるので、「初頭効果」と「親近効果」が生じていない時間の質も変わるでしょう。
休憩を入れるタイミングについては、100冊の中の多くの本で「集中力が切れたら」と書かれてありました。集中が続く時間には個人差がありますので、勉強でも仕事でも、自分の集中力の持続時間に合わせて休憩を挟むことで、限られた時間でも、より学びの質を高めていくことができるでしょう。
以上、シンプルではありますが、記憶力を高めるには、
(1) 脳が「この情報は大事だ」と判断できる程度に振り返る
(2) アウトプットの意識を持つ
(3) 休憩を上手に取り入れる
の3つに気をつけるのがいいでしょう。
そうするだけで、かける時間が変わらなくても、記憶への残り方は格段に変わるはずです。
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提供元:物覚えが悪い人は覚えられるコツをわかってない|東洋経済オンライン