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2022.08.13

真昼に犬を散歩させる人が知らない「虐待」リスク|冷房つけて外出しても…犬や猫も熱中症になる


強烈な暑さが続く中、犬や猫も熱中症のリスクにさらされています(写真:YAMATO/PIXTA)

強烈な暑さが続く中、犬や猫も熱中症のリスクにさらされています(写真:YAMATO/PIXTA)

この夏は、記録的な猛暑が続いています。暑いとき、人間は汗をかいて体温調節をします。一方、犬や猫は汗をかくことができません(肉球から少し汗は出ますが、その程度です)。そのため、犬や猫は人間に比べて、熱中症になりやすいのです。

それに加えて、時代が変化し、動物愛護精神が高くなってきています。以前は、熱中症で命の危険があっても法律違反になることがなかったかもしれません。

しかし、熱中症になる飼養環境は適正な飼養環境でなく、「ネグレクト状態」と見られることもあります。これは、ある種の虐待で動物愛護管理法に違反する可能性もあります。

SNSが生活の一部になってきているいま、適正な飼養環境でないとツイッターなどで拡散されることもあります。たとえば、#拡散希望として「老犬をこの炎天下の中に放置しっぱなし」など写真と一緒に投稿されることが現実に起こっています。

そんな世の中だからこそ、犬の熱中症についてお伝えします。

熱中症の症状とは?

熱中症は、高温多湿の環境下で犬や猫がいると、汗をかいたりできず、被毛で覆われているため、体温調節がうまくできずに発症する疾患です。めまいや頭痛、けいれん、意識障害などの症状をまとめて「熱中症」といいます。具体的には以下です。

・軽度

ぐったりしていて元気がない、ハアハアというピッチの早い「パンティング」という呼吸をし始め、大量のよだれが出ます。もちろん、体温も高くなります。

・中度

嘔吐や下痢などもします。目や口の中の粘膜がトマトジュースのように真っ赤に充血します。ほうっておくと、体が震えて意識がなくなることもあります。

・重度

40度以上の高体温になり、ぐったりして起き上がれない状態。こうなると、けいれんを起こして意識障害が出てきます。

中度から重度になると、命の危険になることもあります。

動物愛護法により、獣医師は虐待の疑いがある場合は、行政に通報する義務があります。熱中症がある意味、虐待行為になる場合があるのです。仕事や遊びに行くときに、エアコンをつけずに、犬猫を室内に閉じ込めておくと、簡単に熱中症になりますので、注意が必要です。

熱中症になりやい犬種

すべての犬が、環境によっては熱中症になる可能性がありますが、特になりやすい犬種を見ていきましょう。

数年前の夏の日、日が暮れてきたので散歩がてら公園で、ボールで遊んでいたらブルドッグが、意識がなくなってしまったと病院に運ばれてきました。飼い主は「だいぶん気温も下がってきたし、元気なので散歩しても大丈夫かな、と思ってしていたら、急に倒れた」と話します。この子は熱中症でした。

ブルドッグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、特に熱中症になりやすいです。日本航空(JAL)では、年間を通じてブルドッグやフレンチブルドッグは飛行機の搭乗を許可していません。それ以外の夏季期間中(毎年5月1日から10月31日まで)は、以下の犬種の飛行機の搭乗を断っています。

・アーフェンピンシャー ・イタリアン・コルソ・ドッグ ・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル ・キング・チャールズ・スパニエル ・シーズー ・シャー・ペイ ・スタッフォード・シャー・ブル・テリア ・チベタン・スパニエル・チャウチャウ ・チン ・パグ ・ピット・ブル ・ブル・テリア ・ブリュッセル・グリフォン ・ペキニーズ ・ペロ・デ・プレサ・カナリオ・ボクサー ・ボストン・テリア ・ボルドー・マスティフ ・マスティフ・ラサ・アプソ
(JALCARGOサポートの資料を参考に東洋経済オンライン作成)

短頭種は、一般的な犬(長頭種)に比べて軟口蓋(気道の奥)が垂れ下がっているため、高温になったときに、呼吸が荒くなると垂れ下がった部分が気道を塞ぎやすくなり窒息する危険性があります。暑さには特に弱い動物なので気をつける必要があります。

その他、以下の寒冷地の犬も熱中症のリスクが高いです。
・バーニーズマウンテンドッグ
・ピレネー
・セントバーナード
・ハスキー
・アラスカンマラミュート
・チャウチャウ

特定犬種以外にも気をつけるべき犬がいます。昨年までは、庭の風通しのいいところで、飼っていて熱中症にならなかったという、8歳のゴールデン・レトリーバーが今年、熱中症になりました。室内で大型犬を飼育している人もいますが、玄関で飼育しているケースは少なくありません。いくらタイルの冷たいところにいても、シニアになると熱中症になりやすくなるのです。以下の犬は熱中症のリスクが高いです。

・シニア期(大型犬5歳以降、中型犬は7歳以降、小型犬は10歳以降)
 シニアになると、若いときより体温調整ができなくなる
・心臓病を持っている
・糖尿病を持っている
・腎臓病を持っている
・がんを持っている
・肥満傾向

肉球のやけどにも注意

暑いと熱中症の注意も大切なのですが、肉球のやけどにも注意が必要です。犬は、一般的には靴を履かないで散歩をしているので、飼い主は散歩に行く前に、アスファルトに触れてみることが大切です。

朝の8時でもアスファルトが40度を超えているときがありますし、炎天下では60度以上になっているところもあります。その上を犬が散歩すると、肉球をやけどする場合があります。肉球は、比較的熱さには耐えられる構造にはなっていますが、それでもこの夏の高温だとやけどをする可能性があるので、気をつけてください。

まずは、飼い主は犬が熱中症になりやすい動物だということを頭に入れて置かなければなりません。そして、留守にするときは、エアコンをつけておかないと熱中症になるリスクがあります。設定温度は難しく、一概に28度ぐらいでいいともいえません。上述のような犬種や疾患を持っている子は、もっと低い設定温度にしないと、いけない場合もあります。

それ以外に、以下のように便利なものがあります。
・水に濡らすと冷たくなる服
・保冷剤(首に巻く)

首には、大きな血管が皮膚の近くに走っているので、ここを冷やすと体が冷えやすいです。鼠径部などでもいいですが、動いている子のここに保冷剤を当てるのは難しいですね。

留守中の体調変化は見守りカメラでチェック可能

このほかにも、以下の点も留意してください。
・散歩に行く前に、十分な水分補給を
 脱水症になっていると、熱中症のリスクが高くなります。
・小型犬ならカートに乗せて散歩に行く
 高温になっているアスファルトの上を歩くのを避けるため。
・中型犬、大型犬なら、車で河川敷や公園に行く
・ペットの見守りカメラを設置する(留守中)

今はスマホの画面で室内のペットの様子見られる「見守りカメラ」があり、ペットの様子を24時間見ることができます。ペットの元気がない時、録画機能があるものであれば、留守中などの様子を確認することができます。

実際にあるシーザーは、冷房をつけて出かけたものの、室内に吐いた後が無数にあったとのことで、診察時は体温も高温でなく、呼吸数も正常でしたが、留守中の状況を考慮して熱中症と診断し、治療したことがあります。

地球温暖化のせいか、日本でも最高気温が40度近くまで上がることがあります。ずっと犬を飼っている人は、これが正しい夏の飼い方だと思っていても、時代により変化します。現在の適正な飼養環境は何かをよく理解して、ペットが熱中症にならないように気をつけてあげましょう。

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提供元:真昼に犬を散歩させる人が知らない「虐待」リスク|東洋経済オンライン

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