2022.08.12
お酒はがんの原因にも!うまくお酒と付き合う方法とは?
日本人で、一生のうちにがんと診断される確率は男女ともに2人に1人、がんで死亡する確率は男性の場合4人に1人、女性の場合6人に1人とされています。がんの原因はさまざまですが、お酒の飲み過ぎも原因の一つであることがわかっています。
日本では昔から「酒は百薬の長」ということわざがあるほど、お酒は適量であれば健康にいいといわれてきました。しかし、近年では少量の飲酒でもがんのリスクを高めると報告されています。
がんのリスクを減らすためにも、お酒のコントロールはとても重要です。この記事では、お酒とがんの関係性、適切なお酒の量、お酒を飲むときに気を付けたいポイントなどを解説します。
お酒はがんのリスク高める?
お酒に含まれるアルコールには発がん性があり、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・女性の乳がんの原因になるといわれています。さらには少量の飲酒で顔や体が赤くなり、二日酔いしやすい方ほど、食道がんのリスクが高まることもわかっています。
反対に、禁酒することによりがんのリスクが低くなることも報告されているため、健康を維持するためにも禁酒もしくはお酒の量を控えることが大切です[1]。
お酒とたばこの両方が重なるとがん発生率が高まる
飲酒だけではなく、喫煙もがんのリスクを高めることで知られています。たばこの煙には60種類以上の発がん性物質が含まれており、喫煙者だけではなく、受動喫煙者にもリスクになることも明らかになっています。
がんのリスクが高まる“お酒”と“たばこ”が重なることでがんの発生率は相乗的に高まるため、禁酒以外に禁煙をすることもとても重要です[1, 2]。
1日に飲んでいいお酒の量は?
厚生労働省が推奨している“節度ある適度な飲酒”は、1日平均純アルコールで“20g程度”とされており、主な酒類の目安量は以下の通りです。
節度ある適切な飲酒に加えて、女性やアルコールを飲むとすぐに顔や体が赤くなる方、65歳以上の高齢者はアルコールの分解速度が遅いため、より少量の飲酒が推奨されています[3-5]。
純アルコール量を計算してみよう!
普段よく飲むお酒の純アルコール量を知り、目安量を把握しておくことで飲み過ぎを防ぎましょう。
通常、お酒のラベルにはアルコール度数が記載されています。このアルコール度数と、お酒の量(ml)、比重(0.8)から、純アルコール量(g)を計算することができます。
以下の計算式を参考に純アルコール量を計算してみましょう!
お酒の量(ml)× 度数または%/100 × 比重(0.8)= 純アルコール量(g)
例)アルコール度数5%、500mlのビールの純アルコール量
500ml × 0.05 × 0.8 =【20g】
メーカーによっては、純アルコール量をホームページで開示していることもあるため、そういった情報を参考にするのも一つの方法です[5]。
お酒を飲むときの5つのポイント
ここでは、お酒を飲み過ぎないためのポイントを5つご紹介します。すぐに実践できるポイントばかりですので、ぜひ参考にしてください。
(1)飲酒時間を決めておく
時間を決めずにお酒を飲むと、だらだらと飲み続けてしまいます。時間を前もって決めておくことで飲み過ぎを防ぐことができます。
(2)1週間のうちに休肝日を作る
アルコールを分解する臓器である肝臓を休めてあげることもとても大切です。毎日欠かさず飲酒する方は、まずは週に1回、肝臓を労わる日を作るようにしてみましょう。
(3)飲むスピードをできるだけ遅くする
喉が渇いているときや場が楽しいときなどは、ついついお酒が進んでしまうと思います。飲むスピードを意識することで飲む量も少なく済みます。飲み始めの時間をチェックしていつもよりもゆっくりと楽しむよう取り組んでみましょう。
(4)周囲にお酒の量をコントロールしていることを伝える
周りに伝える(宣言する)と、自分の意識に加えて周りの目があるため、より飲酒量のコントロールに対して意識を高めることができます。
(5)空腹時に飲まない
空腹のときに飲んでしまうと、飲み過ぎに加えて体への負担も大きくかかります。まずは、目の前の料理を十分に楽しみましょう。1杯目はノンアルコールにするのも一つの方法です。
健康のためにもお酒はほどほどに
お酒はがんのリスクを高める一つの要因です。禁酒することがもっとも望ましい方法ですが、まずは適度なアルコールの量を知り、自分がどのくらい摂り過ぎていたか確認することから始めてみましょう。お酒を飲むときのポイントもぜひ参考にしていただき、できそうなことから実践してみてくださいね。
【参考文献】(全て2022-05-24参照)※外部サイトに遷移します
[1] 厚生労働省:e-ヘルスネット, アルコールと癌(がん)
[3]厚生労働省:e-ヘルスネット, 健康日本21(アルコール)
【プロフィール】 歯科管理栄養士×健康・食品ライター 石川 桃子
歯科医院で専属管理栄養士として勤めており、歯の不調をはじめとするさまざまな症状に対し、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事・栄養指導を行っている。加えて、食べる入り口となる≪お口の健康=身体の健康≫を伝えたい、毎日の食事で健康になるための正しい知識を発信したいという想いから、健康・食品ライターとしても活動を続けている。
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