2022.08.09
糖尿病の運動にヨガを取り入れよう〜効果・ポーズ・やり方をカンタン紹介〜
執筆者:糖尿病療養指導士・管理栄養士 白石 香代子(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
「血糖値を下げるために運動しようと思うんだけど、実はあまり得意じゃなくて…」
血糖値の改善には運動も重要です。
しかし運動に苦手意識を持っていたり、体力に自信がなかったりすると、なかなか取り組むことが出来ませんよね。
そこで今回は、無理なく出来る運動の一つ「ヨガ」についてご紹介することにしました。
実際にヨガを行う中で感じたポーズのポイントも分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
糖尿病の運動について
糖尿病はインスリン(血糖値を下げるホルモン)が十分に働かず、血液中の糖が増え、血糖値が上がる病気です。
そして血糖値を下げるための方法として、食事療法と並行し、運動療法が行われます。
筋肉には血中の糖を取り込む働きがあります。ですので運動によって筋肉を動かすと、効率よく糖を取り込めるようなり血糖値が下がりやすくなるのです。
運動の種類は有酸素運動(ウォーキングや水泳など)とレジスタンス運動(腹筋や腕立て伏せなど)に分けられますが、いずれも血糖コントロールに有効です。
参考記事:糖尿病は生活習慣の改善で予防〜今から食事・運動・生活を見直そう〜 ※外部サイトに遷移します
参考記事:糖尿病に運動が良いのはなぜ?~効果や方法を知って血糖値を改善しよう~ ※外部サイトに遷移します
そもそもヨガとは何か
ヨガはインドを始め、東洋で3,000年以上も前から行われてきたもので、体・心・魂を神に結びつける修行法とされていました。
日本には座禅(ざぜん)という精神統一の修行法がありますが、座禅もディアーナというヨガの瞑想から来たとも言われています。
このように宗教要素の強いヨガですが、戦後になって心身に役立つものとして広がり始め、現在では健康法として普及しました。
そしてヨガでは呼吸を大切にします。呼吸が心を体を繋ぐことにより、健康増進や精神安定などが得られると考えられているのです。
血糖値が下がるって本当?ヨガの効果
ヨガにより、血糖値を下げる効果が期待できます。なぜならヨガは、有酸素運動とレジスタンス運動の2つを一度に味わうことができる運動だからです。
ヨガには様々なポーズがありますが、体を伸ばしたりほぐしたりするストレッチ要素のあるものから、スクワットや体幹(※)を鍛えるものなど、幅広いのが特徴です。
(※)体幹とは頭、手と足以外の胴体部分を指し、体幹の強化によって胴体を支える筋肉を鍛えられます。
ストレッチのポーズを行うと、血流がアップします。血液の流れが良くなることで糖を上手に消費できる体づくりにつながるのです。
またスクワットなどで大きな筋肉を動かしたり筋肉量を増やしたりすると、糖を多く使える体になり効率的に血糖コントロールが可能になります。
そしてヨガでは呼吸を大切にするとお伝えしましたが、その呼吸法(鼻から大きく吸って鼻からゆっくり吐く)には緊張を和らげ、ストレスを緩和する効果があるのではないかと考えられます。
ストレスも糖尿病の一因です。上手に付き合っていくことが大切ですし、運動は楽しさもなければ、続けることも難しいですよね。
ヨガでは無理をせず、自分が心地いいと思う感覚を大切にしていきますので、継続しやすいことも利点といえるでしょう。
ダイエット効果で2型糖尿病の改善や予防にも期待
肥満は2型糖尿病の原因の一つです。そしてヨガにはダイエットの効果も期待できますので、糖尿病の改善や予防にも役立つといえます。
その理由ですが、体を動かすことで消費カロリーが上がるだけではありません。
先ほどもお伝えしたようにヨガではポーズに呼吸を組み合わせていきますので、しっかりと有酸素運動が行え、体内の脂肪が燃えやすくなるのです。
また姿勢を整えたり体の歪みを整えるポーズも多いため、体の深い場所にある筋肉も鍛えられ基礎代謝が上がり、痩せやすい体に近づきやすくなります。
膵炎もヨガで防げるのか
膵臓の病気の中でも頻度が高い膵炎ですが、主な原因としては多量飲酒が挙げられるため、ヨガで防ぐのは難しいでしょう。
簡単!ヨガのポーズを取り入れたストレッチ&筋トレ
それでは糖を消費する筋肉の量を増やすための方法をご紹介しますね。目安としては、週に2-3回行うと効果的です。
【お尻の大きな筋肉を動かす・橋のポーズ】
(1)床に仰向けに寝て、膝の下にかかとが来るように足を動かす。足の裏は左右対称にし、こぶし1個分のスペースを開ける。腕は体側に沿わせる。
(2)「1,2,3,4」とカウントしながら、膝から胸が一直線になるようにお尻を持ち上げる。このまま3呼吸キープし、また「1,2,3,4」と数えながら(1)のポーズに戻る。
(3)(1)と(2)を20回を目標に繰り返す。
【ポイントと注意点】
・腰や首はそらさないように、肩甲骨からゆっくり持ち上げると良いです。
・足がお尻に近すぎると膝に負担がかかります。「膝の下にかかとを置く」を意識してくださいね。
1日たった5分で血糖値を下げる体操(ヨガ)を伝授
血液中の糖を消費するために動かしたいのは、体の中の大きな筋肉(下半身のお尻や太もも、胸や背中の筋肉)です。この筋肉を同時に動かすお勧めの方法が女神のポーズです。
【下半身を強化・女神のポーズ】
(1)肩幅より少し広めに立ち、つま先を外に向ける。腰に手をあてる。
(2)「1,2」とカウントしながら膝を曲げていく。余裕があれば同時に両肘も曲げ、肩の高さで90度になるようにする。
(3)「1,2」と数えながら(1)のポーズに戻る。
※目安回数は40回です。
【ポイントと注意点】
・血糖値が上昇する食後30-90分の間に、1日1-2セット行うと効果的です。
・血糖値を下げるためには回数をこなすことに意識を向けた方が良いですので、無理のない範囲で行ってみてください。
まとめ
以上、糖尿病とヨガの関係や効果についてお伝えしてきました。
ヨガは、糖尿病の運動療法で推奨されている有酸素運動とレジスタンス運動を一度に味わうことができる運動です。ですので、ヨガは糖尿病に効果的と考えます。
そしてヨガでは呼吸を大事にします。「鼻から大きく吸って鼻からゆっくり吐く」呼吸には、緊張を和らげストレスを緩和する効果も期待できるでしょう。
なお、オススメはストレッチ効果の高い「橋のポーズ」や、筋トレ要素のある「女神のポーズ」です。ご自分の無理のない範囲でやってみてくださいね。
当記事を参考に、日々の生活にヨガを取り入れ、楽しく運動を行っていただけると嬉しいです。
参考文献
・糖尿病治療ガイド 2020-2021 日本糖尿病学会編・著
・認定NPO 法人日本ヨガ連盟 ヨガについて ※外部サイトに遷移します
・Effect of 3-Month Yoga on Oxidative Stress in Type 2 Diabetes With or Without,Complications,Diabetes Care 2011 Oct; 34(10): 2208–2210
執筆者:副編集長 白石香代子
山口県立大学家政学部栄養学科卒業後、人材業界を中心にセールスやコンサルタントとして交渉力・語彙力など幅広いコミュニケーションスキルを培う。その後、中国大連にて日系企業のフードアドバイザー、日本人学校の食育セミナー講師として活動。現在、H2株式会社とクリニックでの栄養士業務、特定保健指導を兼任。その他、中国高齢者施設の栄養監修なども手掛けている。管理栄養士、東京糖尿病療養指導士の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
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提供元:糖尿病の運動にヨガを取り入れよう〜効果・ポーズ・やり方をカンタン紹介〜|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】