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2022.07.28

「ベラベラ喋らない人」ほどうまくいく納得理由|「いや」「でも」合戦を終わらせた"ある方法"


あなたの周りにも、「この人には不思議とみんながいろんな話をする」という人がいないでしょうか? このような人たちに共通するコミュニケーション技術を紹介します(写真:mits/PIXTA)

あなたの周りにも、「この人には不思議とみんながいろんな話をする」という人がいないでしょうか? このような人たちに共通するコミュニケーション技術を紹介します(写真:mits/PIXTA)

口下手なのに、お客さんからニーズをどんどん引き出す営業。飲み会や面談が苦手な部下からも、本音を話してもらえる上司。仕事の能力や成績に関係なく、よく相談を受ける先輩。なんでもない雑談も、つい聞いてもらいたくなる同僚や友達。あなたの周りにも、「この人には不思議とみんながいろんな話をする」という人がいないでしょうか?

このような人たちに共通するコミュニケーションの技術を、心理カウンセラー・山根洋士氏の新著『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか』より一部抜粋・再構成して紹介します。

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「聞く」と相手が変わる

聞くことが大事とはよくいわれますが、実際にちゃんと聞くとどんな効果があるのでしょうか。

こんな話から始めましょう。

────

ソリの合わない上司がいて、ことあるごとに意見がぶつかっていたんです。

別に嫌いなわけじゃありません。でも、納得できないことは何度も説明しますよね。時には口論になることもありました。

どれだけ丁寧に説明したつもりでも「いや」「でも」の応酬。次はどう話そうかと考えているうちに、疲れてしまって、一度、黙って聞いてみたんです。

すると驚きました!

次第に上司が穏やかになる。どんどん口調が柔らかくなる。

おまけに「そうか」「たしかに」などと1人で納得したかと思うと、ついには「俺も間違っていた」「お前の言うこともわかる」と勝手に反省まで始めました。

最後は「話せてよかった。ありがとう」って……。

あんなに必死に話してもダメだったのに、不思議と問題が解決したんです。
────

どうですか?

無理して相手を好きになるわけでも、我慢して話を合わせるわけでも、必死に相手を説得するわけでもありません。

「聞く」を意識するだけで、状況が一変したわけです。

ここで思い返してみてください。

今日、あなたは誰と会話をしましたか? そして「よし、ここは聞くことに徹してみよう」と決めて、聞いてみた瞬間があったでしょうか。

あなたの生活のいたるところに、もっと「聞く」チャンスがあります。

・営業先で顧客の話を聞く
・上司、あるいは部下の話を聞く
・家族の話を聞く
・恋人や友達の話を聞く

こんなシーンで、もし何かうまくいっていないのだとしたら、「聞くスイッチ」を入れるだけで劇的に事態が好転する可能性があります。

あなたが「聞く」ことで、テコでも動かなかった相手が動き出したり、頑なだった心が開かれたり、誰かの悩みがすっきりしたりすることがあるのです。

会話の心理的安全性を高める

実はこれは、話を聞くプロである心理カウンセラーがやっていることと、とてもよく似ています。カウンセラーの「聞く技術」も、根っこにあるのは、まず黙って相手の話を聞くことです。

先ほどのエピソードを心理学(心理療法)的に説明するならば、徹底して聞くことで上司は「受容」と「共感」を感じられて、自然と考えが整理されて上司の中で「自己一致」が起こり、発言や行動が変わったのです。

聞き手の役割は、相手を受け入れる、認めることから始まります。

それが、相手の心を開くことになり、話しやすい雰囲気をつくることになります。

最近、企業の組織論の中で「心理的安全性」が重要視されています。

心理的安全性とは、組織行動学を研究するエドモンドソンが提唱した心理学用語で、ほかの人が自分の発言を否定したり、拒絶したりしないと安心できることです。心理的安全性を高めるとは、要するに躊躇せず何でも言える状態にすることといえます。

これは組織のマネジメントに限らず、会話においても同じく大切です。受容とは、相手が何を言っても受け止めて、自分の価値観や考え方とは関係なく、丸ごと認めて理解すること。そうすることで発言の心理的ハードルを下げ、会話の心理的安全性を高めることが、聞く技術なのです。

ここで1つ、すぐに使える便利な聞き方を紹介しましょう。

それは、「そうだよね」「そうですよね」「そっか」といった一言を返すこと。これは受容・共感・自己一致でいうと、受容を示す便利なフレーズです。

例えば上司と部下の面談で、部下が「どうしても自分で仕事を抱えるクセがあって……。よくないとわかっているんですが」などと告白したら、まず一言めは「そうだよね」と返します。「どこに原因があるのかな」とか「自分だったらこうする」などと話したくなるかもしれませんが、その前に「そうだよね」と受容する。これだけで相手の心理的なハードルはずいぶん下がります。

雑談の場面で、例えば同僚から「あのクライアント、あまり好きじゃないんだよね」といったネガティブな反応があっても、まずは「そっか」と一言入れる。「なんで?」と深掘りしたり、「そういうのは仕事ではよくないよ」と意見したり、「こういうところが嫌だよね」と話を合わせたりしたくなるかもしれません。でも、まずは受容です。

何を言おうかとあれこれ考えるまでもなく「そうか」でいいのです。

私もカウンセリングの技術を身につけるまでは、教えたり、意見したり、反論したりしてしまうタイプでした。まっさらな状態で素直に聞くということは、意識しないとなかなかできないことなのです。

しかし、誰が相手でも、どんな話でも、まず「そうだね」と受容するようになったら、相手がさらによどみなく話してくれるし、言い合いになることもないし、本音が出てきて関係が深まることも多々ありました。

「そうですよね」「そうか」は、「なるほど」とも「そうなんですか?」とも違います。自分の解釈も感情も一切挟まない、素直に聞ける便利なフレーズです。

不思議なもので、実際に使ってみると会話がスムーズになるだけでなく、相手に対するいらだちや不満や疑問も薄らいでいって、自分の気持ちもらくになります。相手の印象も変わっていきます。

フラットに、素直に聞く。これが聞く技術の本質です。

「何でも話してもらえる」は強力な武器になる

受容・共感・自己一致。

これはアメリカの心理学者カール・ロジャーズが提唱した傾聴の3原則に基づいています。カウンセリングでは相手の心を開き、信頼関係を築くために不可欠なプロセスです。

難しそうに感じたかもしれません。でも安心してください。巧みな話術を身につけるより、少し聞き方を変えるほうが、はるかに効果があります。

聞く努力は、いつでも、誰にでもできます。

会話を盛り上げるのが得意ではなかったり、話術に自信がなかったりしても大丈夫。

面白い話のネタがあるとか、冗談がうまいとか、気の利いた返しができるといったことは、それほど重要ではありません。

豊富な知識や経験、うんちくは聞き手にとってかえって邪魔なくらいです。

他人の話を聞いたり、あるいは読んだりしているとき、頭には言いたいことや自分の考えがどんどんわいてきます。あなたの頭の中が言いたいことでいっぱいだとしたら、受容・共感・自己一致で聞く力が何倍にも大きくなるでしょう。

アメリカの経営コンサルタント、スティーブン・R・コヴィー氏は世界的ベストセラー『7つの習慣』の中でこう語っています。

「人が話をしているとき、ほとんどの人は、理解しようと聞いているのではなく、答えようとして聞いている」

話をうまく聞けない人は、たいてい頑張って話しすぎています。

人は本来、話したくて仕方ないもの。あなたの周りにも、「もっと話したい」「もっと聞いてほしい」という人がたくさんいるかもしれません。あなたに聞いてもらうのを、待っているのです。

「話を聞ける」ことは、あなたにとって強力な武器になります。

それだけでビジネスもマネジメントも、プライベートな人付き合いもうまくいきます。積極的に話すよりも、むしろ聞くことで成功している人は少なくありません。

「何でも話してもらえる人」になる

話を聞くことの価値については、ピーター・F・ドラッガーも『非営利組織の経営』でこう書いています。

「多くの人が、話し上手だから人との関係づくりは得意だと思っている。対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない」

記事画像

『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか』(アスコム) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

またD・カーネギーの『人を動かす』には、こうあります。

「話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たなければならない」

「何でも話してもらえる人」になる。

それは信頼されることであり、相談されることであり、頼りにされ、仕事が集まることでもあります。

話を聞くことは、普段から当たり前に「できている」と思いがちです。

そして多くの人が、聞くことより話すことに意識を支配されています。

だからこそ、ほんの少し意識を変えるだけでも、あなたには大きな気づきとメリットがもたらされるはずです。

記事画像

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提供元:「ベラベラ喋らない人」ほどうまくいく納得理由|東洋経済オンライン

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