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2022.06.28

「なるほど」「確かに」はダメ?相槌の打ち方のコツ|会話を深めたいなら「5W1H質問法」を用いよう


会話で意外と大事なのは「相槌」と「質問」。うまくできていますか?(写真:C-geo/PIXTA)

会話で意外と大事なのは「相槌」と「質問」。うまくできていますか?(写真:C-geo/PIXTA)

累計250万部以上の書籍を手がける編集者である一方、ドラァグクイーンとして各種イベント、メディア、舞台公演などに出演する村本篤信氏による連載「話しやすい人になれば人生が変わる」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

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人と話をするとき、私が常に気をつけているのが「できるだけ的確なレスポンスを返すこと」です。

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

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相手の話を聞いて、こちらがどんな反応をするか。それによって、相手に「この人は話しやすい」と思ってもらえるかどうか、相手に信頼されるかどうか、相手から必要十分な話を聞くことができるかどうかが決まるといっても過言ではないでしょう。

話しやすい人になるためのレスポンス

話しやすい人になるためのレスポンスの基本は、適度な相槌を打ち、適度に質問を挟み、適度に自分の意見を言うことです。

相槌をまったく打たないと、話し手に「この人、私の話を聞いているのかな」と思われてしまいますし、相槌を打つだけで自分の意見を何も言わないと、「この人、私の話に興味がないのかな」「他人事だと思っているよね」と思われてしまいます。

ではまず、相槌の打ち方について考えてみましょう。

相槌は、ただ打てばいいというものでもありません。やたらと「はい……はい……」などと言われるのは、話し手にとっては邪魔でしかありませんし、「この人、本当にわかっているのかな」「本当に聞いているのかな」といった気持ちにもさせてしまいます。

「無言で大きくうなづく」をメインに据え、ときどき喉の奥あたりで「ふん」という音を出したり、「はい」「ええ」などと声に出して相槌を打ったりするくらいがちょうどよいのではないかと、個人的には思います。また、相槌のバリエーションは、「はい」「ええ」「そうですね」「面白いですね」「そう思います」などいくつか用意しておくといいでしょう。

なお、「『なるほど』『たしかに』などを目上の人に使うのは失礼にあたるので、『おっしゃる通りです』『私もそう思います』と言い換えたほうがいい」といった説をよく見聞きします。

しかし、そんな長い相槌はかえって話の流れを妨げることになりかねませんし、そこまで気にする人はそれほどいないのではないか、とも思います。実際、私も「なるほど」「たしかに」を使ってしまうことがしばしばありますが、今のところ、叱られたことはありません。

ですから、あまりナーバスになりすぎず、万が一「なるほど」「たしかに」を使って注意されたとき、相手が不快そうな顔をしたときには、以後、その人に対しては使わないようにする……程度でよいのではないかと思います。

話しやすい人が行う質問のはさみ方

次に、質問のはさみ方についてお話しします。これは、話しやすい人になるための、重要ポイントの1つだといえるかもしれません。

私個人の経験からすると、こちらの質問の仕方一つで、相手は「この人は自分の話に興味を持ってくれている」と思いますし、相手の会話への力の入れ方も情報の取れ高も大きく変わります。

なお、私が質問の技術を身につけたのは、ライターの仕事を始めてからです。取材相手の中には、口数が多い人もいれば少ない人もいます。口数が少ない人の場合、こちらが用意していった質問に対して、一言二言しか答えが返ってこないこともしばしばあり、それだけではとても原稿にはなりません。そうなると、あの手この手で話を引き出し、内容を膨らませる必要があります。

質問をするための基本は、相手の話を集中してきちんと聞くことです。最初から過不足なく完璧に話せる人はほとんどいないので、必ず疑問に思うことが1つや2つは出てきます。「いや、自分は人の話を聞いていて、疑問を持ったことはあまりない」という人は、相手の話に対し、常に5W1Hを投げかけるようにしましょう。

ご存じの方も多いと思いますが、5W1Hとは、
■When:いつ
■Where:どこで
■Who:だれが
■What:何を
■Why:なぜ
■How:どのように

といった英単語の頭文字を取ったものです。

たとえば、ある人が「前に、大きな魚を釣ったことがあってさぁ」と話していたとします。その場合、「Who」が話し手だということだけはわかっていますが、それ以外の4W1Hについて、より詳しい情報を手に入れるべく、話を聞きながら、あるいは話をひと通り聞いたあとで質問します。

まず、When。
「前」とは、いったいいつなのかを明らかにしていきましょう。子どもの頃なのか、学生時代なのか、社会人になってからなのか、比較的最近のことなのか。

話の中に具体的な時期が出てこなかった場合は、ぜひ「その魚を釣ったのは、何年くらい前ですか?」と聞いてみましょう。その質問への答え自体は「子どもの頃」というシンプルなものかもしれませんが、そうなると今度は「子どもの頃から釣りが趣味なのか」「今もよく釣りに行くのか」といった疑問が生まれます。

そこで質問を重ねると、もしかしたら、「子どもの頃から釣りが趣味で、週末ごとに海や川に出かけていたけれど、最近はあまり行っていない」といった話が出てくるかもしれませんし、さらに「釣りが好きになったきっかけは何か」「大人になってから釣りをやめた理由は何か」といった疑問も生まれるでしょう。

質問1つで思いがけない話がきけることも

同様に、大きな魚を釣ったのが海なのか、川なのか、どの地域なのか(Where)、その魚の大きさや名前、形状(What)、なぜ釣りに行ったのか(Why)、どうやってその釣り場所へ行ったのか、どのような釣り竿や餌を使ったのか(How)など、尋ねるべきことは無限に出てきます。

もっとも、話せる時間が限られているときに、あまり細かい質問をしすぎると、相手をイライラさせてしまったり、話がわき道にそれ、大事な情報を取り逃してしまったりするかもしれません。ですから、常に本当に聞くべきことは何かを判断する必要があります。

ただ、質問という小石をちょっと投げ込むだけで、思いがけない話を聞けることはよくありますし、会話の中に適切な質問を挟むことで、相手はあなたを話しやすい人だと感じるでしょう。

最後に、「自分の意見の言い方」について考えてみましょう。

まず大事なのは、相手の話を遮らないこと。相槌や質問以外に口を挟むのは、相手の話がひと段落してからにしましょう。

また、第3回で「ネガティブなことを言わない」をおすすめしましたが、相手の発言に対し、あまりにもポジティブなレスポンスを返しすぎるのも考えものです。

第3回 ※外部サイトに遷移します

「この間、仕事でこんな失敗をして……」「こんなうるさい上司がいて……」「恋人にこんなダメなところがあって……」といったように、愚痴や悩みなどをこぼしたくなるときは、ほとんどの人にあるはずです。

しかしそんなとき、「次に生かせばいいよ」「えー、でもちゃんと注意してくれるなんていい上司じゃん」「恋人いるだけ幸せじゃん」などと、最初から最後までひたすらポジティブな言葉を返されたらどうでしょう。「前向きな気持ちになった! この人に話してよかった」と思うでしょうか? イライラして、「この人にはもう、愚痴や悩みは言わないようにしよう」と思うでしょうか?

私は後者です。そして、おそらく多くの人がそうなのではないかと思います。

人が愚痴や悩みをこぼすのは、基本的には相手に共感や同情を求めているときです。事情もよく知らず、性格も異なる人に中途半端なアドバイスをされるより、ただ聞いてほしいだけ、ということもしばしばあります。

もちろん、アドバイスを求められたとき、相手から「励ましてほしい」という要望があったときは、話をていねいに聞いたうえで、一言二言、ポジティブな言葉を返すといいでしょう。

その際も、「自分が言いたいこと」を言うのではなく、「もし自分ならどんな言葉をかけてほしいか」を考えると、(もちろん、人それぞれ性格が違うので、必ずしも同じ言葉を相手が欲しているとは限りませんが)「正解率」は高まるのではないかと思います。

できるだけ物事を決めつけない

なお、私が人と話しているときに、もう1つ気をつけているのが、「できるだけ物事を決めつけないこと」です。

たまに、「話し方」について書かれた文章などに、「物事ははっきり言ったほうがいい」「『私は~だと思う』『~の可能性が高い』『~のほうがいいのでは?』といったあいまいな表現は使わないほうがいい」と書かれているのを目にすることがあります。

たしかに、断定的な物言いをしたほうが、話した内容が聞き手に伝わりやすく、印象に残りやすく、「この人は頼りになる」と思われやすいでしょう。特に、スピーチやプレゼンをするとき、どうしても何らかの商品やサービスを売らなければいけないとき、経営者やカリスマを目指す人などは、断定的な物言いをしたほうが効果的です。

逆に、あいまいな物言いをすると「結局何が言いたいの?」と思われやすく、あいまいな物言いをする人は「責任を回避している」「逃げ道を作っている」「自信がない」と判断されがちです。

しかし、私は、特に人から悩みを相談されたとき、意見を求められたときなどに、「絶対に~したほうがいい」「絶対に~だ」と言うことはめったにありません。「どちらかといえば、こうしたほうがいいと思う」「いろいろな意見があるけれど、私はこう思う」といった言い方をするようにしています。

クイズや試験問題ならともかく、人々の抱える悩みや世の中の問題に、100%完璧な解決策など、そうはありません。たとえその時点では「いい」とされていたことが、数年後にはまったく評価が変わってしまうということもしばしばあります。

また、人それぞれ性格も価値観も立場も違いますし、同じできごとを見ても、感じ方、とらえ方は人によって異なります。

予知能力や透視能力、テレパシーなどを持ち合わせているなら話は別ですが、私が知りえること、考えうることなどたかが知れています。そう思うと、とても断言はできないのです。

そして、おそらく多くの人は、物事を決めつける人より、そうでない人を話しやすいと感じるのではないかと思います。

「絶対~したほうがいい」は絶対にダメ

たとえば、今の仕事や職場、あるいはパートナーが自分に合わない……と悩みながら、「転職したところで、次の仕事が自分に合っているかどうかわからない」「会社を辞めて、食べていけるかどうか不安」「この人と別れたら、もう新たな恋ができないのではないだろうか」「この人にも、いいところはあるし」といった迷いを抱いているとき、相談した相手から「絶対に会社を辞めたほうがいい」「絶対に辞めないほうがいい」「絶対に別れたほうがいい」「絶対に別れないほうがいい」などと言われたら、どうでしょう。

たまたま自分の選択と同じものであれば元気づけられ、背中を押されるかもしれません。でも、たいていは、「どうしてそう言いきれるのか」と反発したくなるのではないでしょうか。断定的な物言いをする人に対し、「圧が強い」「上から目線で偉そう」と感じることもあるでしょう。

逆に、「いろいろな可能性や選択肢、考え方がある」という前提で話を聞き、考え、その人なりの意見を言ってくれる人には、「なんでも受け入れてくれそう」という印象を抱きやすいのではないかと思います。

なお、正解のない事柄に関して、迷うことなく「絶対に~だ」「絶対に~したほうがいい」と言いきってしまえる人は、実際には「絶対」ではないことをわかったうえで、相手をそちらの方向に誘導しようとしている可能性もあるので、注意しましょう。

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提供元:「なるほど」「確かに」はダメ?相槌の打ち方のコツ|東洋経済オンライン

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