2022.06.03
ご自愛時代の新常識!緑茶で楽しむメンタルケアとは?
食後やリラックスタイムに、美味しい緑茶でほっと一息。そんな癒しの時間をくれる緑茶ですが、実は科学的にもメンタルヘルスに良い影響をもたらすことをご存知でしょうか?メンタルヘルスを意識して緑茶を飲む際、ポイントとなる種類・成分・飲み方の3つをおさえながら管理栄養士が解説します。
個性豊か!緑茶の種類
お茶といえば緑茶やウーロン茶、紅茶などさまざまな種類があります。加工過程で発酵させていないものが緑茶、発酵させるものがウーロン茶や紅茶と区分されます。一般的にお茶の発酵は、食品での微生物を使った発酵とは異なり、主に酸化のことを指します。よって、不発酵茶である緑茶は、他の発酵茶よりビタミンA、C、Kがずば抜けて多く、抗酸化作用のある茶カテキンも豊富という特徴があります。そんな緑茶は、茶葉の育て方や処理の仕方で、玉露、抹茶、煎茶、釜炒茶、番茶、ほうじ茶…といったように、さまざま種類に分類されており、風味や含む栄養成分も異なります。ひとくちに“緑茶”と言っても、さまざまな種類があるのです。
一般的に、玉露・抹茶・煎茶の方が番茶よりもメンタルヘルスと関連のある栄養成分を多く含みます[1]。
メンタルヘルスに関わる緑茶の成分
近年の疫学研究により、人の気分や認知機能、脳の機能に影響する栄養成分があることが明らかにされています。緑茶には、そんなメンタルヘルスに関わる栄養成分が豊富に含まれていることがわかっています。そのなかから特に注目すべき3つをご紹介します。
テアニン
テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、緑茶の旨味と甘味を引き出す役割を担っています。うつ病や認知、気分など、メンタルヘルスとの関連があることが示唆されており、玉露や抹茶に特に多く含まれます[1, 2]。
カフェイン
カフェインは緑茶に含まれる苦み成分です。注意力を高める働きをもち、テアニンと一緒にとることで、記憶力や作業速度・正確性の向上作用といった、メンタルヘルスへの良い影響がさらに大きくなることが期待されています[1, 2] 。
葉酸
葉酸はビタミンB群の一種で、うつ病の人ではそうでない人よりも葉酸の血清レベルと食事からの葉酸摂取量が低いことがわかっています。緑黄色野菜や納豆、レバーなど、植物性・動物性どちらの食品にも含まれ、緑茶にも豊富に含まれます。特に玉露、抹茶に多く含まれます[1, 3]。
おうちで実践!緑茶の飲み方のコツ
では、メンタルヘルスのために毎日の生活に緑茶を取り入れたい場合、どれくらいの量を飲むのが適切なのでしょうか。
東北地方の70歳以上を対象にした調査では、緑茶を1日4杯以上飲む群は、1杯以下の群に比べて、うつリスクが半分程度だったという結果が報告されています。
しかし、カフェインの過剰摂取は健康への悪影響を引き起こすこともあるため、お茶の飲み過ぎには注意が必要です。カフェインをとり過ぎた場合、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢や吐き気、嘔吐といった症状が出ることがあります。さらに長期的に過剰摂取が続くと高血圧リスクが高まることや、妊娠中の過剰摂取は胎児の発育を阻害することなどが報告されていることを忘れてはいけません。
これらのリスクを避けるため、内閣府食品安全委員会では1日あたりのカフェインの摂取量について、健康な成人は 1日400 mgまでを目安にすることを推奨しています。緑茶は1 杯(200ml)あたり 40 mg程度のカフェインが含まれるので、単純計算すると10杯程度まではカフェインの過剰摂取となるリスクは低いことになります。
よって、緑茶をメンタルヘルケアの一つとして取り入れたい場合、飲む際の目安となる量は1日4杯から、多くても10杯以下に留めるのが適切と考えられます。しかし、カフェインはコーヒーやチョコレートなどほかの食品にも含まれるので、毎日10杯を長期間飲み続けることは避けた方が良いでしょう[4-7] 。
カフェインが気になる方は水出しで
水出しの緑茶は、急須で淹れたお茶と成分が異なります。テアニンは同程度含まれますが、カフェインや苦味・渋みに関連するカテキンが少なくなります。 茶葉と水を1:40で入れたポットを冷蔵庫に置いておくだけで簡単に作ることができ、氷水などを用いて0℃に近い温度まで水温を下げると、10℃前後の冷水を用いるよりもさらにカフェインの溶出を抑えることができます。お茶を飲む時間が寝る直前になってしまい、カフェインが眠りの妨げにならないか心配な場合や、妊娠中・授乳中等でカフェイン摂取量を減らしたい場合などにお試しください [8] 。
緑茶でリラックスタイムを楽しみながらメンタルケアを
日本人になじみ深い緑茶の、新たな可能性を感じて頂けたでしょうか。日常生活で緑茶を上手にとりいれて、ほっと一息の時間を楽しみながら、メンタルヘルスのケアに活用していきましょう。
【参考文献】(すべて2022年4月11日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1] 文部科学省: 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[7] 内閣府食品安全委員会:ファクトシート|食品中のカフェイン
[8] 農林水産省:緑茶の美味しさと機能性を両立する「水だし緑茶」
【プロフィール】管理栄養士 甲斐かなみ
メンタル不調の悩みをお持ちの方に向け、健やかな心と体を育むパーソナル栄養カウンセリング講座『しあわせメンタル食講座Ⓡ』を主宰。自身の精神科病院での勤務経験や、女性ならではのライフステージの変化で感じたメンタル不調の経験から、 薬や病院に頼らずメンタルを安定させたい方へサポートを行う。栄養カウンセリング、コラム執筆、監修、講師、食育・給食事業等、幅広く活動中。
ホームページ ※外部サイトに遷移します
Instagram ※外部サイトに遷移します
Twitter ※外部サイトに遷移します
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。
【合わせて読みたい】
メンタルヘルスを整える食事ってどんな食事?管理栄養士が科学的根拠に基づき解説!
ストレス太りはなぜ起こる?管理栄養士が解説するストレスと食欲の深い関係
40代おとな女子の分かれ道!老け顔防止のため食事でできることとは?