2022.02.17
内臓型冷え症をこじらせない!お腹周りのツボ3つ|体を芯から温めるミカン皮や桃の葉の入浴剤
お腹が冷える「内臓型冷え症」を撃退する、運動法や入浴、ツボ(鍼灸)を紹介します(写真:CREA/PIXTA)
前回(万病の元「内臓型冷え症」を撃退する食養生の基本)では、手足が温かく、お腹だけが冷える「内臓型冷え症(冷え腹)」について、その特徴と食養生についてお伝えしました。おさらいになりますが、慢性の冷え腹は自覚症状が少ないこともあり、気づかないうちに悪化して、さまざまな症状の原因となってしまうことがあります。
今回は、そんな内臓の冷えの原因である運動不足とその解消法、それから日常生活のポイント、内臓の冷えに効くツボ(経穴)をご紹介したいと思います。
万病の元「内臓型冷え症」を撃退する食養生の基本 ※外部サイトに遷移します
まずは内臓が冷えやすいかをチェック
まず、内臓が冷えやすい人のチェックポイントをお示しします。現在、症状がなくても、以下の項目に当てはまる場合は内臓型冷え症になりやすいので、お気をつけください。
内臓が冷えやすい人はこんな人
•冷たい食べ物や飲み物をよく口にする
•テレワークやデスクワークが多い
•ストレスや疲労がたまっている
•湯船には入らずシャワーだけで済ませている
•外食や買ってきた惣菜を食べることが多い
•運動不足ぎみだ
筋肉は使わないとどんどん衰えていきます。内臓も平滑筋という筋肉でできていますので、同様に衰えていきます。体温は筋肉の収縮運動によって産生、維持されるため、筋肉が少なければ、それだけ熱を産生することができません。女性のほうが男性よりも冷えやすいといいますが、それは筋肉量の違いでもあるわけです。
漢方的な視点からしても、筋肉量が減ることはマイナスです。なぜなら体内にストックできる「気」や「血(けつ)」も少なくなるからです。
なぜ、気や血の不足が冷えにつながるのか。それは気の働きの1つに温める作用があるからです。
気が不足すれば、当然ながら温める力が不足します。また、気血については「気は血の母」といった関係があり、気によって血は温められて全身を巡ります。そのため、不足すれば十分に体を温めることができなくなります。
では、どんな運動がいいのでしょうか。
一般的に筋肉量を増やすためには筋トレがよいといわれていますが、漢方では激しい運動よりも、太極拳やヨガなど、ゆったりとした運動を勧めています。こうした運動では筋肉がつくだけでなく、気や血の流れをよくしてくれます。心拍数が上がるような激しい運動は、活性酸素が生じて漢方的には瘀血(おけつ:血がドロドロした状態)が作られる原因になるため、お勧めしていません。
運動は朝から昼までの時間帯に行うのがベストです。陰陽の考え方では、日の出から日没までが活動すべき時間帯であり、それ以降は休息の時間とされています。夜にスポーツクラブに通うのはよくないのです。
腹巻きやカイロを上手に使おう
続いて衣類対策をご紹介します。
最近は、真冬でも薄着でいる若い人たちが多くて、驚きます。やはり薄着は手足の冷えだけでなく、内臓の冷えを助長します。やはり内側からだけでなく、外側からお腹を温めることも重要なのです。
ただ、やみくもに厚着をすると、のぼせたり汗をかいたりして、かえって内臓の冷えを悪化させてしまう場合があるので、ピンポイントでお腹を温めるのが効果的です。
冷え対策としてお馴染みなのが、腹巻きやカイロでしょう。
腹巻きは、内臓の冷え対策にうってつけのアイテムです。映画『男はつらいよ』に登場する寅さんのイメージがありますが、最近では、おしゃれなデザインの腹巻きやシルクやオーガニックコットンの腹巻きなど、さまざまな種類が販売されています。
ポイントは「お腹をすっぽりと覆うことができるサイズの腹巻き」を選ぶこと。内臓を外側からしっかりと温め、冷えを防ぐことができます。
それでも冷えを感じる場合は、お腹にカイロを貼ってもいいでしょう。カイロを貼る場所は、胃腸がある位置、おへそから2~3センチほど上あたりがベストです。カイロは長時間貼るものなので低温やけどをしないよう、下着の上から貼るようにしましょう。腹巻きの上からカイロを貼ると、やけどの心配がないうえ、温め効果も高まるのでお勧めです。
続いて入浴による冷え対策です。
入浴も内臓の冷え対策に有効です。シャワーで済ませず、お風呂に入るようにしましょう。今の時期であれば、40度前後のぬるめのお湯に10分程度、なるべく汗をかかないような入り方が、漢方的にはお勧めです。湯にゆっくり浸かれば、体の芯(内臓)も温まります。
寒いからといって、湯の温度が高すぎるのは逆効果です。温まった気分にはなるかもしれませんが、汗をかいてしまうと毛穴から「気」が漏れ、かえって冷えを促進してしまいます。また、湯上がりに皮膚を乾燥させてしまう問題もあります。
入浴剤を入れる人もいるでしょう。お勧めは「米のとぎ汁」です。意外かもしれませんが、特に冬は体の乾燥も防げます。香りをつけたい場合は、そこにみかんの皮を入れてみてはどうでしょうか。みかんの皮は「陳皮(ちんぴ)」といって、漢方薬の構成生薬として使われています。
このほか、塩と数滴のアロマオイルを湯に入れるのもお勧めです。アロマオイルはお好きな香りでかまいません。診療所に来る方には桃の葉をお勧めしています。桃の葉も生薬の1つで、赤ちゃんのあせもなどにもよいですが、大人でも乾燥を防ぐことができます。
ストレスや寝不足も内臓冷えに影響
ストレスや寝不足も内臓の冷えに影響します。
ストレスが蓄積すると自律神経が乱れます。自律神経には交感神経と副交感神経があり、胃腸は、リラックスモードのときに優位になる副交感神経が支配しています。ですので、自律神経のバランスが悪くなって交感神経が有意な状態が続くと、胃腸の働きが悪くなってしまうのです。
ストレスは、食べること以外で解消を。アロマセラピーやハーブティーなど香りでリラックスする、軽い運動やウォーキングで気分転換をするなど、です。もちろん、趣味に没頭するのもよいと思います。
寝不足は、寝ることでしか補えません。応急処置的に使う漢方薬もありますが、個人的にはあまり勧めていません。なぜなら、眠らないで活動するのは不自然だからです。
診療所に来られる患者さんの多くが睡眠不足を訴えますが、まず寝る時間をできるだけ11時前に設定し、そこから逆算して入浴や食事をしていきます。3日間連続で夜10時に寝てもらった患者さんは、不定愁訴の多くが解決されました。漢方では、夜は「日中に全身を巡っていた血が肝臓に戻って充電する時間」としています。充電する時間が足りなければ、十分な活動はできません。
最後にツボによる内臓の冷え解消法です。
うれしいことに、内臓の冷えにはダイレクトにお腹を温めるツボがあります。ここをカイロで温めたり(必ず下着の上から貼るなどして、低温やけどには気を付けること)、お灸を据えたりするといいでしょう。
お灸というと大変なイメージがありますが、最近は火を使わず貼るタイプも出ているので、興味がある方はドラッグストアや薬局、専門店などで相談してみてください。ただし、糖尿病や皮膚病があって火傷や傷が治りにくい人は、お灸はしないようにしましょう。また、入浴の前後や飲酒後、満腹時や空腹時も避けたほうがよいでしょう。
内臓型冷え症に有効なツボは、お腹周りにある「中脘」「天枢」「関元」の3つになります。
冷えがなくなれば代謝が上がる
内臓型冷え症に効くツボ
•中脘(ちゅうかん:へそとみぞおちの真ん中)
•天枢(てんすう:へその両脇、指3本分)
•関元(かんげん:へその下、指4本分)
内臓型冷え症に効くツボ(イラスト:ナミッコ/PIXTA)
お腹が温まれば、「気」や「血」がしっかり全身を巡るようになります。血流がよくなるので、熱エネルギーや栄養が全身へと行き渡りやすくなります。
そのため、代謝が上がって適正体重を保ちやすくなったり、疲れにくい体になったり、ぐっすり眠れるようになったりします。体温が上がればウイルスや病原菌への抵抗力や免疫力も高まります。
女性は月経や出産など、「血」を消耗する時期には特に注意が必要です。血は体を巡って体を温める作用があるため、不足すれば冷えが助長されます。月経前後や出産後は特に冷え対策を万全にしたほうがいいでしょう。
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提供元:内臓型冷え症をこじらせない!お腹周りのツボ3つ|東洋経済オンライン