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2022.02.08

「疲れない」「太りにくい」体に変わる筋トレの極意|免疫アップや老化予防、美容効果にもつながる


筋トレは苦手……という人も必見。これならできるというトレーニング法を紹介します(写真:Pangaea/PIXTA)

筋トレは苦手……という人も必見。これならできるというトレーニング法を紹介します(写真:Pangaea/PIXTA)

リモートワークで増えた体重を落としたい、低下した体力をなんとかしたい、筋力をつけたい……。日々の生活の中でそう感じている人は少なくないはず。そこで、テレビや雑誌などのメディアで健康情報を発信するトレーナーの坂詰真二さんが、疲れない体、引き締まった体、自信がもてる体をつくるメソッドを伝授するシリーズ。4回目は「最初に鍛えたほうがいい筋肉はどこか」について解説します。

ストレッチで体の柔軟性を高めたら、いよいよ始めるべき運動は筋力トレーニング、いわゆる筋トレです。筋トレは筋力をアップし、体型を整えるだけでなく、基礎代謝を上げることで肥満や生活習慣病を予防したり、免疫力を高めたりするといった効果も期待できる運動です。

では、その筋トレで最優先に鍛えるべき部位は、以下のうちどこでしょう?

A 体幹(胴体を動かす筋肉)

B 上半身(上肢を動かす筋肉)

C 下半身(下肢を動かす筋肉)

筋肉の量は多いが、実は衰えやすい

正解は「Cの下半身」です。10年ほど前に体幹ブームが起きた影響もあって、筋トレというと腹筋運動をイメージする方も多いかもしれませんが、最優先で鍛えるべきは、お尻、太もも、ふくらはぎ、といった下半身の筋肉です。

その理由は、下半身の筋肉はボリュームが圧倒的に大きく、かつ衰えやすいことにあります。

体幹と下半身では体幹のほうが重量はありますが、それは体幹には肺や心臓、胃腸や肝臓などの臓器が集まっているからで、筋肉量は全身の15%程度しかありません。これに対して、下半身は筋肉の塊。全身の筋肉のうち、下半身の筋肉は60~70%をも占めています(男性は60%程度、女性は70%程度)。

それは下半身の筋肉が、重力に逆らって重い体を支え、移動するための原動力だからです。樹上生活をするサルは上半身の筋肉量が多く、胴体をねじって移動する魚や爬虫類は体幹の筋肉量が多く、そして地面に足をついて二足歩行をする私たち人間は、下半身の筋肉量が多くなるように遺伝的にデザインされているのです。

もちろん遺伝子はあくまでも設計図であり、放っておいたままで筋肉が大きくなることはありません。

人間の下半身の筋肉は、生まれてからハイハイをし、つかまり立ちをし、ヨチヨチ歩きをすることで、少しずつ発達して太く大きくなり、さらに成長して走ったり、跳んだりといった刺激を受けることで、どんどん強くなっていくのです。この筋肉量の増加は通常10代まで続きます。

10代までに筋肉が急速に発達するのは、遺伝的プログラムに加え、運動刺激を受ける機会が多いからです。学生時代は体育系の部活動を行っていなくとも体育の授業があったり、さまざまな行事があったりと、活動が活発です。

ですが、就職して仕事を始めるようになると、体を動かす機会は激減し、徐々に筋肉は衰えていきます。最も顕著なのが下半身の筋肉です。下半身が体を支え、動かしているのですから、運動不足の影響を最も強く受けるのです。

この下半身の筋肉の衰えこそ、体力の衰え、もっと言えば老化の正体といってよいでしょう。

宇宙空間では下半身の筋トレが不可欠

最近、日本の実業家が宇宙に滞在して話題になりましたが、重力のない宇宙空間で生活する宇宙飛行士が、出発前や宇宙滞在中に重点的に鍛えるのは、下半身の筋肉です。

人工的に重力と同じ条件を作って下半身に負荷をかけ、スクワットやランニングなどを行います。これを怠ると地球に帰還した後、歩くどころか立つこともできず、正常な日常生活が送れなくなってしまうからです。

宇宙空間では、しっかり筋トレをしても1年間で筋肉が30%以上も減少するといわれています。重力の影響を受けている地球上の生活ではそれほど急激ではありませんが、一般的に年間0.5%程度は筋肉量が減少し、50代では20歳の筋肉量の8割程度まで落ち込むといわれています。この際に減少する筋肉の大半は、やはり下半身の筋肉です。

しかも、これは平均的な生活を送っていた場合です。今のように自粛生活、リモート生活によって立ったり歩いたりする時間が減り、いすに座る生活が長くなれば、下半身の筋肉はもっと急速に衰えていきます。

最近、立っているのがつらくなった、少し歩いただけで脚が疲れる、ちょっと階段を駆け上がっただけで息が切れる、といった経験をするようになっていませんか。その原因は下半身の筋肉の衰えである可能性が大ですから、それを解決するクスリは下半身の筋トレしかありません。

下半身の筋肉を鍛えると、よいことがたくさんあります。

1つは、これまでお話ししたように、下半身の筋肉は体を支えて移動する原動力ですから、鍛えることで体力が回復し、疲れにくくなることです。もう1つは太りにくくなる、あるいは体脂肪を減らすことにつながることです。

「筋トレで筋肉を太くしたら、体重が増えてしまうのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。むしろ下半身を鍛えないと、中年太りに陥るリスクは高まります。

というのも、筋肉は生命維持に必要な熱を生み出す熱発生装置でもあるからです。筋肉1㎏あたり1日で10~30kcalもの熱量を生み出していて、全身の筋肉が消費するエネルギー量は基礎代謝量の20%程度を占めています。

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筋肉量が減ると基礎代謝量が減少し、エネルギー収支は黒字に転換します。当然、食事量が増えていないにもかかわらずエネルギーが余剰して、体脂肪としてため込まれ続けることになります。

ですから、これを根本的に解決するには、下半身の筋肉を中心とした筋トレで、基礎代謝量を上げるしかないのです。

食事ダイエットは体の衰えを促進する?

この事実に目をつぶって単純に食事量を減らすダイエットをしてしまえば、体の衰えはますます加速します。食事量を減らしてエネルギー収支を赤字にすると、不足分を補填するエネルギーとして体脂肪だけでなく、筋肉も分解され、エネルギーに転換されてしまうからです。

下半身の筋肉を鍛えて基礎代謝量を引き上げれば、肥満の先にあるメタボリックシンドロームや、さらにその先にある動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。

加えて、熱発生装置の筋肉が増えて体温が上がることで、免疫力も向上します。例えば、気道の腺毛運動や免疫細胞の活動といった免疫機能は、体温が上がると働きやすくなるからです。

このように下半身の筋肉を鍛えることは大変有用ですが、上半身や体幹の筋トレが不要といっているわけではありません。下半身ほどペースは速くありませんが、加齢や運動不足によってこれらの筋肉も衰えていくのは間違いありません。

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この連載の一覧はこちら ※外部サイトに遷移します

下半身の筋肉を鍛えると、”インスリン様成長因子1(IGF-1)”という筋肉の発達を促すホルモンの分泌が顕著に促進されます。ホルモンは血液に乗って全身の筋肉に運ばれるので、下半身の筋肉を鍛えると、上半身や体幹の筋トレの効果も上がるのです。

このように、いいことずくめの下半身の筋トレ。最後に、今日から家やオフィスで手軽に始められる、太ももの前とふくらはぎを鍛える「膝曲げスクワット」と、お尻と太ももの裏を鍛える「お尻曲げスクワット」を紹介します。週に2回、2~3日の間を空けて行ってください。

下半身に効かせる2つのスクワット

■膝曲げスクワット(太もも前とふくらはぎ)

(1)バランスを崩した際に体を支えられるよう、壁の横に立つか、いすを横に置く。足を少し開いてつま先を正面に向け、背すじを伸ばして立つ
(2)上半身を床と垂直に保ったまま、息を吸いながら3~4秒かけてかかとが床から浮く手前まで膝を曲げていく
(3)息を吐きながら1秒でもとの体勢に戻り、これを自身の筋力に合わせて6~12回行う
(4)30秒ほど休憩をはさんだら、3セットを目標に無理のない範囲で行う
※上半身が前に倒れると太ももの筋肉に効かなくなるので注意を

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■お尻曲げスクワット(お尻と太もも裏)

(1)バランスを崩した際に体を支えられるよう、壁の横に立つか、いすを横に置く。片足を半歩後ろに引いてつま先を床につける(つま先は正面)
(2)背すじを伸ばしたまま、上半身を前に倒す。息を吸いながら3~4秒かけて、前の膝とお尻を直角に曲げる
(3)息を吐きながら1秒でもとの体勢に戻る。これを自身の筋力に合わせて6~12回行ったら、左右の足を入れ替えて同様に行う
(5)30秒ほど休憩をはさんで、3セットを目標に無理のない範囲で行う
※背中が丸まると腰に負担がかかるので注意を

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ボリュームが大きい下半身の筋肉を鍛えれば、飛躍的に体力を向上させて疲れにくい体に変わるだけでなく、体脂肪を減らして見た目に若々しい体にしてくれます。また、肥満や生活習慣病を予防し、免疫力を上げるといった健康上の利益ももたらしてくれます。

イラスト:竹口睦郁

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「健康維持にプロテイン」は逆に体壊す医学的理由

30代後半から無慈悲に太り続けてしまう根本原因

疲れ抜けず悩む人に急増「主食抜きすぎ」の大問題

提供元:「疲れない」「太りにくい」体に変わる筋トレの極意|東洋経済オンライン

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