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2022.02.04

会議中、相手に「手書きメモ」をあえて見せる理由|→や<>などを使って視覚に訴えるとより効果的


会議中にあえて手書きのメモを見せたほうがいい、意外な理由とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

会議中にあえて手書きのメモを見せたほうがいい、意外な理由とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

よい解決策を提案したのに、相手がなかなか動いてくれない。そんな経験がある人も多いでしょう。人を動かす場面において、「これをやるべき」「これをやってほしい」というメッセージは1日中飛び交っています。しかし、多くの人が相手に動いてもらえずに悩んでいるのも、また事実です。

「会話のなかで合意を取りつけたように思っていても、それが心からの『気持ちのよい合意』でなければ、必ずなんらかの反作用が返ってくる」と高橋浩一氏は言います。人間関係がぎくしゃくたり相手が不満を持ったりすることなく、相手に気持ちよく動いてもらうには、どうしたらいいのか。高橋氏の著書『気持ちよく人を動かす』から紹介します。

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相手から「もう少しよく考えたい」と言われるのは、相手にとって状況がまだクリアになっていない証拠です。私はこれを「情報整理の壁」と呼んでいます。情報整理の壁が立ちはだかっているときは、「見える化する力」が役立ちます。

「もう少しよく考えたい」という保留に対して、相手が持ち帰って検討するのを待っていては動きが止まってしまうので、相手と一緒にいるあいだに「ここまでを整理すると……」と言って、メモのかたちでまとめてしまいましょう。そのメモを相手と確認すれば、場を前進させられます。なぜ自分が書いたメモを相手に見せるかというと、相手から聞いた情報について単に「おっしゃることはわかります」と言うより、見せたほうが効果的だからです。

人は多くの情報を視覚から得ている

「メラビアンの法則」によれば、人が影響を受けるのは、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%で、最もインパクトが大きいのは視覚情報です。「ここまでうかがった内容を簡単に整理してみたのですが……」とメモを見せるのは、相手に「なるほど、こういうことなのか!」という新しい発見をもたらすこともありますし、「こんなにしっかり聞いてくれていたんだ!」という喜びの感情を生むこともあります。

「書いたメモを相手に見せましょう」とお伝えすると、「きれいに整理できていないメモを見せるのは抵抗がある」と言われることがあります。たしかに、人の話をリアルタイムで整理することは難しいですし、その整理が的を射たものであるかどうかは、慣れないとなかなか自信が持てないものです。

私も、新卒で入ったコンサルティング会社では、ホワイトボードで参加者の発言をきれいにまとめる先輩たちを見て、「とてもこんなふうにはできない」と思いました。そんな私の認識が変わったきっかけは、商談中に私が書き留めた、決してきれいではない文字の這うノートに、お客様が「それを写真に撮らせてもらえませんか」と声をかけてくれたことです。

紙面はきれいにまとまっておらず、ただ箇条書きでいくつかキーワードを並べ、大事な言葉に星印をつけて、赤いサインペンで囲っているだけのメモ。こんなものに価値があるのなら、むしろ自分から積極的に見せてみようと思い、次の商談からは意図的に大きな文字でキーワードを並べて、お客様へ「どれが大事ですか」と尋ねてみることにしました。

その結果、打ち合わせの途中で認識をすり合わせられるようになり、お客様からも喜ばれるようになったのです。

この方法を始めてから、気づいたことがあります。

こういった確認作業は、打ち合わせの最後にやると理解のずれが怖いものです。もし深刻なずれが終了間際に発覚すると、その後の挽回が難しいからです。したがって、途中の段階でノートを見せて、「ずれているところがあれば早めに教えてもらえませんか」というスタンスのほうがうまくいくのです。むしろ、自信がないときほど早めに見せて確認したほうが、よいことが起こりました。

いまではオンライン会議のときも、手元で打っているメモを途中で画面共有し、相手に見せて確認しています。会話のスピードが速いときは、自分の手元でメモのウィンドウを2つ立ち上げておいて、片方は「人に見せず、ただひたすら書くメモ」、もう片方は「相手に確認を求める要点だけ貼りつけたメモ」のように分けています。

情報の整理にはピラミッド構造が有用

構造化されたメモを作成するには、その場に出た情報を整理しなければいけません。それには、ピラミッド構造で考えるとよいでしょう。ピラミッド構造で考える癖がついていると、テキストで文章のまま整理することもできますし、情報の意味やかたまりを見て図解することもできます。

ピラミッド構造で考えられているときには、次の4つの条件が満たされています(図参照)。

記事画像

1つめは「情報のグルーピングができている」ことです。似たような話同士はくくり、意味のかたまりごとにキーワードでまとめられているときがこの状態です。

2つめは「要するに何が言いたいかがはっきりしている」ことです。ピラミッド構造で考えられているなら、具体的な情報を集約したとき、要はどういうことなのかが「一番言いたいこと」「最も大事な情報」として見えているはずです。

3つめは「なぜそう言えるのか根拠が明確である」ことです。ピラミッド構造で情報が整理されているときは、上から下に降りていくと、「結論」を「根拠」が支えるかたちになっています。すなわち、意味のつながりがしっかり見えているのです。

4つめは「抜け漏れ・ダブりがない」ことです。ピラミッド構造の横並びの項目は抜け漏れがない状態であるべきです。もし、相手の話を聞くなかで抜け漏れが見つかったときは、「この点についてはどうでしょうか?」と足りない情報を捉えます。「他にはありますか?」という質問をすれば、相手の話に対する理解は網羅的になっていきます。

これらがピラミッド構造で考えられているかを確認する、4つのポイントです。

ピラミッド構造で考えるスピードや精度を上げるには、「口癖」を意識するのがおすすめです。特に、打ち合わせの後半に入ってきたら、「4つのポイント」を意識したフレーズをあえて使うのです。

◯ 「ポイントは3つあって……」(グルーピング)
◯ 「結論としては……」(要するに)
◯ 「理由としては……」(なぜ)
◯ 「あと、抜けている点は……」(全部で)

ピラミッド構造を意識して考えることによって、情報をテキストのかたちでまとめたり図解で表現したり、自在に扱えるようになっていきます。

メモに記号を使うとよりわかりやすくなる

ピラミッド構造で考える癖がついていると、図解を用いた整理もしやすくなります。相手の話を図解で見える化できると、意思疎通はとてもスムーズになります。必要なときに、どんな図解を選んだらよいかをすぐに思いつけるように、図解のバリエーションと考え方を知っておくと便利です。

例えば、「↔」で2つの対象を比較する図や、「→」で変化を表す図、「A→B→C」と矢印でつないでプロセスを表す図は特に使いやすいでしょう。ほかにも、物事の大小・強弱・高低・○×・有無、などが縦と横の2軸になっていて「田」の字で表される「ポジション」や、2軸のグルーピングが掛け合わさった「マトリックス」などもよく使用されます。

図解パターンについての説明はここでは割愛しますが、図解するときのポイントとして、どうしてもきれいに図解しきれないときは補助手段を使いましょう。うまく表現できないときの「最終手段」を持っておくと、それが安心材料になります。

例えば、どうしてもうまく表現しきれない場合や、なんらかの情報を後から付け加えたい場合は、「矢印」「吹き出し」「中カッコ」が便利です。

記事画像

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「矢印」は何かを補足したり、何かが影響を与えていることを表現したりできます。「吹き出し」はとりあえず説明書きを付けておきたいときに重宝します。「中カッコ」はそれぞれをくくって、ひと言で説明するのに使いましょう。「矢印」「吹き出し」「中カッコ」を使うと、きれいに図解しきれないときでも表現を補えます。きれいにまとめようと気負いすぎないことです。

ビジュアルで情報を整理すると、「状況がどうなっていて、次に何を考えるべきか」という論点がクリアになってきます。「見える化」したあと、お互いの認識や必要な情報が揃っている状態になれば、あとはもう動くだけです。また、お互いの認識は揃ったが足りない情報があることが明らかになったなら、必要な情報を確認して先に進むことができるでしょう。

記事画像

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提供元:会議中、相手に「手書きメモ」をあえて見せる理由|東洋経済オンライン

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