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2022.01.28

「相手に動いてもらう」ために必要な7つのスキル|「3つの落とし穴」と「4つの壁」を超える事が重要


人に気持ちよく動いてもらうということはなかなか難しいもの。しかしそれを解決するコツがありました(写真:EKAKI/PIXTA)

人に気持ちよく動いてもらうということはなかなか難しいもの。しかしそれを解決するコツがありました(写真:EKAKI/PIXTA)

よい解決策を提案したのに、相手がなかなか動いてくれない。そんな経験がある人も多いでしょう。人を動かす場面において、「これをやるべき」「これをやってほしい」というメッセージは1日中飛び交っています。しかし、多くの人が相手に動いてもらえずに悩んでいるのも、また事実です。
「会話のなかで合意を取りつけたように思っていても、それが心からの『気持ちのよい合意』でなければ、必ずなんらかの反作用が返ってくる」と高橋浩一氏は言います。人間関係がぎくしゃくたり相手が不満を持ったりすることなく、相手に気持ちよく動いてもらうには、どうしたらいいのか。高橋氏の著書『気持ちよく人を動かす』から紹介します。

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行動を変えることに対する心の抵抗は、とても強力です。一見してよさそうな解決策を提示されても、それを実行するにはそれなりの(金銭的、精神的、時間的な)コストがかかります。相手の「現状維持したい」という気持ちを突破できるだけの費用対効果を訴求するのは、そう簡単なことではありません。

「よい解決策を押す」がよいとは限らない

現状維持にこだわる人へ働きかけるときに、多くの人が選びがちなアプローチは、「よい解決策をプッシュする」というものです。例えば、あるダイエット方法を知人に勧めるとき、「有名な医師が太鼓判を押しているよ」と権威を持ち出したり、「お金もかからないし、忙しくてもできるよ」と利点を強調したりするかもしれません。

このとき、人は無意識のうちに自らの結論の「正しさ」を相手に納得させようとしてしまいます。しかし、これには注意が必要です。正しさを相手と競うモードになると、次の3つの落とし穴にはまりやすくなるからです。

1つめの落とし穴は、「相手の抵抗を誘発してしまう」ことです。

「正しい」の反対は「間違っている」。意見が異なる相手を説得しようとして自分の正しさを伝えることは、裏を返すと「相手が間違っている」というメッセージになりかねません。すると、その提案を受けることは、相手にとって「自らの間違いを認める」ことになります。当然ながら人は自分が間違っていると認めることには抵抗があるので、なんだかんだと理由をつけて保留をしたり、はぐらかしたりするのです。

2つめの落とし穴は、「隙のない準備が議論を殺してしまう」ことです。

初歩的なロジックの不備やリサーチ不足はよいことではありませんが、反論や突っ込みを恐れるあまり準備が過剰になると、情報が膨らみ、本質的なポイントが隠れてしまいます。かえって言いたいことが伝わりにくくなるのです。また、相手からの疑問や反論をなるべく受けつけないように進めると、コミュニケーションが一方向になり、相手の発言機会も失われてしまいます。

3つめの落とし穴は、正しさで勝てないほうの心が折れてしまうことです。

人は、相手を「正しさ」で上回るのが難しいとき、とりあえず考えるのをやめて従う方向に流れがちです。心が折れて思考停止するのです。上司を説得しようとしたら逆に論破された部下が、「あの人には何を言っても無駄だ」と思い込むのがよい例です。そうなると、組織の風通しは悪くなり、部下に気持ちよく動いてもらうことからかけ離れてしまうでしょう。

正しさを競う世界では、疑問や反論を「よくないもの」と捉えがちです。もちろん、意に沿わない突っ込みが入ることを避けたいと思うのは自然な感情です。でも、疑問や反論は結論の質を高めてくれるものともいえます。

例えば、仕事を納期通りに出さない部下に対して、上司が「小さな約束を守らないやつはダメだ」と叱っても行動が改善されないとき、部下の言い分(反論)にあえて耳を傾けてみると、納期に対する部下と上司の認識がずれていたことがわかるかもしれません。部下から「納期に遅れている感覚はなかった」という発言が出てきたとき、それを単なる言い訳(正しくない行為)と決めつけるのではなく、裏にある背景を理解することが大事です。

すると、最初は「納期を守るかどうか」という問題だったのが、「上司と部下の間にある感覚の違い」について踏み込んだ対話をする機会につながります。そこで、「納期」以外にも日頃から感じていた「ずれ」について認識を合わせることができれば、部下のパフォーマンスだけでなく、2人の関係にもよい影響がもたらされるはずです。疑問や反論を歓迎すれば、結論を「よりよいもの」へと進化させられるわけです。

相手が抱く反論「4つの壁」の具体例

こちらからの提案に対して相手が抱く疑問や反論は、主に4種類あります。ここでは「4つの壁」と表現します。4つの壁とは「関係性の壁」「情報整理の壁」「思い込みの壁」「損得勘定の壁」です。具体例で説明します。

こんな例を挙げてみましょう。総務部が業務のペーパーレス化を検討するにあたり、現場の人たちに意見を聞きたいと考えていて、「1時間のヒアリングを受けてもらえる人を、各部署から2人ずつ出してもらいたい」と現場の管理職に依頼したとします。このとき、業務のペーパーレス化によるメリットは現場にもあるはずですが、現場の管理職からすると「急に時間を取られることへの抵抗」や「ヒアリング対象者へ説明する面倒くささ」があります。そこで次のような疑問や反論が起こると推察されます。

まず、「こちらも忙しいので、現場の事情も考えてほしい。これは役員の了承事項ですか?」といった反論です。この発言の背景には「総務部は現場をわかっていない」という気持ちがあります。言い換えれば、相手に気を許していないので動きたくないのです。これが「関係性の壁」です。

「本当に全部署へのヒアリングが必要ですか? 一部の部署でもよいのでは?」といった反論もあるかもしれません。これは言い換えれば、状況がクリアになっていないので動きたくないということです。これが「情報整理の壁」です。

「以前もこの類のヒアリングに協力したが、現場には結果が共有されず、意味があるのか疑問に感じた。今回も同様では?」という類の反応があれば、それは「思い込みの壁」があるといえます。過去に嫌な思いをして、今回も同様のできごとが起こるに違いないので、動きたくないと思っているのです。

最後に、「ペーパー業務が非効率なことはもう明らかなので、忙しい現場の時間を使ってわざわざヒアリングする意味はないでしょう」といった反応も考えられるでしょう。割に合わないので動きたくないということです。これが「損得勘定の壁」です。

これら4つの壁を乗り越えて、相手と共に結論を進化させられれば、相手との関係は一段深まります。また、共に導き出した結論なので、二人三脚で物事を進められるようにもなるでしょう。つまり、相手が前のめりになって気持ちよく動いてくれる状態です。そのような状態に持っていけるようになるには、次に挙げる7つのスキルを鍛えることが近道です。

4つの壁を乗り越える準備として必要なのが、「想定する力」と「段取りする力」です。

「想定する力」とは、その場のゴール設定をしたうえで、発生しうる壁(疑問や反論)をできる限り洗い出し、どう対応していくかのシミュレーションをするスキルです。「段取りする力」とは、相手の発言を引き出してディスカッションを双方向に進めながら、場の目的を達成するために、相手の発言を資料や議題に落とし込むスキルです。

次に、4つの壁を乗り越えるためのスキルも必要です。

4つの壁を乗り越えるためのスキルとは

まだ気を許していないので動きたくないという「関係性の壁」があるときは、まず相手を十分に理解することです。「理解を深める力」で相手との関係を築く必要があります。状況がクリアになっていないので動きたくないという「情報整理の壁」を乗り越えるには、その場に出ている情報をビジュアルで整理して、相手と確認することで場を前進させる「見える化する力」を使います。

先入観や固定観念による「思い込みの壁」があるときには、思い込みの原因を特定して、認知の枠組みを再定義(リフレーミング)することが有効です。いうなれば、「思い込みを外す力」です。相手が割に合わないと感じているときに現れる「損得勘定の壁」が立ちはだかったら、選択肢を増やしたり判断基準を問いかけたりすれば、意思決定の軸を動かせます。これを「軸を動かす力」と言っています。

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最後に、おおむね内容に合意ができたら、熱量が落ちないように相手にとって「自分ごと」にしていく必要があります。決めたアクションが着実に遂行されるまで、相手と一体になって推進していくスキル、つまり「巻き込む力」の出番です。

これらの7つの力を高めると、相手が気持ちよく動いてくれる状態をつくれるようになります。それだけでなく、他の人とのディスカッションを通じて結論を進化させられるようになれば、自分ひとりでは成し得ないような大きな事柄にもチャレンジできるようになるのです。

これは、相手の議論や反論を「封じ込めるべき対象」と考え、自説の正しさを相手に納得させようとする姿勢からは決して生み出せない未来といえるでしょう。

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提供元:「相手に動いてもらう」ために必要な7つのスキル|東洋経済オンライン

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