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2022.01.19

糖尿病患者さんに慢性的な便秘が多いのはなぜ?〜原因・治療・対策を解説〜


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若いころと比べて便秘になってきた気がする、ということはありませんか?

もしかすると、その症状は糖尿病が原因の一つかもしれません。

糖尿病と便秘の関係はあまり知られてはいませんが、実は深い繋がりがあります。

そこでこの記事では、糖尿病と便秘の原因・治療・対策についてお伝えしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

編集&執筆者情報:こちらをご覧ください ※外部サイトに遷移します

そもそも便秘とはどのような状態か

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厚生労働省によりますと、便秘とは「便中の水分が乏しく硬くなる、もしくは便の通り道である腸管が狭くなり排便が困難または排便がまれな状態(※)」と示されています。

(※)厚生労働省 生活習慣予防のための健康情報サイト ※外部サイトに遷移します

少し難しい表現ですが、要するに便が硬くて出しにくい状態のことです。

そしてこの便秘の基準は、人によって異なります。

一例をあげますと、毎日1~2回便が出ていた人が3日間便が出なかった場合、便秘と言えます。

しかし、もともと2~3日に一回しか出ていなかった人の場合、3日間便が出なくても便秘とは言いません。

逆に、毎日便が出ていても便が硬かったり量が少なくてすっきりしない場合は、便秘と言えます。

お通じの調子は個人差が大きいので、「今までの自分と比べて便が少ない」や「便が出にくい、おなかが張って苦しい」などの症状があるかが、大事な基準になります。

糖尿病患者さんに便秘が多いのはなぜ?

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糖尿病は、内臓の働きを調整する自律神経(※)を障害します。

(※)自律神経とは内臓や血管など、私たちの意志とは関係なく働く器官をコントロールする神経です。

そのため、胃腸にある神経の働きも悪くなり、便秘を引き起こしてしまうのです。

糖尿病性神経障害(※)という言葉を医師や看護師から聞いたことがある方もいるかもしれませんが、便秘もこの症状の一つです。

(※)糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症のひとつで、全身の神経に障害が生じます。

また便秘と下痢を繰り返してしまう方も多く、糖尿病胃腸症という名前がついています。

しかし、糖尿病による便秘以外にも便秘には種類があり、それぞれに原因が異なります。

医学的には、大きく分類すると、「機能性便秘」、「器質性便秘」、「症候性便秘」、「薬剤性便秘」と分けられています。

機能性便秘:ストレスや加齢で腸の働きが乱れることで起こる便秘です。便秘の中で一番多いのがこのタイプです。

器質性便秘:大腸がんや腸の癒着などで便の通り道が塞がれてしまうことによって起こる便秘です。

症候性便秘:もともとある病気の症状として起こる便秘です。糖尿病による便秘もここに含まれます。

薬剤性便秘:薬の副作用で起こる便秘です。

便秘の原因が一つではないことも多く、便秘かなと思ったら医師に相談するほうがよいでしょう。

参考記事:糖尿病は生活習慣を見直せば治るの? ※外部サイトに遷移します

参考記事:糖尿病で空腹を感じやすいのはなぜ?〜原因・対策を分かりやすく解説〜 ※外部サイトに遷移します

参考記事:糖尿病と下痢には関係がある?〜特徴・原因・治療をシンプルに解説〜 ※外部サイトに遷移します

慢性便秘症の診断基準を紹介

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慢性便秘症の診断基準は、

『「便を出すときに4回に一回以上強くいきまないと出ない」「コロコロとした便や硬い便が出る」「便が残った感じがする」「肛門周りが詰まった感じがする」「肛門周りを手で押さないと出ない」

などといった症状が6か月以上前からあり、直近3か月は症状のうち二つ以上がずっと続いている』と示されています。

どのような検査が行われるのか

問診を行い、症状から推測して診断をつけることが一般的です。

しかし、頑固な便秘だったり腹痛が強かったりすると、より詳しく便秘の原因を調べるために、レントゲン検査や大腸内視鏡検査などが行われることがあります。

慢性便秘症の治療ついて

慢性便秘症の治療は、まず第一に食事と運動を中心とした生活習慣の改善です。

それでもあまり効果がない場合、薬を使った治療をすすめていくことになります。

まずは生活習慣と食事の見直し

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便が出にくくなってきたと感じたら、まずは生活習慣と食事を見直すことからはじめてみましょう。

生活習慣改善と聞くと、毎日忙しくしている方には少し難しいと感じるかもしれません。

でも、ちょっとの改善でよくなることもあります。

例えば朝起きてからコップ一杯の冷たい水を飲み、軽くお腹をマッサージしてから、便意が無くてもトイレに座ってみる。

これだけでも、便秘が改善されることが多くあります。

食事を今すぐに変えることが難しい場合は、まずは水分をしっかり摂るようにしてみてください。

参考までに、一日1.5Ⅼ以上の水分を摂ると便秘に効果的です。また水分を多く摂ることは、便秘だけでなく美肌効果もあると言われていますので、ぜひ試してみてくださいね。

症状に応じて薬物療法が取り入れられる

生活習慣や食事を見直しても、便秘が改善しない場合、下剤による治療をすることがあります。

下剤にも多くの種類がありますが、大きく分けると、便自体を柔らかくして出しやすくするものと腸を刺激して出させるものに分けられます。

下剤を使うとすっきりしますし、楽になったと感じるかもしれません。

しかし、下剤の中には、腎臓が悪いと使えないものや、長期間使うとやがて効きにくくなるもの、効きすぎて下痢を発症してしまうものもあります。

薬にも副作用があるため、あまり薬に頼りすぎないようにできるといいですね。

市販薬を飲んでも良いのか

市販薬の中には、薬局で処方される薬と同じ成分のものも多くあるため、悪くはありません。

しかし、糖尿病患者さんの場合は腎臓が悪くなっているケースも見られますので、その場合は飲んでいい薬が限られてしまうため、医師または薬剤師に相談したほうがよいでしょう。

便秘改善と対策には食物繊維と運動が大切

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野菜をあまり食べない人は、食物繊維が不足して便秘になっているかもしれません。

食物繊維には便がかさましして出しやすくする効果があります。そして食物繊維には水溶性と不溶性という二つの種類があります。

水溶性と不溶性どちらの種類もバランスよくとることが便秘には効果的ですので、野菜も様々な食材を食べるようにしましょう。

参考までに、

水溶性食物繊維の代表例はキャベツ、いも類、大根など
不溶性食物繊維の代表例はゴボウ、穀類、豆類、きのこなど

となります。

また、適度な運動は腸に刺激を与え、ぜん動運動(※)が活発になります。

(※)腸のぜん動運動とは、消化したものを腸が伸縮運動をしながら腸内を移動させ、体外に排泄させる動きです。

筋力が衰えている人の場合、腹筋をつけることで便を出すときに出しやすくなります。

食物繊維を摂ることも運動をすることも、どちらも糖尿病の改善にも良い習慣です。便秘が改善しても、継続できるといいですね。

まとめ

以上、糖尿病と便秘に関係性があることがお分かりいただましたね。

糖尿病では自律神経に障害が起こりやすいため、胃腸の神経の働きも悪くなり、便秘を引き起こしてしまいます。

そして治療では食事や運動が優先されますので、まずは自身のできることから始めてみることをお勧めします。

なお、便秘を改善していくことは、糖尿病の改善にも繋がっています。

ですので自覚症状が出にくく、改善へのモチベーションを保ちにくい糖尿病ですが、便秘改善のために取り組んでみるのも良いでしょう。

最後になりますが当記事があなたのお役に立てると嬉しいです。

■参考文献

・慢性便秘症診療ガイドライン2017 ※外部サイトに遷移します

・糖尿病療養指導ガイドブック2018 糖尿病療養指導士の学習目標と課題
・日本糖尿病療養指導士認定機構 編・著 メディカルレビュー社 2018年発行

執筆者:管理栄養士・糖尿病療養指導士 白石 香代子

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山口県立大学家政学部栄養学科卒業後、人材業界を中心にセールスやコンサルタントとして交渉力・語彙力など幅広いコミュニケーションスキルを培う。その後、中国大連にて日系企業のフードアドバイザー、日本人学校の食育セミナー講師として活動。現在、H2株式会社とクリニックでの栄養士業務、特定保健指導を兼任。その他、中国高齢者施設の栄養監修なども手掛けている。管理栄養士、東京糖尿病療養指導士の資格を保有。

記事提供:H2株式会社

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提供元:糖尿病患者さんに慢性的な便秘が多いのはなぜ?〜原因・治療・対策を解説〜|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】

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