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2022.01.13

眠りが浅い人ほど「酒をやめた」ほうがいい理由|飲んだ翌日疲れるのは「夜間低血糖」が原因かも


あなたの眠りが浅いのは「お酒」のせいかもしれない(写真:Amenic181/PIXTA)

あなたの眠りが浅いのは「お酒」のせいかもしれない(写真:Amenic181/PIXTA)

寝ているのに疲れがとれない、朝起きられない、パフォーマンスが発揮でいないという人はぜひ「お酒」をやめてみてほしい。実は、あなたの不調はそれによって起きる夜間低血糖の可能性も。眠りが浅い人ほど断酒を試したほうがいい理由を、医師の溝口徹氏による新書『お酒の「困った」を解消する最強の飲み方』より一部抜粋・再構成してお届けする。

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酒飲みを襲う「夜間低血糖」のキケン

お酒を飲む人のなかには、自分でも気づかないうちに「夜間低血糖」を起こしている人もいる。

夜間低血糖になると、寝ているあいだに低血糖が起こり、質のいい睡眠がとれないため、寝ているのに疲れがとれない、朝起きられない、翌日の仕事のパフォーマンスに悪影響を与える(会議中に眠気が襲ってくる人もいる)など、日常生活に多くの支障が出てくることがある。

酒を飲むと、糖新生という糖質以外の物質からエネルギーをつくる流れがうまくいかず、低血糖になりやすくなる。それが寝ているあいだに起こるのが、夜間低血糖というわけだ。

お酒を飲むと爆睡できる、気持ちよく眠れると思っている人は、実はまったくの思い違いをしている可能性が高い。もしかすると夜間低血糖になっているのかもしれないのだ。

酔っ払って駅のベンチや道端で寝ている人もいるが、ただ酔っ払っているのではないのかもしれない。低血糖が起こり得る危険な状況は、体のなかでアルコールを分解しているあいだずっと起こっている。大量にお酒を飲んで寝ると、かなり長時間、低血糖のリスクにさらされていることになる。

夜間低血糖が起こると、交感神経が優位になる。寝ているのに力が入ってこわばっていたり、歯ぎしりをしたりして、まったく体は休まらない。なかには朝起きると筋肉痛があるという人もいるほどだ。飲んだ翌日に疲れがとれない、体がだるい原因の1つが夜間低血糖なのである。

2011年の9月、ヨーロッパの糖尿病学会で、重篤ではない夜間低血糖がある場合の個人の生活、健康などに及ぼす影響についてネット調査した報告があった。

その結果は、大部分の人の睡眠の質に影響があり、13%の人は睡眠の途中で目覚めてしまう(中途覚醒)と、眠れなくなってしまった。さらにその翌日には、22.7%の人が遅刻や終日勤務ができない状況になり、31.8%の人が会議や作業を休むなど、仕事への悪影響が出たという。

それだけではなく、低血糖そのものへの恐れや、「二度と目覚めることができないのではないか」といった恐れ、不安、罪悪感を覚えた人もいた。体のみならず、精神的な影響も大きいのである。

今から2年ほど前、ある雑誌の女性記者がクリニックに血糖値についての取材に来たことがある。そのとき、体験も兼ねて、随時血糖測定検査をした。

随時血糖測定検査とは、血糖調節異常を調べるための検査である。日々の食事日記とともに、上腕部に貼った機器を使って、血糖値を測定することで、食べたものと血糖値の動きの関係性がわかるのだ。測定期間は1週間以上、2週間まで可能だ。

機器は肌に密着した状態なので、30分以内なら測定をしながら入浴することもでき、装着し続けても負担にならないようになっている。もちろん、寝ているあいだの血糖値も測定できる。

その結果、なんとほぼ毎日、夜間低血糖を起こしていることが判明したのである。本人によると、「食後に異常なほどの眠気が襲う」「甘い物を食べたあとに動悸や倦怠感がある」、さらには低血糖で気を失った経験もあるということだった。

ところが普段はほとんど甘い物を食べないため、まさか低血糖とは思っていなかったという。ただし、非常に酒好きだということだった。

毎晩基準値を下回る血糖値。これでは、いつも眠った気がしないのではないかと思われる結果だった。

夜中にうなされることも

聞くと、中途覚醒、早朝覚醒は当たり前、彼女のご家族によると夜中にうなされているようなこともあったらしい。

夜間低血糖では、寝ているあいだに下がりすぎた血糖値を上げるために、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどの興奮系ホルモン(交感神経を優位にさせる)が分泌され続けている。これではおちおち寝てもいられないはずだ。

彼女の場合、食生活と照らし合わせると、夜間低血糖の原因は飲酒にあることは明らかだった。そこですべてのアルコールをやめてもらった。すると、「本当によく眠れるようになった」というのだ。しかも朝の目覚めもよく、次の日も元気で仕事も順調に進んだという。

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それまではほぼ毎日飲酒をしていたため、お酒を飲まないで眠ると、どれだけよく眠れるかを実感できなかった。やめてみなければわからない、というわけである。

その後、試しに少しお酒を飲んでみると、眠りが浅くなるのがわかったと言い、この取材を機に基本は飲まない生活に変わったという。

彼女は大酒飲みではなかったが、酒量が多くなくても夜間低血糖を起こす可能性は誰にでもある。

もし中途覚醒や眠りが浅いことに自覚があったり、日中に耐え難いほどの睡魔に襲われることがあれば、一度、お酒をやめてみてほしい。質のいい睡眠の何たるかがわかるかもしれない。

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提供元:眠りが浅い人ほど「酒をやめた」ほうがいい理由|東洋経済オンライン

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