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2021.12.30

日本人の体を壊す「隠れ糖質」とりすぎの深刻盲点|「添加物の魔力」で…あなたと家族は大丈夫?


「糖質制限」を意識しても、現代の食生活には「隠れ糖質」があった(写真:nevodka/PIXTA)

「糖質制限」を意識しても、現代の食生活には「隠れ糖質」があった(写真:nevodka/PIXTA)

食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、新聞、雑誌、テレビにも取り上げられるなど大きな反響を呼んだ『食品の裏側』を2005年に上梓した安部司氏。70万部を突破する大ベストセラーとなり、中国、台湾、韓国でも翻訳出版され、いまもなおロングセラーになっている。
その安部氏が、『食品の裏側』を発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、この度『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』を上梓した。15年のあいだに書きためた膨大なレシピノートの中から、たった5つの「魔法の調味料」さえ作れば、簡単に時短に作れるレシピを厳選した1冊だ。
同書は発売後、たちまち6刷5万部のベストセラーとなり、各メディアで取り上げられるなど、話題となっている。
「『ABEMA Prime』チャンネルAbema /news」(9月8日放送)にも出演した安部氏が「日本人の体を壊す『隠れ糖質』とりすぎの深刻盲点」について語る。

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「肥満」と「糖質とりすぎ」の問題

コロナ禍でクローズアップされた「コロナ太り」。リモートワークや自粛生活で体重が増えてしまったという人は少なくないのではないでしょうか。

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アキタフーズが20~60代の男女500人を対象に実施した「コロナ禍の健康意識に関する実態調査」によれば、コロナで体重が増えてしまった人の割合は30%以上。しかも「増加した」と答えた人は平均で5.6キロ増だったそうです。

肥満は、いまや日本人にとっても大きな問題です。肥満が大きな原因となって引き起こされる「糖尿病」が強く疑われる患者は、推計1000万人にも上るといわれます。年々増え続け、いまや「国民病」と言われるほどです。最近では、子どもの糖尿病(Ⅱ型)や低血糖症が増えていて、こちらも問題視されているそうです。

私は食品開発に長く携わった経験から、日本人の「糖質のとりすぎ問題」について長年、警鐘を鳴らしてきました。しかし、この問題はなかなか改善しません。

子どもたちを糖尿病から守るためにも、みなさん自身の健康のためにも、ぜひここで「糖質とりすぎ問題」を考えてみてほしいのです。

ちなみに「炭水化物」「糖質」「糖類」にはそれぞれ違いがあります。「炭水化物」は、体内でエネルギー源となる「糖質」と、ほとんど消化吸収されない「繊維質(食物繊維)」に分けられます。「炭水化物=糖質+繊維質(食物繊維)」ということです。

さらに「糖質」は、砂糖などの「糖類(単糖類、二糖類)」と、「でんぷん(多糖類)」に分かれます。「糖質=糖類(砂糖など)+多糖類(でんぷん)」と考えるとわかりやすいと思います。私たちがよく口にする「糖分」とは「糖類」のことです。

料理に使う(関する)主な炭水化物の分類(著者作成)

料理に使う(関する)主な炭水化物の分類(著者作成)

10年ちょっと前ぐらいから、「糖質制限」という言葉を非常によく聞くようになりました。 

いわく、日本人はご飯やパン、麺類など「糖質のとりすぎ」であり、これを大幅にカットすることで、肥満解消・ダイエットができ、さらに糖尿病をはじめ、さまざまな生活習慣病を予防することができるというものです。

糖質を減らすこと自体は素晴らしい食事法だと思いますが、添加物を知り尽くす私が、自分の立場から訴えたいのは、「糖質制限をしているつもりでも、意外なところに盲点がある」ということです。

それは、私たちは知らない間に「糖質」をとってしまっている可能性があるのです。「隠れ糖尿病」「隠れ高血圧」などという言葉がありますが、まさに「隠れ糖質」。それと気づかずに糖質をとってしまっているのです。

「50グラムの糖類」をいっぺんに飲み干す子どもたち

その最たるものが「清涼飲料水」です。もちろん商品にもよりますが、たとえば500ミリリットルの清涼飲料水には「50~60グラムの糖類」が含まれるものもあります。砂糖に換算するとコップ半分ほど、スティックシュガーで数えたら17~20本分にもなります。

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ジュースばかりではありません。子どもがよく飲む「スポーツドリンク」にも、かなりの糖類が入っているものが少なくありません。500ミリリットルのペットボトルには20~30グラムほど、スティックシュガーでは7~10本ほどの糖類が含まれているものもあります。

スポーツをやっている男の子などは、この2リットルサイズのボトルをごくごく飲み干してしまいます。2リットルを全部飲んだら、摂取する糖類は100グラムにも及んでしまいます。いくら運動でカロリー消費するからとはいえ、ちょっと恐ろしいほどの量です。

WHO(世界保健機関)は1日の「糖類」の摂取量の目安について、「1日にとる総エネルギー量の10%、できれば5%未満に抑えることが望ましい」というガイドラインを出しています。1日の摂取カロリーを2000キロカロリーとして計算すると、10%の場合、砂糖に換算して50グラム、5%では砂糖25グラムとなります。

500ミリリットルの「ジュース」を1本飲んだら、それだけで「1日の摂取の目安」をオーバーしてしまうことも少なくないのです。

ましてや2リットル入りの「スポーツドリンク」を飲み干す子どもは、2日分の糖類をいっぺんに飲んでしまっている計算になります。

つまり、お米などの主食を控え「糖質」を減らしているつもりでも、「糖質=糖類(砂糖など)+多糖類(でんぷん)」なので、清涼飲料水やスポーツドリンクなどを常飲して「糖類」を大量に摂取していると、結果として、そうとうな「糖質のとりすぎ」になってしまうのです。

拙著『食品の裏側2』でも述べたことですが、私たちの体は「塩分」「油分」「糖分(糖類)」のとりすぎに対して、もともと「防衛本能」を持っています。しかし添加物は、この「防衛本能」をたやすく崩してしまう魔力をもっているのです。

「50グラムの砂糖水」をごくごく飲める理由

『日本人の舌を壊す「黄金トリオ」の超ヤバい正体』でも述べたように、添加物の力を借りれば、大量の「塩分」「油分」が入った食品が「おいしい!」と思えるものに変わってしまう。この「添加物のマジック」が「糖分(糖類)」に対しても言えるのです。

試しに、50グラムの砂糖を500ミリリットルの水に溶かして飲んでみてください。甘すぎて飲めたものではありません。「こんなに砂糖をとったら体によくないぞ」という危機感がもたげます。

私はよく講演のときに、この「砂糖水」をその場でつくって試飲してもらうのですが、みなさん「こんなの甘すぎて飲めない」「体に悪そう」と顔をしかめます。

ところが、この砂糖水に「クエン酸などの酸味料」を入れ、「香料」で香りをつけ、「着色料」で色をつけると、あら不思議、「おいしいジュース」に早変わりです。

再び試飲してもらうと、「あっ、おいしい!」「いつも飲んでいるジュースの味だ」などという声が上がります。これが「添加物の魔力」なのです。

こういう「隠れ糖類」が多く入っているのはジュースやスポーツドリンクばかりではありません。注意すべき「隠れ糖類」は、ほかにもあります。

たとえば、もちろん商品によっても違いますが、「乳酸菌飲料」や「缶コーヒー」、あるいは「栄養ドリンク」などにも、かなりの糖類が入っているものも少なくありません。

「今日は疲れたから栄養ドリンクを飲んでおこう」「缶コーヒーで眠気を覚まそう」と、何気なく飲んでしまうその1本が「糖類のとりすぎ」をもたらしてしまう可能性があるのです。

コロナ禍のリモートワークでついつい、こうした清涼飲料水を飲む機会が増えたという人もいるのではないでしょうか。

『日本人の舌を壊す「黄金トリオ」の超ヤバい正体』 ※外部サイトに遷移します

このように、かなりの糖類が入っているのに、清涼飲料水には「糖類」(あるいは「糖質」)という表示がありません。書いてあるのは「炭水化物」です。

先に述べたように「炭水化物=糖質+食物繊維」です。野菜ジュースや一部の機能性飲料などを除けば、一般的な清涼飲料水にはほとんど「食物繊維」は含まれません。また「でんぷん」も含まれないので、この場合「炭水化物=糖類」と考えて差し支えないと思います。

しかも表示されているのは「100ミリリットル当たり」の栄養成分です。たとえばある清涼飲料水の表示は「炭水化物15グラム、脂質0グラム、食塩相当量0グラム、エネルギー60キロカロリー」となっています。

これは100ミリリットルの量ですから、500ミリリットルのボトル1本に含まれている量を出すなら、これに5を掛けて計算しなければなりません。この飲料の場合は、炭水化物(糖類)は1本(500ミリリットル)で75グラムとなります。

もちろん違反ではありませんし、野菜ジュースなどはメーカーが自主的に「炭水化物」と一括で書くのではなく、「糖質」と「食物繊維」を分け、さらに「糖質」の中に「糖類」まで明記している商品もあります。

今後は、こういう「消費者にわかりやすい栄養成分表示」が増えてほしいと思います。消費者にとっては「100ミリ当たり」ではなく「1本当たりの成分」「炭水化物ではなく糖類の量」のほうがわかりやすいのはいうまでもありません。

「おいしいご飯」のためにも「糖質オーバー」を避ける

私はもちろんこうした飲料を飲むことを頭から否定しているわけではありません。

食品や飲料は、単純に栄養を取り込むだけのものではありません。「のどが渇いたときにごくごく飲むおいしさ」「パーティなどでみんなで飲む楽しさ」もあるでしょうし、疲れをいやしてくれたり、眠気を飛ばしてやる気を起こしてくれたりと、メリットもたくさんあると思います。

それに、「糖質=悪者」では当然ありません、あくまで問題は「糖質のとりすぎ」です。

ただ、繰り返しになりますが、私が問題視しているのは、いくらお米などの主食を減らして「糖質」を制限しているつもりでも、「添加物のマジック」でぐいぐい飲めてしまう「普通だと飲めないような甘すぎる液体」を常飲することで、知らず知らずのうちに「糖質のとりすぎ」になっていることも少なくない、ということです。

私が常々言っていることですが、添加物には「毒性よりも怖いもの」があります。その1つが、「添加物の魔力」によって、普通だととれないほどの「糖分(糖類)」や「塩分」「油分」を、大量にいっきに摂取してしまうことなのです。

もし、こうした清涼飲料水を飲むならば、「1日の糖質摂取量」を気にかけていただきたいと思います。

「糖質のとりすぎ」は食事にも影響します。飲み物や間食で糖質をとってしまい、さらに食事でご飯やパン、麺類をとったのでは、完全な糖質オーバーとなってしまうのです。

『安部ごはん』では和食のレシピを102品掲載していますが、和食はご飯と汁もの、そしておかずという組み合わせが基本です。

やっぱりご飯を主食とする和食は、私たちの「ソウルフード」。お米のご飯なしの食事が続くと「どうも物足りない」という人はきっと多いはずです。私ももちろんその1人です。お米を極端に減らし続ける「糖質制限」は、なかなか続かず挫折する、あるいはすぐにリバウンドしてしまう、という人も少なくないようです。

だから私は、お米は適度にとりつつ、清涼飲料水などによる「糖類のとりすぎ」に気をつけたほうが、よほどうまく「糖質をトータルで減らすことができる」と思うのです。

ご飯をおいしくいただくためにも「隠れ糖質」にはぜひ注意していただきたい――「和食の素晴らしさ」を実感し、それを伝える人間として、私は強くそう思います。

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