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2021.12.13

「飲み会復活を嫌がる人」が知らない上手な断り方|ちょっとした飲みの誘いを波風立てずに回避する


年末にかけて増える飲みの機会(写真:jazzman/PIXTA)

年末にかけて増える飲みの機会(写真:jazzman/PIXTA)

感染状況が落ち着き「今年はついに忘年会が復活」という会社も中にはあるようです。「待ってました」と喜ぶ人もいる一方で、「うわ、行きたくない」「でも、断りづらい」と暗い気持ちになっている人もいるはず。そこで「ちょっとした飲みの誘いを上手に断る方法」そして「ハラスメントと思われにくい誘い方」の極意を、心理カウンセラーの五百田達成氏の『超話し方図鑑 思いどおりに人を動かす! 誰からも好かれる! 』より紹介します。

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出社の割合も増え、「ちょっと帰りに1杯」という機会も増えてきました。「今年はついに忘年会が復活」という会社もあるでしょう。

「待ってました!」「やっぱり会社は飲みニケーション」と喜ぶ人もいる一方で、「うわ、行きたくない」「オンラインに慣れちゃったから、飲み会がしんどい」と暗い気持ちになっている人も多いはず。

そこで、ちょっとした飲み会の誘いをうまく断るためのコツをいくつかお伝えします。

そもそも「断る」は、相手が気分を害する可能性のある、難易度の高いコミュニケーション。正しいメソッドを知っておく必要があります。

「前向きな姿勢」を示してから断る

上司や同僚、取引先からのちょっとした誘いを断るときには、まずは前向きな姿勢を示してから断るのが有効です。

たとえば商談後、得意先から「これから1杯どう?」と言われたら、 まずはなにも考えずに、「いいですね! ぜひ!」と即答します。

そのうえで「ちょっと会社に電話していいですか?」「今日は何もなかったよな(独り言)」と予定を確認(するフリを)します。

そのうえで、結局行けない or やっぱり行きたくなかったら、「すみません、今日は予定が……」と断ってOK。こうすれば不思議と、相手としては印象が悪くなりません。

なぜなら、こうした誘いの目的は「心理的距離を縮めて仲良くなりたい」だからです。

「実際に飲みに行くかどうか」は問題ではないので、即答で「行きたいです!」と前向きな姿勢を示しさえすれば、相手としては「お、仲良くなれた」「気持ちのいい人だ」「嫌われてない」と満足できるわけです。

無理して「まあ、1杯だけなら……」としぶしぶつきあうよりも、よほど信頼されることになります。

ちょっとした誘いは「あなたと仲良くなりたい」のサイン。「こちらも仲良くなりたいです」というメッセージを返しさえすれば、双方ともにコミュニケーションの目的は果たされます。

〈FACT&DATA〉

アメリカの心理学者・アッシュの有名な実験によれば、

1「頭がよくて勉強熱心だけど、衝動的で批判的なところがある」

2「批判的で衝動的なところがあるけど、勉強熱心で頭もよい」

と、それぞれのやり方で人物を紹介したところ、最初に長所を言った1のほうが、多くの人から好印象を持たれる結果となりました。これを心理学用語で「初頭効果」と言います。

「4ステップ」で断る

その場のちょっとした誘いではなく、正式に誘われてしまった場合や、仕事上の頼まれごとを断りたいときには、どうすればいいでしょうか?

「断る」というコミュニケーションは、4つのステップで行うのが基本中の基本です。

1【 お礼 】
まずは、誘ってくれたこと、声をかけてくれたことについて感謝の意を表します。誘う方だってエネルギーを使います。どんな内容であれ、せっかく誘ってくれたのですからお礼を言いましょう。

2【 理由 】
次に、できない理由をきちんと伝えます。その際、「ちょっと……」とごまかすのではなく、「仕事が立て込んでいて」「今日は早く帰宅したいので」など、なるべく明確に理由を言ったほうが、かえってスッキリした印象になります。

3【 謝る 】
「すみません」「残念です」と、心苦しさを伝えます。表面的でもかまいません。それが、誘ってくれた相手への礼儀というもの。「せいせいした」「行くわけないでしょ」というような捨て台詞のような気持ちは、表現するだけ損というものです。

4【リスケ】
最後に「明日ならできます」「またの機会にぜひ」など、将来に向けて明るい印象で会話を終えます。そうすれば、「断った」よりも「未来の約束」という印象のほうが相手に残ります。

この4つの要素を、1つたりとも忘れずに盛り込んで「断る」ことが大事。

例文1:

「資料整理、手伝ってくれる?」
「お声がけありがとうございます! ですが、いま○○の案件で手一杯で。本当にすみません。明日はいかがでしょうか?」
例文2:

「今度の週末、久しぶりにご飯どう?」
「いいねー、ありがとうー。でも、先約が入ってて行けなさそう……。ごめん!! またランチしよう!」
そもそも断られた側としては、かなりのショックを受けています。

「せっかく誘ったのに……」「なんで?」「困る」「いつならいいの?」など、さまざまな心理が一気に押し寄せます。しかもどの気持ちを強く感じているかは、こちらからはわかりません。

「お礼」「理由」「謝る」「リスケ」この4つの要素を含めておけば、最低限、それらのネガティブな心理すべてにフォローが効くというわけです。

念には念を入れておくに越したことはありません。

〈FACT&DATA〉

オハイオ州立大学のドネリーらの実験(2019年)によれば、何かを断る際の口実として、「時間がないから」は相手との関係を傷つけるいっぽうで、「お金がないから」はむしろ相手との関係を深める可能性があることがわかりました。

なぜなら、「お金がない」のほうが「自分でコントロールできない=やむにやまれぬ事情」と大目に見られるからです。

言い訳ひとつとっても、相手へ与える印象が大きく変わってくるのです。

「何かのせい」にして断る

正面切って断るのが難しいときには、断る主体を「自分」ではなく「何か・モノ・事柄」にしてしまうテクニック(It話法)も有効です。

つまり、「私が私の都合で断る」ではなく、「(私はやりたいのだけれど)何かのせいでダメなんです」と、自然と責任を回避するのです。

「例の書類、もっと早くできないの?」

×「え? いや、無理ですよ。言いましたよね、最初に?」
○「いや、ちょっとスケジュールが厳しくて」
「次の会議の場所、どうなってる?」

×「すみません、うっかり取り忘れました……」
○「すみません、もう、会議室が埋まってて……」
どちらも主語を「スケジュール」「会議室」にして話すことで、「話し手の都合」という印象が薄れます。

結果として相手は、

・決まっていることなのだから仕方ない

・誰が悪いわけでもない

・交渉の余地はない

と既定事実を受け入れやすくなります。

駅のホームで車掌さんが「ドアが閉まります」とアナウンスするのはこの話法の好例です。

実際には車掌が閉めているわけですが、「ドアが」 と言われると、乗客からの文句は少なくなるのです。

このほかにも、

「~と言われている」

「~とされている」

などの、持って回った言い回しも同様の狙いです。

〈FACT&DATA〉

オランダの心理学者・ブラウンとレヴィンソンの研究は、「丁寧さの表現」の1つとして、人を主語にしない「非人称化」を挙げています。

この話法を使うと、人間的な押しつけがましさが軽減し、スマートで丁寧な印象を与えるので、公共の場でのマナーのお願いなどに適している、と指摘しています。

「選択肢」を示して誘う

さて、「断る」もさることながら、昨今は「誘う」のも難しくなりました。

ちょっとしたモノの言い方ひとつで、「押しつけがましい」「ハラスメント」と思われてしまうからです。

たとえば、よかれと思って「部の忘年会には出席したほうがいいよ」と忠告したい場合。

そのまま、

「来たほうがいいよ」

「たまには来てみたら?」

とアドバイスしても、たいていの場合は「うっとうしい」「上から目線」と思われてしまいます。プライドの高い相手なら、なおさらです。

そうではなく、

「最初だけ顔を出すっていう手もあるよね」

「多少気は使うかもしれないけど、その分、今度の部会でのプレゼンはやりやすくなるかも」

と、あくまで状況を整理して選択肢を提示。相手の決断・選択を手助けする形にします。

そうすると相手としてみれば、

・ わかりやすく問題を整理してもらえた

・ 押しつけがましくなく見守ってもらえている

・ 結局、自分が責任を持って決断するのだ

という心理になります。

記事画像

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結果として、誘いやアドバイスをうっとうしいと思うこともなく、また、人のせいにすることもなく、主体的に行動を決定することができます。

「なんで言うとおりにしないんだ !?」
「せっかく言ってあげてるのに!」
と、つい熱くなってしまう自分を抑える意味でも効果的です。

「選択は相手の責任で行われるべき。こちらができるのは整理してあげることだけ」

というドライすぎるぐらいのスタンスが、とくにハラスメントに発展しかねない関係性においては重要です。

「人生の幸福度」を決める要因は?

〈FACT&DATA〉

神戸大学の西村和雄と同志社大学の八木匡の研究(2020年)では、「人生の幸福度」を決める要因として「健康・人間関係」に次いで、「自己決定」が挙げられています。

「自分で人生の選択をすることで、選択する行動への動機づけが高まる。そして満足度も高まる。そのことが幸福感を高める」と指摘しています。

なにごとも、「自分で決めた」「押しつけられなかった」と感じることが、精神衛生上好ましい、ということです。

「誘う」&「断る」は、身を削って相手を巻き込もうとする&逃れようとする、タフなコミュニケーションです。

感情的になることなく、きちんと正しい手順を踏むことで、踏まなくてもいい地雷を踏むことが避けられます。

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