2021.11.29
仕事のできない人は「報告」のコツがわかってない|「遅い」は致命的、どう準備してどう伝えれば?
仕事ができるか否かは、「報告」の仕方ひとつでわかります(写真:Greyscale/PIXTA)
「報連相(報告・連絡・相談)」は、ビジネスにおいて必須のスキルです。しかし、「言いたいことがうまく伝えられない」「報告が遅い」「決定事項の連絡がない」「相談なく勝手に進められてしまう」など、「報連相」に絡むトラブルは少なくありません。
その中でも、「報告」は、コツを知っているかどうかで、その質が大きく変わります。そこで、「話し方」「伝え方」について書いたベストセラー書籍100冊を分析し、皆が「重要だ」と言っているポイントをまとめた新刊『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』の著者の1人である藤吉豊さんが、100冊の書籍に書かれてあった内容をもとに、報告のポイントを解説します。
前回:嫌われる人の「イラっとする会話」よくある4大NG(11月18日配信)
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嫌われる人の「イラっとする会話」よくある4大NG(11月18日配信) ※外部サイトに遷移します
「報告が遅い」は致命的な欠点である
「確認を頼んでいた納期の件、どうなったんだ?」
「先日のイベントの報告書はどうなった?」
「そういえば、あの取引先との打ち合わせはどうだったんだ?」
報告の遅い部下に対して、上司がこのように尋ねるのは、珍しいことではありません。
しかし、「話し方」「伝え方」をテーマとした名著100冊には、「報告」は聞かれるより前に行うように書かれていました。
その理由は、
「報告が遅いのは、それだけでビジネスパーソン失格」
「上司の期待に応えられていない」
「聞かれるまで黙っていると自主性に欠ける“受け身人間”と誤解される」
「作業が遅れていると思われる」
といった、心構えの面だけではありません。
実は、尋ねられるよりも前に自分から報告することで、
「言うべきことをうまく伝える」
「誤解なく短時間で共有する」
ことが可能になります。
なぜ、報告は自分からすることが大事なのでしょうか。
報告に必要な3つの準備
たとえば、冒頭のように、納期について尋ねられた場合を考えてみましょう。
何の脈絡もなく急に尋ねられると、多くの方はあわてて答えることになります。
すると、しどろもどろになり答えられなかったり、自分の整理がついていなくて、
「確認したところ、やはり新しいタグには不備がありまして、再手配をしましたが、どうやら先方も立て込んでいるらしく、今のままだと納期に間に合わないとのことで、いったん納期でできるだけ納品してもらって、残りはでき次第という形にしてほしいということです。このような形で進めてもよいでしょうか?」
といった要点のはっきりしない報告になりがちです。
口頭でこのような報告を聞いた方には、予定どおり納品されるのか、どこに問題があるのか、いくつならいつまでに手に入るのか、残りはいつになるのか、などの具体的な情報が入ってきません。
上司から、
「最初の納品ではいくつ入る?」
などと具体的に問われると、またあわてて資料を確認することになります。
結果的に、伝えるべき情報がすべて正しく伝わるまでには、必要以上の時間がかかるのです。
また、上司は、情報が整理されないまま受け取ることになるため、そもそもの報告漏れに気づかなかったり、報告されたはずのことを後々になって「聞いていない」と思ってしまったり……。
報告で、必要な情報を正しく伝えるためには、
1 要点を絞り、結論をまとめておく
2 伝える順番を整理しておく
3 具体的に話す材料を用意しておく
という3つの準備が必要なのです。
報告に必要な、「要点」の絞り方
「要点を絞る」ことには、以下の3つのメリットがあります。
・印象に残りやすい
・相手が覚えやすい
・課題や論点を絞り込むことで、時間を有効活用できる
「記憶してもらいたい」ことだけを話し、それ以外のことは話さない。
そのためには、報告の内容を事前に整理しておくことが不可欠です。
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前述の納期の報告は、起こったことを順番に並べていて要点が整理されていないため、聞き手自身が整理をしながら聞かなければいけません。
「下手な報告」は得てしてこの傾向があり、聞き手に負担をかけてしまいます。
報告は、「起こったこと(事実)を、ただ言えばいい」ものではありません。
「自分が一番伝えたいこと」「相手が一番知りたいこと」(=結論)こそが、報告で求められている要点です。
報告をする前に、何を中心に伝えるのか(結論)を、事前に準備することが必要です。
伝える順番で伝わり方が決まる
会話のプロの多くが、
「何を言うのかと同じくらい、どの順番で話すかが大事である」
「話す順番を変えると、伝わりやすさが変わる」
と述べていました。
報告の場合は、まず、結論から伝えること。結論から伝えることには、
(1)「何について話すのか」(話題)が明確に伝わる。
(2)「話し手が最も伝えたいこと」「聞き手が最も知りたいこと」が正確に伝わる。
(3)途中で話をさえぎられても(途中で時間切れになっても)、要点を伝え残すことがない。
(4)「一番大事な情報」を先に話せばいいので、「最初に何を話せばいいのか」(会話の導入)で悩まない。
(5)聞き手の関心が高まるので、話に引き込むことができる(最後まで聞いてもらえる)。
(6)短い時間で、必要な情報を伝えることができる。
という6つのメリットがあります。
結論→説明の順番に伝え、場合によっては、最後に再び結論を繰り返す。
伝える順番を整理しておくことによって、報告のわかりやすさは見違えます。
具体的に話す
「できるだけ早く」「でき次第」「なるべくたくさん」などは、人によって解釈にバラつきのある言葉です。
こうした言葉を多く用いると、その分だけ説得力が失われ、また混乱の原因にもなりがちです。
ビジネスの報告で、具体的に話す方法は、おもに3つ、紹介されていました。
(1)数字で語る
(2)固有名詞を入れる
(3)体験談を入れる
とくに、今回のようなケースでは、(1)の数字を入れると有効です。
これらの3つのポイントを踏まえて報告を見直した例が、下記の文章です。
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提供元:仕事のできない人は「報告」のコツがわかってない|東洋経済オンライン