2021.11.22
滝沢カレン「ただただ食べたい鶏の唐揚げ」の物語|たまーの大量油は身体もそこまで困らない
滝沢カレンさんの独特すぎる「鶏の唐揚げ」レシピをお届けします(写真:サンクチュアリ出版)
「冷たい何も知らない鶏肉」
「お醤油を全員に気付かれるくらいの量」
「無邪気にこんちくしょうと混ぜてください」
「二の腕気にして触ってるくらいの力で、鶏肉をさらに最終刺激」
「独特すぎる」「文章が神がかっている」と話題になったレシピ。滝沢カレンさんの著書『カレンの台所』が発売1年半で20万部を超えるベストセラーになっています。「料理レシピ本大賞2021 in Japan 第8回【料理部門】大賞」も受賞しました。
分量も工程もレシピの概念を覆す表現の数々。どれほど詩的なのでしょうか。「滝沢カレンが描くピーマンの肉詰めという家探し」(11月5日配信)に続いて、本書から「鶏の唐揚げ」を抜粋、再構成してお届けします。
『カレンの台所』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
「滝沢カレンが描くピーマンの肉詰めという家探し」(11月5日配信) ※外部サイトに遷移します
「油物こそ、目でみろ、自分で作れ」
ヘルシーに見えてそうじゃない、高カロリーに見えてそうでもない、どちらも決めるのは胃袋ですってことにします。
今回はただただ食べたい、知らない人を知らない唐揚げを久しぶりに作ってみました。
油物がほんとは大好きで、でも油物はカロリーやら太るやらと可哀想な扱いされがちなので、なるべく外では油物を食べないで家で自分が作るときだけは食べていい、という決まりにしてます(たまにはご飯屋さんでもそりゃ食べる)。
なぜなら、やはり味付けから肉の種類、油まで全部自分で確認できるからです(こだわり強そうに見えてそこまで強いわけでもないのでご安心を)。
誰だって熱い油は嫌いだが、口に入れる油は大好きですよね。
私もその 1 人です。「油物こそ、目でみろ、自分で作れ」と言ってるのが私で、これは家系が続くかぎり言い伝えに残したいです。
私が家で唐揚げを作るときのお決まりをご紹介します。
唐揚げは鶏もも肉がおすすめですので、ご自分の食べたい分だけお買い上げください。それを子どもの頃に集めたガチャガチャサイズくらいの形に切ります。
私は味が濃いのが好きなので、今から話すことは味濃いと思いながら聞いてください。
薄いのが好きな方はこれから話すよりは自分で決めてくださいね。
そうしましたら、スタートです!
鶏の唐揚げといえば家庭料理の鉄板です(写真:サンクチュアリ出版)
まず、透明度まではいかないがスーパーでよく見かけるしもらうビニール袋を二重にします(豪快な方はジップロックなど)。
そこに冷たい何も知らない鶏肉を入れてあげます。
やれやれとボッタリくつろぐ鶏肉に、上からいくつかかけ流していきます。
まずリーダーとして先に流れるのは、お醤油を全員に気づかれるくらいの量、お酒も同じく全員気づく量、乾燥しきった粒に見える鶏ガラスープの素を、こんな量で味するか? との程度にふります。
入れすぎても入れなさすぎても、あまり変わるわけではないので気にしすぎもよくないです。
そして匂いが取り柄なにんにくすりおろしかチューブ、生姜すりおろしかチューブを、鶏肉ひとつにアクセサリーをつけるくらいの気持ちでつけてあげてください。
あとはごま油をご褒美あげるくらいにします。
最後に気前よく塩胡椒して鶏肉への刺激は終わります。
順番は自由です。
そうしましたら開きっぱなしの入り口を柔らかく結んでください。
あとでまた開けます。
二の腕気にして触ってるくらいの力で
自分が二の腕気にして触ってるくらいの力で鶏肉をさらに最終刺激します。
男のみなさんは自分の力を見せない程度にしてあげてください。
うわっこりゃすごい色だ!と濃さや匂いに驚かれてる方は、15 分くらい冷蔵庫で冷やしたらもう漬けるのをやめましょう。
わぁもういい匂いだお腹すいた!と笑顔になる方は、そのまま
30 ~ 60 分冷蔵庫にて鶏肉を休ませてあげてください。
あっという間に、待たせている鶏肉を思い出す時間になります。
面白いくらいにブったりした鶏肉があるはずです。
好き好きな入れ物に片栗粉と少しの小麦粉を入れて、潤い満タンの鶏肉を一気にパサパサ雪世界にしてあげます。
あ、その前にみなさん激熱油は用意できてますか?
私はたまにの油物なので、ここは贅沢御免でオリーブオイルを 170 度くらい熱々にします(飛び跳ね、指を入れるなど命かけてしないでください)。
熱々に見えなくてもそこは想像を絶する熱さです。
170 度にいきましたら、パサパサ鶏肉をおにぎりを一握りの気持ちで「いってこい」の後押しで油へ。
すぐさま何かしらの反応を見せたら、あ、楽しくやってるな、と見過ごしてあげてください。
何の反応もしてくれなかったら一旦取り出してください。油がまだ 170 度ではありませんそれは。
そして全体的に薄茶色になったら、一旦油取り紙(料理用)みたいのに移し、さらなる高温に油を熱くします。180 ~ 190 度にして、懲りずにまた唐揚げを油へ沈めてください。
ほんとに出してくれの合図
だんだんとキャピキャピ音が高くなってきたら、ほんとに出してくれの合図です。
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しっかりここではコミュニケーションとってください。
これ以上茶色な唐揚げ見たくない! ってタイミングでもいいです。
みなさん、「何事も早くがいい」と言われても、先に 190 度など高温にしてしまうと焦げたり中はまだあったまってないですから、気をつけてくださいね。
そんな鶏の唐揚げの物語でした。
安全第一で無理矢理な時は油物は控えてくださいね。
でもたまーの大量油は身体もそこまで困らないと思います。
ぜひ、よろしくお願いします。
(イラスト:サンクチュアリ出版)
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提供元:滝沢カレン「ただただ食べたい鶏の唐揚げ」の物語|東洋経済オンライン