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2021.08.24

定年後も「仕事ある職種」「採用少ない職種」の違い|いつまでも仕事に困らない人がしていること


定年後の再就職について定年後に考えるのは遅いようです(写真:kou/PIXTA)

定年後の再就職について定年後に考えるのは遅いようです(写真:kou/PIXTA)

「再就職のことは定年後にゆっくり考えればいい」と思っている人は多いだろう。しかし、「それは定年後に後悔する人の典型的なパターン」だと指摘するのは、50代以降のキャリアについて説いた『50歳からは、「これ」しかやらない』の著者、大塚寿氏だ。同氏は、「50歳を過ぎたら一刻も早く定年後の準備を始めるべき」だというが、具体的にどんな準備をしておけばいいのだろうか。

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50代のうちに4人に1人が転職している

「定年前」の50代の間に、実に4分の1の人が他企業へ転職しているという事実をご存じでしょうか。役職定年を迎えて別の会社でのチャレンジを決断した人もいれば、定年後再雇用の給与の少なさに愛想をつかして会社を出てしまった人など、その理由もポジティブ、ネガティブさまざまです。

あるいは「早期退職」と称した人員削減により、会社が用意したアウトプレースメント会社に次の仕事を紹介してもらう人もいます。さらに言えば、60歳を過ぎてから別の会社に移る人は、全体の3割以上にも及びます。この事実だけを見ても、「日本は終身雇用が前提の国」という常識はもはや崩壊していると言わざるを得ません。

一方で、転職は考えているけれど、それは定年後に考えればいいと思っている人も数多くいます。しかし、それは極めて危険です。私が見てきた中で、転職が最もうまくいかなかったのは、定年退職の日まで何もせず、「しばらく充電してから考えます」という人なのです。

気持ちはわからないでもありません。40年にわたり働き続け、しばらく休みたい……ということなのでしょう。しかし、再就職に関しては、定年退職した日から間が空けば空くほど、採用率も低くなり、雇用条件も悪くなる、というのは厳然たる事実です。そして、なかなか再就職先が決まらず、そのままやる気も失ってしまい……というのは極めてよくあるケースなのです。

そう考えたとき、実際に転職する・しないにかかわらず、50代のうちに自分のキャリアを見据えて早めに動いておくことが何より大事だということがわかります。

ある会社で補助金申請のエキスパートとして働いていたNさんは、50代になってからは二次販売会社や顧客との関係構築に注力したそうです。もちろん、それは仕事上のメリットを考えてのことですが、一方で、ここで自分を売り込んでおくことで、独立した際にコンサルティング業務を受注する可能性が高まるという意図もあったそうです。

こうした活動を50代のうちにしておけば、実際に独立するときにはもちろん、会社に残るにしても転職するにしても、必ず役立つことになります。

50代前半の人は「まだ早い」と思うかもしれませんが、早すぎることは決してありません。今から定年後のキャリアを考えて行動を起こしておくことは、50代にとってまさに「これだけはやっておかねばならない」ことなのです。

その原点となるのは、「自分はそもそも何者か」を知ることです。自分に対してその質問することで、自分を深掘りしていきましょう。その結果、本当にやりたいことが見つかればハッピーですし、逆に「これだけはやりたくない」ということが見つかれば、それも重要な指針になります。転職する・しないにかかわらず、その準備をして「転職できる自分」にしておくことは、あらゆるビジネスパーソンに求められることなのです。

「売り手市場」の人は、自分を安売りしないこと

「定年後再雇用か、転職か。はたまた独立か」は、その人のキャリアプランによってさまざまです。ただし、その人の属する業界や持っているスキルによってその難易度が違ってくるのは厳然たる事実。そこでここからは、「定年後を考えるにあたって知っておきたい転職の常識」について触れたいと思います。

まずは転職が比較的容易な「売り手市場」の業界から。
・IT技術者、AI技術者
・各種ソフトウェア設計者
・建築系・土木系・測量系の技術者
・工場建設、工場のオペレーションといった専門的な知識を持つ技術者
・医療・介護系
・知財、法務などのプロフェッショナル
ーーこうした人は完全な売り手市場です。

定年退職後に請われてインドの工場立ち上げに携わった人、外国の企業に雇われて海外プロジェクトを何件も手がけた人など、この分野で活躍する人は何人も思い浮かびます。事務職でも特定の海外のビジネス、商務、税務に精通しているとか、貿易実務、薬事関係、知財といった専門知識のある人は有利です。

また、大手企業で経理、財務、総務の経験がある人が、こういった仕組みがあまり整っていないベンチャー企業に転職する、という事例も増えています。ただし、大手企業とベンチャーではあまりに社風が違いますから、それを受け入れる柔軟さが必要となります。

もし、転職エージェントに登録するならば、複数のエージェントに、できれば3社以上のエージェントに登録することをお勧めします。それも「求人数の多いエージェント」「エンジニアに強いエージェント」「特定の職種に強いエージェント」など違う属性を持つエージェントが望ましいでしょう。

大事なのは「自分を安売りしないこと」。自分の価値をしっかり伝えて、納得できる条件を引き出しましょう。そのために複数のエージェントに登録しておくことが望ましいのです。

「買い手市場」だったとしても、過剰な心配は不要

一方、「デザイナー」「製造技術」「機械組み立て」などの業務、そして「一般事務職」全般は、正直申し上げて採用数はあまり多くないのが現状です。条件もあまり良いとは言えません。こうした業種・業界の方は、とりあえずは「再雇用」が基本戦略となるでしょう。あるいは独立を目指したり、顧問としてどこかの企業に入る、という選択肢もあります。

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有利な職種とは言えないため、50代での準備がより重要でしょう。1つでも自分のできることを広げたり、専門分野を突き詰めたりしておきたいところです。

ただ、ここまで述べてきたのはあくまで経済的な側面を重視した話です。年収が半減しても趣味に使う時間を増やしたいとか、年収が少なくても好きな仕事をやってみたい、という人も当然いるはずです。ニーズや条件にこだわらず「やりたいことをやる」のも当然アリです。

最後に、全般的に人手が不足している今の日本で、「職にあぶれる」ということはまず、ありません。そこは過剰に心配しなくてよいかと思います。

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提供元:定年後も「仕事ある職種」「採用少ない職種」の違い|東洋経済オンライン

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