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2021.07.09

意見の対立はたいてい「3つの領域」で起きている|エンドレスな会議や夫婦喧嘩を終わらせるには


だらだらと続く会議や同じ内容で争ってばかりの夫婦喧嘩を「終わらせる」には、議論の仕方を知る必要があります(写真:cerisier117/PIXTA)

だらだらと続く会議や同じ内容で争ってばかりの夫婦喧嘩を「終わらせる」には、議論の仕方を知る必要があります(写真:cerisier117/PIXTA)

だらだらと続く会議や、同じ内容で争ってばかりの夫婦喧嘩など、「終わらない議論」にいらだちを感じることはないだろうか。議論が平行線、あるいは打開策が見いだせないのは、問題の中身が整理できていないからかもしれない。アマゾンやツイッターなどでプロダクトリーダーを務めた経験を持ち、『会議を上手に終わらせるには 対立の技法』の著者である、バスター・ベンソン氏は、議論をスムーズに進める1つの手法として、問題をまず3つの領域に分ける方法を提唱している。ここでは、その3分割方について説明する。

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人間関係は「庭」に似ている

私は、結婚してから6年間で5回も引っ越しをしていたので、2014年にカリフォルニア州バークレーに家を買ったとき、こんどこそはここに根を下ろそうと決めた。当時、長男のニコは4歳だったので、学校に通いはじめてから、学校や友人が変わるのはかわいそうだと思ったのだ。

私たちの土地に別のものも根を下ろすと決めていたことを知ったのは、翌春だった。カタバミという黄色い花を咲かせる小さくてかわいらしい植物だ。

初めてカタバミを退治したとき、これで片がついたと思った。でも、カタバミにかぎってそんなことはない。1枚葉っぱを引っこ抜いても、その下には何十倍という数の小さな根っこがこれから芽を出そうと控えている。新居に引っ越し、これから庭づくりに励もうと意気込んでいる新しい家主たちをさげすむかのように、その小さな黄色い花は私たちに悪夢をもたらした。

いったいどうすれば駆除できるのか? 私は行く先々でカタバミを目にするようになり、庭に生えているカタバミの多さで近所の人々を値踏みするようにさえなった。

人間関係は庭に似ている。そして、庭には必ず雑草がある。議論や論争というのはいわば、私たちが意図的に植えた植物のまわりに生えてくる小さな人間関係の雑草だ。さほど害がなく、生えてくるたびにスパッと取り除ける雑草もあれば、あまりにも目に余るので焼き払うより方法がなく、庭の一部が丸焦げになって何年間も使い物にならなくなってしまうような雑草もある。

どっちにしろ、雑草は必ずよみがえる。必死で駆除しようとしても、新しい1日や季節が確実に巡ってくるのと同じように、必ずまた生えてくるのだ。

このことは、交わした議論だけでなく、まだ交わしていない議論にも当てはまる。議論に終わりはない。議論は長い長い根を持ち、表面的には消えたように見えても、じっと身を潜めているにすぎない。

(イラスト:早川書房提供)

(イラスト:早川書房提供)

人間関係では、お互いの趣味や嗜好の差を埋めるために、定期的に意見の折り合いをつけることが不可欠だ。たぶん、相手の趣味や嗜好を自分と同じものへと永久に〝心変わり〟させる有力な戦略なんてものはこの世に存在しないだろう。

この点はよくよく考えれば当たり前にも思えるけれど、「私にとって有意義なのは何か?」をめぐる議論を、「ふたりの嗜好のバランスを取るうまい方法は何か?」というような種類の議論とごっちゃにすると、簡単に行き詰まってしまう。私は今、この人とどういう種類の議論をしているのか? それを把握するため、意見の対立が生じる領域を、頭、心、手の3つに分けて考えてみよう。

意見の対立はどの領域で起きているのか

意見の対立を生産的なものに変えるいちばんの近道は、相手にこうたずねてみることだ。「これは〝何が事実か?〟の問題なのか、〝何が有意義か?〟の問題なのか、〝何が有効か?〟の問題なのか、どれなんだろうね?」。別の言い方をするなら、「頭」「心」「手」のうち、どれに関する問題なのだろう? 答えが相手と一致すれば儲けものだ。解決まであと一歩のところまで来ている。

(イラスト:早川書房提供)

(イラスト:早川書房提供)

誰かと意見が対立しているとき、自分たちが向き合っているのがこの3つの領域のうちのどれなのかに注目するとおおいに役立つ。3つの領域とは、「何が事実か?」(=頭の領域。情報や科学の問題)に関する不安、「何が有意義か?」(=心の領域。好みや価値観の問題)に関する不安、「何が有効か?」(=手の領域。実用性や計画の問題)に関する不安だ。

現実はこの3つの組み合わせで成り立っていて、それぞれに検証のためのルールがあり、会話のなかで異なる意味合いが含まれる。意見の対立を解消するのに効果的な方法は、3つの領域によって違う。ある領域にとって有効な方法が、残りの2つの領域にも有効だとはかぎらないので、注意が必要だ。

頭の領域──何が事実か?

意見の対立が、正しい情報を集めることで解決できるとき、それを「頭の対立」と呼ぶことにしよう。つまり、頭と頭がごっつんこしている状態であり、実世界で正しいか正しくないかを客観的に検証できるデータや証拠が解決のカギを握っているからだ。ある状況の「何(ホワット)」の部分に関係することが多い。
 例:2人がお互いの好きな番組をどれくらいずつ見るかについて言い争っている。この場合、ここ数日間でお互いの好きな番組を見た時間数が解決の基準となる。

心の領域──何が有意義か?

意見の対立が、個人の好みの問題としてしか解決できない場合、それを「心の対立」と呼ぶことにしよう。つまり、心と心がぶつかり合っている状態であり、個人の好み、価値観、主観的な判断が解決のカギを握っているからだ。ある状況の「なぜ(ホワイ)」の部分に関係することが多い。
 例:2人がある番組に見る価値があるかどうかについて言い争っている。この場合、個人の好み、他者と折り合いをつける能力、さまざまな種類の物語への評価が解決の基準となる。

手の領域──何が有効か?

意見の対立が、なんらかのテストを実施したり、事の成り行きを見守ったりすることでしか解決できない場合、それを「手の対立」と呼ぶことにしよう。つまり、さまざまな手段を比べ合っている状態であり、ある状況の「どう」の部分に関係することが多い。
 例:2人が、お互いの好み、番組の放送時間、個人的なスケジュールの違いを考慮し、両者が納得できる形でテレビの視聴時間のバランスを取る最善の方法について言い争っている。この場合、その方法が2人の長期的な関係にとってどれだけ有益となるかが解決の基準となる。

3つすべてが絡み合っている場合は?

意見の対立が生じたときは、必ず頭、心、手のうちの少なくとも1つの領域で対立が起きている。時には、2つまたは3つすべてで対立が起きているケースもあるだろう。そういうときは、「これは頭、心、手のうち、どの領域の問題なのだろう?」と問うことで、議論を種類別に切り分け、真っ先に対処すべき問題がどれかについて合意を得られるはずだ。

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もう1つ、触れておかなければならない領域がある。自分では別の誰かと対立しているつもりなのに、実際には自分自身の最悪の恐怖や想像を投影したものと言い争っているだけだということに気づかないケースがある。

影を相手に、生産的対立を実践するのはずっと難しい。影というものはいつだって私たちのもっとも容赦ないステレオタイプを体現していて、私たちの期待どおりにふるまうからだ。それが影の果たす仕事なのだ。

自分自身の影と言い争うのをやめるには? まずは自分が言い争っている相手を知り、それがあなたと会話している生身の人間であることを認め、相手がこう言ったと決めつけたりはせずに、相手の言い分にじっくりと耳を傾けてみよう。

自分自身の影と言い争っていることに気づいたら、いったん腰を落ち着けるといい。きっと、かなり長くなるだろうから。

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提供元:意見の対立はたいてい「3つの領域」で起きている|東洋経済オンライン

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