2021.06.30
使い方が要!ココナッツオイル、MCTオイルの正しいダイエット活用術
皆さんは、“ココナッツオイル”や“MCTオイル”という油をご存知ですか?実は、このココナッツオイルやMCTオイルを最近ダイエットに活用する方が増えてきています。
「え?油を使ってダイエット?」そう疑問に思われる方も多いはず。今まで油は“ダイエットの敵”という認識が強かったですよね。しかし、これらのココナッツオイルやMCTオイルは、普段私たちが摂取しているキャノーラ油やオリーブオイルなどの一般的な油とは少し異なります。正しい使い方をすれば、ダイエット中の方にとって大きな味方になってくれるのです。この記事で、ココナッツオイルとMCTオイルの正しい使い方をマスターして、健康的にダイエットを進めていきましょう!
そもそも、ココナッツオイルとMCTオイルって何?その違いは?
まずは、ココナッツオイルとMCTオイルの正体とその違いについて解説します。
〇ココナッツオイル
ココナッツの種子内にある胚乳から抽出した油のことを言い、ココナッツオイルは長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸から構成されています。
〇MCTオイル
ココナッツやパームヤシの種子内にある胚乳から抽出した油から、中鎖脂肪酸だけを抽出したものをいいます。中鎖脂肪酸は英語で“Medium Chain Triglyceride”といい、MCTオイルの“MCT”は、この頭文字からとっています。
以上のことから、ココナッツオイルは長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸が混ざった油、MCTオイルは中鎖脂肪酸のみで構成されている油、という違いがあります。今回、ダイエットの要としてご紹介するのは、ココナッツオイルとMCTオイル両方に含まれている“中鎖脂肪酸”です[1]。
長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は何が違うの?
皆さんは“長鎖脂肪酸”と“中鎖脂肪酸”という言葉を聞いたことはありますか? これらは脂肪酸の種類であり、それぞれ長さが異なります。長さが異なることにより、私たちの体へ入り代謝される経路が変わってきます。
植物油などに多い長鎖脂肪酸は、十二指腸で胆汁酸によって乳化したあとに膵リパーゼという酵素によって分解、吸収されます。そこからリンパ管へ運ばれ末端へ行ったのちに、細胞内のβ酸化という脂質代謝の経路に入ります。私たちの体は、エネルギー源として糖質が優先的に使われていくのですが、エネルギーが糖質で足りていれば、その脂質は体脂肪に変換されます。
中鎖脂肪酸は、他の油と比べて圧倒的にエネルギー効率がよいのが特徴です。一般的な油に比べて、4倍ほど早く分解される代謝経路をもっています。長鎖脂肪酸と違って、β酸化まで最短経路を通っていくため、短時間でエネルギーになります。糖質と同じぐらいの速さでエネルギーとして使用されるため、体脂肪になりにくいのです。短時間でエネルギーに変換するので、運動前に摂取すると運動のパフォーマンスもサポートしてくれるでしょう。
以上のことから、ダイエットに向いている油としてココナッツオイルやMCTオイルが注目を浴びているのです[2,3]。
ココナッツオイルとMCTオイルの正しい使い方
ココナッツオイルは、加熱調理にも使用できるため、炒め物をする際に使用してよいでしょう。ココナッツオイルは常温であっても固体なのが特徴の一つです。ココナッツの風味を活かして、エスニック料理に使用したり、バターの代わりにココナッツオイルを使用したりするのもよいでしょう。
一方、MCTオイルは沸点が低く、加熱してしまうと煙がモクモクと出てきてしまうため調理での使用は、オススメできません。ココナッツオイルとは違い常温で液体のオイルなので、普段飲むコーヒーや紅茶などの飲み物にいれてもよいですし、味噌汁やミネストローネなどの和食でも洋食でも味を邪魔しないため、美味しく召し上がれます。ドレッシングを作るときの油に使用してもよいでしょう。あとは、プロテインを混ぜる際に一緒に入れて飲むのもおすすめです。少しまったりとしておいしくなりますよ。
量については、最初は“小さじ1杯”から初めて徐々に体になれさせていくと良いでしょう。1日100gを超えるくらい多く摂りすぎてしまうと、腹痛や下痢症状が起こる場合もあるため、体に良いからといって多量に摂ることは避けましょう。
普段の食生活にココナッツオイルやMCTオイルを足すとカロリーが必然的に高くなってしまうため、太ってしまうこともあります。正しく使い効果を出すためにもカロリー調整は必要です。普段使っていた油を少し減らしたり、間食に食べているものがあればその分のカロリーを減らしたりして調整してくださいね[4,5]。
まとめ
脂質はダイエットの天敵と避けられがちですが、ココナッツオイルやMCTオイルの場合、正しく使うことでダイエット効果が期待できます。しかし、ダイエットに良いからといってそれだけをたくさん摂取してしまうと体に負担をかけることもあり、逆に太ってしまう可能性もあるため、注意しましょう。普段の飲み物に入れるだけでよく、調理など必要がないためすぐに始められるので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
【参考文献】(すべて2021年4月25日閲覧)
[3]望月和樹, 他: エネルギー産生回路とエピジェネティックスを介した中鎖脂肪の代謝改善作用, オレオサイエンス, 2018; 18( 8): 375-381 ※外部サイトに遷移します
[5]青山 敏明: 中鎖脂肪酸の栄養学研究-最近の研究を中心に-,オレオサイエンス, 2003; 3(8): 403-410,386 ※外部サイトに遷移します
著者:【プロフィール】管理栄養士 石川 桃子
歯科管理栄養士として、食べる入り口となる《お口の健康=身体の健康》を伝えるべくフリーランスとして活動をしている。歯科医院では、健康になるために糖質コントロールなどの一人一人の生活スタイルに合わせた食事指導や砂糖を使わないレシピなどを提供。また、独自で管理栄養士対象の歯科栄養ベーシック講座を2020年に開講し、歯科管理栄養士のサポートを行う。そのほか、セミナー講師や薬機法に対応したコラム執筆、監修などといった活動も行っている。
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記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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