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2021.06.09

難しい仕事を後回しにする人ほど損している理由|大きな成果を得るために初めはマイナスの場合も


将来の見返りが大きい働き方とは?(写真:アン・デオール/PIXTA)

将来の見返りが大きい働き方とは?(写真:アン・デオール/PIXTA)

「成功している人ほど、困難なこと・大変なことから先に手をつける」と語るのは、世界中のCEO300人以上にインタビューして生産性を高める秘訣を尋ねた『超速』の著者ウィル・デクレール氏。「仕事のできない人は良い段取りがわかっていない」(6月1日配信)に続いて、名だたる経営者や起業家に共通する「Difficult First」について解説します。

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「仕事のできない人は良い段取りがわかっていない」 ※外部サイトに遷移します

一度「ストップ」するほうが先に進める

私が話を聞いた起業家・経営者の多くは、生産性を上げるために「難しいことから取り組む」「困難を先延ばしにしない」「準備に時間をかける」ことを共通して指針にしていました。

まさに「Difficult First」(困難第一)とも呼べる意識で、大変なこと・やりたくないこと・時間がかかることから手をつける。その意識で、一日24時間から長期を過ごしていたといえます。

起業家の多くは「投資型のマインド」で物事を考えていました。「長期的な結果を得るために、短期的に努力をする」という考え方で、彼らは何をするかを決め、実行に移していたのです。

(出所)『超速』(サンマーク出版)

(出所)『超速』(サンマーク出版)

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

より大きな成果に到達するために、初めは結果がマイナスになることもある。改善を繰り返しながら少しずつ前進することで、より高い地点に到達する。いきなり結果を求めず、日々の時間を投資してスキルを磨いたり、大きな成果を出したりするための事前準備に時間をかけることで、彼らは着実に成功する下地を固めていったといえます。

「1本の木を切り倒すのに6時間もらえるなら、最初の4時間は斧を研ぐのに使う」このエイブラハム・リンカーンの言葉は、準備に費やす時間がいかに重要であるかを説いています。

私が話を聞いたあるウェブ開発者も、20〜80%の時間を、1行のコードを書く前の「アイデアを練り上げる作業」に費やしていました。始める前に、まさに斧を研いでいたのです。

「朝」に重要タスクをする

「いちばんタフな仕事から手をつける」ことは、生物学的な側面から見ても理にかなっています。

人間には「生物学的プライムタイム」と呼ばれる時間帯が存在します。これは、エネルギーレベルが自然にピークに達する時間のことで、1日の中でやる気と集中力が最高レベルにある時間帯が個々にあるとされています。

私たちが話を聞いた起業家のうち、夜に生産的になると答えた人は0でした。事実、多くの人にとって、朝がこのプライムタイムに当てはまります。睡眠によって脳内のゴミが取り除かれ、最も厳しいタスクに取り組む準備ができているからです。「生産性を向上させるための大事な秘訣は、早朝にスタートを切ること」と答えた起業家が多いのもうなずけます。

彼らはこぞって、脳と体がベストな1日の最初に、忍耐が必要だったり、集中力と時間を要したりするタスクに意識して取り組んでいるのです。

また、1日の集中力と生産性を高める方法として、朝のジョギングや運動を仕事前に勧める起業家も多くいました。徒歩や自転車で通勤して、エネルギーに満ちた状態で職場について1日を始めると答えた人もいます。

運動中の体は、あらゆる種類のホルモンを体内に放出します。気分を良くするのに役立つ「エンドルフィン」はその1つ。また、最大の効果があるのが「ドーパミン」で、ドーパミンには疲労感を軽減し、1日を通して集中力と記憶力を高める効果があります。

運動をするためにはエネルギーが必要ですが、一度体を動かしてしまえば、後から利子がついて返ってくるのです。

また、「朝の日課(ルーティン)」を持つ経営者は多く、毎朝決まったルーティンをすることは、安定した脳の処理効率を保つのに一役買っているようです。

非常に簡単に取り組めることをルーティンに挙げる起業家もたくさんいます。たとえば、「ベッドを整える」。なんでもいいので簡単に実行できるシンプルな作業で手を動かすことで、その後に控えている仕事へのやる気を高められるというのです。

実際、この朝のベッドメイクを「最初のタスク」に決めている成功者は多く、アメリカのウィリアム・マクレイブン海軍大将は「毎朝ベッドを整えると、その日の最初の仕事が完了する。そのことがささやかな自尊心となり、次の仕事をこなそうという気持ちにさせてくれる」と述べています。

人間の性質を利用する

「難しいことから手をつける」というのは、口で言うほど簡単ではありません。なぜなら、人間には「困難なことは避けて、楽なものに手を出そう」とする神経学的な傾向があるからです。困難な状況を回避し、代わりに楽しい状況を探す人間の傾向は、「ラボリの法則」と呼ばれています。

先ほどのベッドメイキングは、この傾向を利用して脳にまず満足感を与え、1日のスタートをうまく切る試みです。同様に、困難なタスクも、まずは簡単に取り組めるいくつかのステップに分解し、最初のステップに即座に取り組むことで、脳は軽い達成感を覚えます。そうして、モチベーションを維持したまま難しいタスクを完遂へと近づけることができるのです。

記事画像

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このように、Difficult Firstの意識で日々のタスクに改善を加えていけば、経済学者が「ラチェット効果」と呼ぶものから利益を得ることもできます。

ラチェット効果とは、所得は減少しても消費はその後も減らず、それまでの消費水準を維持しようとする人間の行動を指す言葉で、難しいことから取り組む「小さな改善」が生産性向上につながって多くの時間と成果を生むために、以前の仕事のスタイルに戻ることが考えられなくなるのです。

難しいこと・時間がかかることから始めていけば生産性が向上し、やがてその働き方がノーマルになる――Difficult Firstで取り組むことが、やがてたくさんの時間を生むことになるのです。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

仕事のできない人は良い段取りがわかっていない

入社8年、ITベンチャー勤務30歳の強烈な後悔

仕事のできない人は相手の話を聞く力がない

提供元:難しい仕事を後回しにする人ほど損している理由|東洋経済オンライン

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