2021.05.19
5月から少しずつ始めるべき「4つの暑さ対策」|自律神経が疲弊すると「だるさや不眠」を招く
5月には夏日も多いので、今から少しずつ暑さ対策を始めることが重要です(写真:elise / PIXTA)
今年の4月は春らしくなく肌寒い気候が続いていましたが、ゴールデンウィーク頃から一気に気温があがり、初夏の陽気となりました。店内やオフィス内、電車内での冷房が徐々に増え、ご自宅でもエアコンのフィルター掃除をして冷房の準備をしている方も少しずつ出てきている頃ではないでしょうか。
そんな中、風邪でもないのになんとなくだるい、眠れないといった体の不調を訴える方が増えています。この時期はいわゆる5月病の可能性もありますが、急に気温が上がったことによる暑さからくる疲れも大きく関与していると考えられます。
本格的な夏の到来前であっても、5月には夏日(最高気温25℃以上の日)も近年は多く、今から少しずつ暑さ対策を始めることが重要です。
自律神経で体内環境の調整を行っている
人間の身体は気温などの環境の変化に適応するために、自律神経による体内環境の調整をつねに行っています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類あり、それぞれさまざまな役割を担っていますが、交感神経は身体の働きを活発にしたり発汗により体温を下げること、副交感神経は体をリラックスさせたり食物の消化吸収を促すことが主な働きです。
そのため、暑い季節においては、特に交感神経が体内の温度を下げて一定に保とうとつねに頑張っている状態であり、暑さに対応すること自体が自律神経にとって大きな負担なのです。
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自律神経が疲弊することで交感神経・副交感神経のバランスが乱れ、身体のだるさや疲れやすさ、不眠、食欲不振や下痢・便秘に加え、頭痛、めまい、イライラ感といった症状が出ることを一般的に「夏バテ」と呼びます。なお、医学的な疾患名はなく、「自律神経の乱れによる倦怠感や睡眠障害、胃腸障害」のように表現されており、自律神経の負担を減らすことが夏バテの対策になるといえます。また、後述する対策はどれも自律神経を休め、回復させる効果があるため、すでに夏バテの症状がある人に対しての治療法としても効果的です。
では、具体的にどのように暑さ対策を行えばよいのでしょうか? ポイントは(1)気温(2)食事(3)睡眠(4)運動習慣の4つです。
まず気温については、暑い場所での長居を避けることが熱中症予防の観点からも大切ですが、頻繁に気温が変化するような環境においても、体温調節の機会が増えるために自律神経の負担が大きくなります。そのため、室内が涼しすぎることのないよう、外気温と室温の差は5℃程度に調整することが大切です。電車などで室温のコントロールがご自身でできない場合はカーディガンなどの羽織りものを持参しましょう。
食事は暑いとつい冷たいものばかり食べたり飲んだりしがちですが、冷えた飲料や食事を一気に過剰にとると下痢や、消化管の負担による胃腸障害の原因になります。食事は冷たいものをとにかくとるのではなく、涼しい場所でゆっくりと、温かいスープなどを食べることで副交感神経が休まり、消化吸収が緩やかになることで食事が無理なくとれるほか、胃腸障害も予防することができます。
炭水化物の過剰摂取に注意
また、暑い時期は清涼飲料水や、食事ではそうめんなどの食べやすい炭水化物を摂取しがちですが、これらには糖質が多く含まれており、糖質をエネルギーに変換するためにビタミンB1が消費され、不足した結果かえって疲れやすさを覚える場合があります。そのため豚肉やウナギなどビタミンB1を積極的に摂取するとよいでしょう。香辛料や香味野菜を加えて、食欲増進効果を狙うのも効果的です。
睡眠は自律神経の1つである交感神経を休めるために重要です。室温は25~26℃程度になるように調整すると体の冷えを防止しつつ快適な温度で眠ることができます。冷房は一晩中つけていても構いませんが、直接身体に風が当たらないように、またマスクなどによる乾燥対策を行いましょう。
もう1つのポイントである運動習慣についてですが、これは体温調節に必要な発汗能力を上げるために大切です。エネルギーを適度に消費することで食欲が増進され、また疲労回復のためにすっきり眠ることにもつながります。日中は熱中症の危険性がありますので、早朝や夕方のウォーキングで少し汗をかくとよいでしょう。通勤で片道10分程度の徒歩がある方は、無理なく取り入れられるかと思います。
なお、熱中症予防としての運動中の水分補給は、水やお茶よりもスポーツドリンクや経口補水液OS-1の適切な摂取が適しています。理由としては、水やお茶は「水分」は確かに取れますが、「塩分」を含まないため、うまく身体に吸収されないばかりか、体内の塩分やミネラル濃度が低くなってしまい、かえって体の不調をきたす場合があります。詳しくは私の過去の記事【「熱中症」で見落とされがちな3つのポイント】でも紹介しているので、参考にしてみてください。
初夏から夏へと向かうこの季節、暑さが本格化する前に生活習慣を少しずつ改善することで健康な夏の生活を迎えていきましょう。
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提供元:5月から少しずつ始めるべき「4つの暑さ対策」|東洋経済オンライン