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2021.04.20

65歳定年後も快活な人としょんぼりする人の差|「生きがい」と自活能力を身につけられるか


「老後」をなくして、「人生100年時代」を乗り切るためには?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「老後」をなくして、「人生100年時代」を乗り切るためには?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「第2の人生」を愉しく過ごすためには、定年前からの準備が大切と言われる。「65歳定年後も輝く人とダメになる人の致命的差」(2021年4月2日配信)、「65歳定年後に元気な人とガックリくる人の大差」(4月9日配信)に続いて、定年後の3大リスク「お金・健康・生きがい」の疑問や不安の正体を可視化し、解決策をまとめた『定年の教科書』より一部を抜粋、再構成してお届けする。

「65歳定年後も輝く人とダメになる人の致命的差」 ※外部サイトに遷移します

「65歳定年後に元気な人とガックリくる人の大差」 ※外部サイトに遷移します

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定年後の人生は自ら考え、自ら行動する

定年後になかなか次の一歩を踏みだせない人がいます。それまでは会社に頼りきって、自分から動かなくてもうまく生きてこられたからです。

日本は終身雇用がずっと続いていました。高度成長時代は年功序列で給料も右肩上がり、定年まで会社に勤めていれば退職金を受け取れました。さらに年金もあるので、なんとかそれだけで人生を終えることができたのです。

親の世代までは、このロールモデルが通用しました。そういう親を見て育ったせいで、自分もなんとかなるだろうと思いがちです。

しかし、いまは違います。50代から役職定年で給料は右肩下がり、定年後は再雇用でその給料も半減します。

終身雇用は崩壊し、退職金の額も減ってきています。さらに「人生100年時代」といわれるように、急速に平均寿命が延びています。

経済的な人生設計の大半を、企業が賄ってくれた時代はもう終わりました。自らの設計は自己責任においてすべきなのです。定年後も会社が面倒を見てくれると勘違いしているから、思考停止に陥ってしまうのかもしれません。その考えを早めに払拭することが必要です。定年後に生きがいを見つけないと、本当に「孤独な人生」になってしまいます。

ご参考までに、定年後の生き方の一例として、筆者(長尾)の父の話を紹介します。

父は63歳のとき、長年勤めた電力会社のグループ会社を退職。その後、趣味のゴルフを上達させたいという理由で歩き始めました。そこでウォーキングの魅力に目覚め、地元のウォーキンググループ「百歩会」を立ち上げます。

以来、その会の会長や事務局長を務め、毎月の定例会(ウォーキング)も一度も休むことなく参加してきました。

県内の神社仏閣や自然コースをはじめ、しまなみ海道の一部を歩くといった催しを次々と企画し、県のウォーキング協会の役員、市の老人クラブ連合会の常任理事も務めました。

みんなに喜んでもらえるのが「楽しみだな」と、意欲的に活動してきたのです。そして、その功績が認められ、88歳になった2015年、内閣府よりエイジレス・ライフの実践者として表彰されました。

2020年で94歳になっていますが、介護認定もまったく受けずに元気で暮らしています。あまりに元気で、いまも自転車に乗って買い物に出かけているので、子どもたちはヒヤヒヤものです。

さすがに歩く距離は落ち、「1日3000歩くらいしか歩けない」などとぼやいていますが、年齢を考えれば驚くばかりです。

父の場合は、定年前にやっていた「ゴルフ」がきっかけで「ウォーキング」に出会いました。定年後の楽しみは、何がきっかけで見つかるかわかりません。

「ウォーキング」をとおして社会とのつながりをもちつづけ、それが健康維持にもつながり、なによりも「たくさんの人に喜んでもらえる」ことが生きがいにつながったのでしょう。

人が強い幸福を感じるのは「誰かが喜んでいるのを見たとき」であることが、脳科学でもわかっています。そう考えると、父はまさに幸せな生き方を見つけることができたのだと思います。

人生の先輩方は老後をまだまだ先と思っている

あなたは、何歳からを老後だと思いますか。

メットライフ生命の「老後を変える全国47都道府県大調査」(2019年)によると、平均は「67歳」だそうです。ただし、年齢が上がるほど、老後だと思う年齢は上がっていきます。60代〜70代の回答は「70歳」が大半を占めていました。年齢以外の理由では、「身体が思うように動かなくなったとき」がトップです。

老後って、いくつからなのでしょう。

あるとき相談にみえた85歳の方は、「これからの老後資金が心配で、お金を増やせないか」と悩んでいました。先ほどお話しした94歳の父に「いまは老後だと思っている?」と尋ねたところ、「ぜんぜん思ってないよ! 100歳まで生きるし」という答えが返ってきました。

人生の先輩方は、老後はまだまだ先だと思っているようですよ。

60代は気力・体力ともにあります。仕事がなくなったといって、くすぶっていてはいけません。新たなチャレンジのときです。

「老後」の定義はまちまちです。自分で老後だと思わなければ、老後ではなくなります。

老後の心配がなくなる究極の方法は、「老後をなくすこと」です。これは楽しい人生を送れる近道でもあると思います。

そのためにも、生きがいを見つけることが必要です。

夫の早死にを防ぐ極意は「キッチン」にあった?

夫婦で過ごす老後の時間が長くなり、夫婦間の会話が増えるのはとてもいいことです。とはいえ、いつかはどちらかが先に亡くなります。ここは避けようのない宿命です。平均余命で考えると、夫のほうが先に死亡する確率が高いのですが、こればっかりはわかりません。

ある日、妻に先立たれることだってあります。

残された夫はもれなく孤独感に苛まれます。しかし、実生活でもっと困った事態に直面します。それは食事や掃除、洗濯といった日常的な家事です。

家事はほとんど妻任せにしていませんか。担い手がいなくなったら、とたんに日々の暮らしが回らなくなります。

洗濯物は洗濯機が洗ってくれるとしても、ひとり暮らしだとそれを干すのもおっくうになって、同じ下着を何日も着ていたり、一日中パジャマのままで過ごしたり。日常が壊れ、外出も少なくなるという悪循環に陥ってしまいます。

こんなだらけた生活を送っていれば、長生きできるはずがないでしょう。

いっぽう、妻が残された場合は違います。炊事、洗濯、掃除などは長年続けてきたことなので、日常生活が大きく崩れる可能性は低いのです。

アメリカのロチェスター工科大学の研究によると、妻を亡くした男性の余命は、同年齢の平均余命に比べて30%短くなるそうです。ちなみに、夫を亡くした女性の平均余命には変化がないとのこと。なんとなくうなずける研究結果ですね。

夫婦どちらも元気で長生きをし、ポックリ逝くのは理想ですが、そううまくはいかないのが現実です。

とくに家事に不慣れな夫は要注意。いまのうちから自活能力を身につけ、自立した健康的な生活を続けられるようにしておくことが重要です。

先に少し触れましたが、定年後に夫が料理を習うことはお勧めです。昨今は熟年男性向けの料理教室もあり、人気を集めているそうです。

先立たれるだけでなく、妻が入院するケースも考えられます。そんなとき、「お米のとぎ方」「包丁の持ち方」がわからないでは、その日の食事すらままなりません。食事がおろそかになれば、体力だって衰えます。

「ベターホーム」のアンケート調査によると、最初はほとんど料理をしない人が約75%でした。しかし、料理を習うことで、月に2〜3回、家で料理をするようになった人が約50%に増えました。

また、妻の負担を減らすという意味でも料理は大きなメリットがあります。

現役時代は、朝とたまに夕食を準備するだけですんだかもしれません。でも、定年後は毎日家にいるため、妻は1日に3回の食事を用意することになります。それまでに比べ、負担が増えるわけです。

夫の株は上がるが逆効果にならないように

これを週に1回でも手伝うことで、妻は気分的にもかなり違います。夫の株がグッと上昇するのは間違いないでしょう。逆にいっさい料理をせず、食事時になるたび「メシはまだ〜」なんて催促していると、熟年離婚のリスクが高まってしまいます。ただでさえ「濡れ落ち葉」になっているなら、さらに危険です。

定年後は時間がたっぷりあります。料理をしていると楽しい時間を過ごすことができ、妻の機嫌もよくなる。まさに一石二鳥です。

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ただし、「料理をしてくれるのはいいけれど、散らかしっ放しで後片づけをしないんだから!」などと怒られないように。妻の手間を増やしては逆効果です。

先ほどのベターホームの調査によると、料理教室に通う前は、料理以外の家事をほとんどしなかったという人が約37%でした。ところが、通ったあとは、家事をほとんどしない人が約12%に減っていました。料理をきっかけとして、家事全般に目が向くようになったのでしょう。

料理がきっかけでも、掃除がきっかけでもいいのですが、日常的に家事を手伝う生活を実践してみませんか。そのときになっていきなりやれといわれても、なかなかできるものではありません。

配偶者に先立たれても生活していける力を、日頃から鍛えていくことは大切です。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

定年後「好きを仕事にしたい人」がたどる末路

65歳定年後も輝く人とダメになる人の致命的差

夫の死で「遺族貧乏」にならない家計の備え方

提供元:65歳定年後も快活な人としょんぼりする人の差|東洋経済オンライン

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