2021.03.29
元テレビマンが「さんま」の流儀から学んだこと|「努力が報われない人」に共通する残念な法則
元TBSのバラエティプロデューサーが気づいた「才能があっても成功しない人が持つ共通点」とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
明石家さんまや中居正広など名だたるタレントとともに仕事をして、元TBSのバラエティプロデューサーだった筆者は、「才能があっても成功しない人が持つ共通点」があることに気づいたといいます。それは何も芸能界だけの話ではなく、あなたが現状に不満があるのは、努力の方向性を間違っているからかもしれません。
努力が報われない人、才能を伸ばせない人の問題点は何なのか? 角田陽一郎氏が執筆した『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか?』より一部抜粋・再構成してお伝えします。
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成功していない人には3つの共通点がある
僕は長年、テレビの現場で、芸能界にデビューしたい人のオーディションや面接などをたくさん行ってきました。オーディションで実際に会い、話を聞いたり、パフォーマンスを見せてもらったり、過去の作品を見せていただいたりすると、優秀な方もかなり多いのですが、その人たちが必ずしも、世に出てヒットしているわけではありません。
「この人たちは才能があるのに、なぜ開花していないのか」。そんな疑問を抱きながら眺めていると、自分らしさを活かして成功している芸人や俳優、アーティストと、成功していない人との間には、タレントとしての能力以前に大きな差があることに気がついたのです。
成功していない人には、次の共通点があります。
・理由をつけて、すぐに諦める
・こだわるポイントが的外れである
・「私は違う」と、すぐに言う
1つひとつ、そう思った理由を簡単に解説しましょう。
理由をつけて、すぐに諦める
成功していない人は、物事をやめるのが得意です。すぐ理由をつけて、物事をやめてしまいます。一方で成功している人は、「うまくいかないな」「大変だな」と思っても、ある程度の期間、継続して努力できる人が多いようです。例えばPPAPのピコ太郎のプロデューサーである古坂大魔王さんは、ずっと同じような「音楽芸」を続けてきた結果、大成功を収めています。
こだわるポイントが的外れである
成功していない人ほど、妙なところにこだわります。まだ売れていないのに、給料面や売れ方にこだわりすぎる人。そういう人も成功しません。成功する人は、自分が本当に大事にしている表現以外のことは、信頼して周りに任せている人が多いです。
「私は違う」と、すぐに言う
成功していない人ほど、どこかで自分を特別だと思っています。他人の失敗を見ても、「自分だけは例外だ」と思い込んでいるので、「人の振り見てわが振り直せ」ができません。
逆に成功しているタレントさんに共通すること。それは大きくわけて3つあります。
・他人のアドバイスには素直に従う
・人が面白いと言ったもの、作品をすぐに見る
・自分の好きなことをベースに仕事をしている
とくに「好きなことをベースに仕事をしている」は、成功の必須条件。売れた、人気が出た、成功したから「好きなこと」ができるわけではありません。成功している人の多くは、好きなことだけをやって生きています。
なぜ、それが可能なのでしょうか。
明石家さんまの仕事流儀
僕は大学を卒業した後、約20年間東京放送(TBSテレビ)に在籍し、『さんまのスーパーからくりTV』でディレクターに昇格、さらにチーフディレクターとして『中居正広の金曜日のスマたちへ』(『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』)を立ち上げました。
ほかにも数々の番組や映画でさまざまな経験をさせてもらい、明石家さんまさん、いとうせいこうさん、水道橋博士さん、ユースケ・サンタマリアさん、キングコングの西野亮廣さんなど、たくさんの魅力的な方々と会ってきました。そんな中で、僕はある結論にたどり着きました。それは「成功している人の多くは、好きなことだけやって生きている」ということです。
さんまさんは、どんなテレビの企画でもおもしろがって、好きなことにします。彼は、あるラジオ番組で、「努力は報われる」と言った女性アイドルに対して「努力は報われる、と思う人はダメ。努力を努力だと思っている人は、大体間違い。好きだからやっているだけよ、で終わっておいたほうがいい」とコメントし、努力することよりも、好きになることの大切さを説いていました。
仕事を通じて好きなことが増えていったり、仕事自体を好きになったりすると、以下のような、いい循環が生まれます。
・仕事が楽しいので、前向きに取り組める
・前向きに取り組めるので、経験や知識が身につきやすい
・いろいろなアイデアが浮かびやすいので、仕事で成功しやすい
さらに、成功体験は、人を大きく成長させます。達成感、充実感は自信を養い、自信は行動力を生み出すので、一度成功体験を味わうと、その後、成功までの時間はより短くなっていくでしょう。つまり、好きなことが増えたり、仕事が「好きなこと」になったりすることで、人は成長でき、成功しやすくなるのです。
しかし、みなさんの中には、おそらく、「今の仕事は好きではないけれど、お金のために仕方なく働いている」「そもそも、好きなことややりたいことがない」という人もいるでしょう。「好きなことはあるけれど、そればかりやって生きていくのは無理」という人もいるかもしれませんね。そこで、拙著の中で紹介している「好きなことを増やす方法」から、1つ抜粋してご紹介します。
何でもおもしろがる「バラエティ思考」とは
その1つの方法は、物事を平面的にとらえるのではなく、360度、あらゆる視点からとらえ、どうすればおもしろくできるかを考える「バラエティ思考」を身につけることです。
例えば、ショッピングのロケをしたいけれど、撮影が押してしまい、あと1時間しかない場合。そんなときに「1時間じゃ無理!」と諦めるのではなく、急きょ「1時間でどれだけ買い物ができるかゲーム」に企画を変えます。制約をルールに変えてみると、普通にロケをするよりも、もっとおもしろくなることがあります。ピンチや制約をうまく利用するのです。
自分をアピールするなら、自分自身に「世界一の駄作を作った男!」といったキャッチフレーズをつけ、失敗の体験を自分で発信したらどうでしょう。世の中はおもしろいもので、「並の駄作」では人々は何ら関心を持ってくれませんが、世界一の駄作には興味をそそられます。
例えばツイッターでスーパーやコンビニなどの店長が「発注ミスで、こんなに商品が届いてしまいました。助けてください」とつぶやき、商品がドーンと売れることがたまにあります。これは、大量の商品が並ぶ写真、悲壮感のある文章などのバラエティ的おもしろさが、多くの人に支持された結果でしょう。
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ほかにも「時間がなく追い詰められたときこそ、人気の映画を観る」、「人がおもしろいと思ったものは、とりあえずポチる」など、日常できることで「自分の好きなもの」を増やす方法はあります。
「自分の好奇心に躊躇しない」
これは水道橋博士さんの言葉ですが、まさにそれが大事だと僕も思います。どんなにくだらないことでもかまいません。何かに対して好奇心を抱いたら、それを実際に体験しつつ、しなければいけない自分のタスクや課題と、どうつなげることができるかを考えてみてください。その積み重ねがいずれアイデアという花を咲かせてくれ、好きなことで成功する一歩となることでしょう。
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提供元:元テレビマンが「さんま」の流儀から学んだこと|東洋経済オンライン