2021.03.18
相手の怒りを鎮める「お詫びメール」の書き方|「答えていい質問」とそうではない質問がある
「お詫びメール」の書き方のポイントをお伝えします(写真: GARAGE38/PIXTA)
こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ®」の大野萌子です。
コロナ禍において、メールなどの文字ツールでのやり取りの頻度が、一層増していると思います。中でも、トラブルやクレーム対応などのお詫びメールは、相手とのやり取りが、マイナススタートとなるため注意が必要です。さらなる火種を作らないよう、より深みにはまらないよう慎重に対応しなくてはなりません。そのためには、こちらの意向を理解してもらえるよう「相手の気持ちを意識した文面」「わかりやすく受け止めやすい表現」にする必要があります。そのポイントについてお伝えしたいと思います。
「マイナス感情に対応する」
お詫びをするということは、少なからず相手に対し、不備やトラブルがあったことが前提だと思います。事実関係の確認や説明も重要なのですが、まずは相手の主感情の正体を見極めることが大切になります。
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要は、トラブルやクレームを訴えている相手の感情にフォーカスすることです。例えば、「不信感」「怒り」「不安」「悲しみ」などの気持ちが考えられますが、それらの感情を見極めて緩和する方法は、ただ一つ「受け止めること」です。訴えてきたことを言葉で受け止めることが重要です。
「どういうつもりですか?」などの質問形式のメールに関しては、問いに真摯に答えようとすればするほど、こちらの言い分を並べてしまいがちです。しかしそれでは、逆効果です。相手は、こちらの思いや都合などに関心はありません。答えてよい質問は、方法や事実の問い合わせに対してのみです。単なる「確認事項」や「方法」といった内容であれば、速やかに答えてください。しかし、姿勢や思いなどに関する問いには、「答える」のではなく「応える」ことが大切になります。
例えば、指定期日に商品が届かなかったことで「楽しみにしていたゆえにとても残念だった気持ち」を訴えられた場合は、その気持ちに対して理解を示すことが重要です。
悪い例)大変なご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
よい例)楽しみにお待ちいただいていたにもかかわらず、残念な思いをさせてしまい、申し訳ございません。
相手が伝えてきた内容を、言葉で受け止めることで、わかってもらえたという意識が強まり、安心感を覚え、怒りは収まる傾向にあります。
先方から必ずしも怒りの表現があるとは限りませんが、何を訴えているのかを見極めることが必要です。淡々と静かな怒りを抱えているケースもあるので、真摯な受け止めをまずは実践しましょう
また、なぜそのような状況になったのかを弁明することも必要になりますが、人は相手からの言い訳を拒否する傾向があります。言い訳は、マイナスイメージでとらえられやすく、責任転嫁していると認識されやすいからです。
言い訳と捉えられないようにするためにはどうすればよいかというと、「感情論」や「こうすべきだった」といった意向が含まれる表現をできるだけ避けることです。事実を先行させ、簡潔に伝えることを心がけましょう。事実を伝えることは、説明することであり「実際に何が起きたのか」を知りたい欲求に応えることになり、結果、相手に受け入れられやすいのです。
ただし要領を得ないと、原因もわからず謝罪しているのかと、さらに怒りをかう場合もありますので、トラブルの原因をあやふやにせず、不手際や失敗などミスの原因を端的に伝えましょう。
よい例)
・変更点が関係部署へ伝わらず△△の確認を怠ったことが原因です。
・○○の納品が遅れたことにより、発送の遅延が起こりました。納品の遅れは、弊社の生産管理システムに不具合があったことが原因です。
また「努力はしたのですが」「できる限り早い対応を心がけたのですが」といった、こちらの「思い」を一緒に書いてしまうと、言い訳と捉えられてしまうことがあるので注意が必要です。
例を挙げると、なかなか返事をくれない相手に催促したときに、謝罪とともに「返事をしようと思っていたところです」と言われて腹が立つことがあるかと思います。言葉では何とでも言える、そう思っていたなら早く返事をしてよ――と思ってしまうからです。この場合も感情のワードを書かずに「仕事が立て込んでいて、返信が滞ってしまい申し訳ございません」と事実だけを伝えればよいのです。
「怒りをヒートアップさせる否定表現」
また、先方に今後の注意を促したいときに、気を付けたい表現方法があります。
例えば、「今後は、○○をしないようにご注意ください」といった「○○しないで」という否定表現は、相手に不快感を与えます。強制されている気持ちになるからです。ですから、以下のように変換しましょう。
・「△△してください」(肯定)
・「△△していただければ幸いです」(依頼)
肯定や依頼の表現を心がけることにより、相手は、こちらの意向を受け取りやすくなります。
クレームなどの訴えでは、申し出た気持ちや思いをきちんと齟齬なく受け止めてもらうことを望んでいるケースが多く、その気持ちに対しての謝罪があれば、安心感と納得感につながります。気持ちが受け止められたか、受け止められなかったかが、それ以降の状況に大きな影響を及ぼします。
単なる形式的な謝罪ではなく、まずは、相手の気持ちに寄り添う受け止めの対応に徹してください。
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提供元:相手の怒りを鎮める「お詫びメール」の書き方|東洋経済オンライン