2021.02.25
ストレス解消の第一歩は「朝の行動」の改善だ|脳、睡眠、運動、食事を整えストレスフリー実現
「脳」「睡眠」「運動」「食事」の改善がストレスに負けない体をつくりあげる (デザイン:dig)
外出自粛が長期にわたり、「コロナ疲れ」はピークに達している。
「パーソナルトレーニングに来るお客さんの中には、コロナ禍でテレワークになり、活動量が落ちたために疲れやすくなったと言う人が目立つようになった」。そう話すのはフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏。青山学院大学の駅伝チームのフィジカル強化指導などアスリートを担当する傍ら、会員制パーソナルトレーニング施設でも指導を行う。
運動不足で疲れやすくなる人が増えている
中野氏は疲れやすくなったのは、運動不足で下半身の筋肉量が減ったことに原因があると見ている。
『週刊東洋経済』2月22日発売号の特集は「脱・ストレス」です。
週刊東洋経済 2021/2/27号 [雑誌](脱・ストレス) はこちら クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
「ここ1年で体重1~2kg増という人は、実は筋肉量が減って体脂肪量が増えている。下半身の太い筋肉を鍛えて代謝を高めないと疲れやすい状態から抜け出せない」(中野氏)
『週刊東洋経済』(2月22日発売号)では、「脱・ストレス」を特集。ストレスの発生・解消に密接に関係する4大要素「脳」「睡眠」「運動」「食事」の見直し方や整え方を扱う。中野氏や、精神科医の樺沢紫苑氏、スタンフォード大学医学部の西野精治教授など各分野のエキスパートが教えるコンディショニング術でストレスフリーな状態の実現を目指す。
テレワークによる働き方の変化は、疲れだけでなく、ストレスを生み出す原因にもなっている。リクルートキャリアが2020年9月に、テレワークをする会社員を対象に実施した調査によると、「テレワーク開始前にはなかった仕事上のストレスを感じたか」という質問に対し、約6割が「強く感じた」「やや感じた」と回答した。そう回答した人のうち、7割近くがストレスを「解消できていない」「どちらかといえば解消できていない」と答えている。
『週刊東洋経済』(2月22日発売号)では、「脱・ストレス」を特集。 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
同社の藤井薫・HR統括編集長は「テレワークでは効率性が重視され、(気分転換になる)雑談などの場面が失われがち。また、『私でなくてもいいのでは』と、自らの存在性が揺らいでおり、それもストレスになっている」と分析する。
とくに、年代が上がるほどストレス解消ができていない割合が高い。テレワークで生じたストレス解消ができたと回答した人は20代では41.4%いるが、50~60代は16.4%にとどまった。藤井・HR統括編集長は「雑談のあり・なしでストレス解消度合いに差が見られる。50~60代はチャットなどでの業務外の会話が少ないことが影響しているのでは」と指摘する。
睡眠にも悪影響が及ぶ。スタンフォード大学医学部の西野精治教授が代表取締役を務めるブレインスリープが昨年の緊急事態宣言下で行った調査によると、働き方に変化があった人ほど就寝時間、起床時間が遅くなり「夜型」の生活になった。在宅時間の増加で睡眠時間は長くなった一方、睡眠の質は悪化したと感じている人が増えたこともわかった。
従来のストレス発散法は難しい
一方、コロナ禍で、ストレス発散の方法にも影響が出ている。従来からあるストレス解消法の代表例として、同僚や友人との外食・飲み会やカラオケ、ライブやイベントへの参加などが挙げられるが、いずれも感染予防の観点から制限がかかっており、実践が難しい現状がある。
そんな中、ストレス解消や疲労回復をどのように行っていけばよいか。その答えのひとつが、運動や食事、睡眠、脳の状態の改善によってストレスが生まれにくい体をつくりあげていくことだ。
冒頭のように運動不足で下半身の筋肉が減った人は、心肺機能が低下して血行が悪くなった状態にある。前出の中野氏は、この状態を抜け出すために、まずは息が弾む程度のウォーキングやランニングを毎日30分以上行うことを勧める。外に出るのが難しいなら踏み台昇降でもOKだ。
さらに血行を改善するには、肩関節から肩甲骨周りや背中など気になる部位を大きく動かす「動的ストレッチ」も効果的だ。寝る前には1部位30秒程度かけて体を伸ばす「静的ストレッチ」をするとよい。年を重ねるにつれ短くなる筋肉の線維を伸ばすことで柔軟性が高まり、疲れにくい体になるという。
年齢とともにだんだん体力が衰えてきた、疲れやすくなったという人がいるが、「そのようなデータは存在しない」と中野氏は強調する。疲労回復のスピードが落ちるだけで、運動していれば体力は落ちないし、筋肉量は何歳になっても増やせるという。「下半身の筋肉をしっかり動かし、ストレッチを3カ月続ければ、不調だった体が快適な体に変わっていくのがわかるだろう」(中野氏)。
朝の行動もストレスが生まれにくい体をつくることには重要になってくる。専門家は起床後に太陽の光を浴びること、朝食をしっかりそしゃくしながら取ることが大事だと口をそろえる。人間の体内リズムは24時間より少し長く、24時間の地球のリズムに合わせるためには毎日体内時計をリセットする必要がある。「朝の光」と「朝食」が体内時計をリセットするスイッチになるのだ。
「朝の光」と「朝食」がストレス予防につながる
精神科医の樺沢紫苑氏は、起床して1時間以内に15分程度の「朝散歩」をすることを推奨する。「(睡眠からの覚醒を指令したり、癒やしや平常心などに関わったりする脳内物質)セロトニンが活性化して体内時計がリセットされるだけでなく、うつやストレスの予防にもいい」からだ。
「集中力が低下した脳は、睡眠や運動によって回復することができる」(樺沢氏)、「精神的疲労の回復には運動で体力をつけてリフレッシュすることだけでなく、頭に入ってきた情報量を整理するために睡眠をしっかり取ることが重要」(中野氏)というように、「脳」「睡眠」「運動」「食事」どれか1つにフォーカスするのではなく、それぞれを組み合わせることで効果はより高まる。
コロナ禍で自由な外出がままならない今だからこそ、自分にあったストレスフリー術を身につけてほしい。
『週刊東洋経済』2月27日号(2月22日発売)の特集は「脱・ストレス」です。 ※外部サイトに遷移します
週刊東洋経済 2021/2/27号 [雑誌](脱・ストレス) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:ストレス解消の第一歩は「朝の行動」の改善だ|東洋経済オンライン