2020.12.25
2020年に売れた最新「コーヒーメーカー」3機種|「デロンギ」の月4500円のサブスクが大人気
2020年に売れたコーヒーメーカー3機種を紹介する。左からUCC「ドリップポッド(DP3)」、ウィナーズ「レコルト Grind & Brew Coffee Maker」、デロンギ「ディナミカ 全自動コーヒーマシン(ECAM35055B)」(筆者撮影)
コロナ禍の影響でコーヒーメーカーの売り上げが好調だ。カフェなどでゆっくりコーヒーを楽しむ時間が減り、家にいる時間が増加し、手軽に淹れられるコーヒーメーカーを求める人が増加しているからだという。コーヒー機器を販売しているデロンギ・ジャパンによると、全自動コーヒーマシン(家庭用)の販売台数は11月末時点で昨対比約140%と好調に推移しているとのことだ。
コーヒーメーカーといっても、コーヒーの粉を入れるもの、豆をひくところからの全自動コーヒーメーカー、カプセル式でカンタンに安定したおいしいコーヒーが楽しめるカプセル式など、タイプもさまざまだ。その中から、今年注目された3タイプのコーヒーメーカーを試した。
レギュラーコーヒーも充実、進化したデロンギ
デロンギといえば全自動エスプレッソマシンという印象が強いが、ここ数年は日本の市場に合わせたレギュラーコーヒーメニューにも力を入れている。レギュラーコーヒーが好きな日本人のために搭載された「カフェ・ジャポーネ」機能は、ハンドドリップのように蒸らしながら抽出するレギュラーコーヒーだ。豆を蒸らして抽出するほか、豆を2度に分けてひくことで香り豊かなドリップ風コーヒーを実現している。
2020年10月に発売された「ディナミカ 全自動コーヒーマシン(ECAM35055B)」(実勢価格16万2000円)はすぐに売り切れ、現在も品薄状態が続いており、注目度の高さを物語っている。
ディナミカシリーズの特徴は「スペシャルティ」モードだ。酸味が強いコーヒーに向いているモードで、蒸らさずにダイレクトに抽出することで、最近流行のやや浅煎りから中煎りのサードウェーブで広まったコーヒー豆と相性がよいとされている。フルーティなコーヒーが楽しみたい方におすすめだ。
デロンギ「ディナミカ 全自動コーヒーマシン」はメニューもカタカナで見やすい。好みにあわせて淹れ方を変えられるレギュラーコーヒーがおいしい(筆者撮影)
ほかにも、人気の「カフェ・ジャポーネ」機能のほかに、エスプレッソ、ドッピオ+、エスプレッソLARGE、ロングコーヒーから選択できる。豆に合わせてそれぞれ抽出方法を変えられるので、豆本来のポテンシャルを生かし、ボタンひとつでさまざまなコーヒーを味わえるのが魅力だ。どのコーヒーも共通しているのは、深いコク。クレマがあるので苦そうに見えるが、香りのほうが強い。1日に何杯も飲みたくなるおいしさだ。
また、ラテクレマシステムを搭載しており、ボタンを押すだけでキメの細かい泡立ちのミルクができる。ミルク、豆、水を入れておけばカフェで飲むようなふわふわのカプチーノを楽しめる。
なお、同製品はマシン内部への石灰分の付着を軽減し、除石灰作業の頻度を少なくする軟水化フィルターを新たに搭載している。フィルターの交換は使用開始から2カ月が目安で、実勢価格は1本1760円。お手入れはラクになるが、ランニングコストは少々高めだ。
デロンギ「ディナミカ 全自動コーヒーマシン」はボタンひとつでカプチーノも味わえる(筆者撮影)
コーヒーメーカーの品薄が続く中、同社は初のサブスクリプションサービス「ミーオ! デロンギ(MIO! De’Longhi)」を11月25日に開始した。1カ月当たりの料金は3900円(税込)から利用できるサブスクリプションで、最低契約期間は2年間。契約プランは、好みのコーヒー豆が毎月3袋届く「毎月お届け便」(月4500円)と、隔月で好みのコーヒー豆をまとめて6袋届く「まとめてお届け便」(2カ月7800円)の2種類。期間を満了するとコーヒーマシン「マグフィニカS ECAM22112B/W」(実勢価格5万4780円)の所有権が利用者に移行する。
「デロンギを使ってみたいけれど、本体が高いので手が出せない」という方は多く、サブスクリプションサービスは話題となった。その結果、同社が想定していた予定数の5倍に達し、12月1日に新規受け付けを休止。再開の見通しは今のところ不明とのことだが、デロンギの製品を試してみたい方は再開後にぜひ試してほしい。
2万円で買えて4杯まで淹れられる「ウィナーズ」
ウィナーズから、同社のブランド「レコルト」シリーズのコーン式全自動コーヒーメーカー「Grind & Brew Coffee Maker」が10月下旬に発売された。
ウィナーズ「Grind & Brew Coffee Maker」。コーン式の本格全自動コーヒーメーカーで2万2000円は安い(筆者撮影)
円すい状のねじれた刃でコーヒー豆を切り刻むようにして豆をひくコーン式ミルを採用している。粒度がそろうため香りのポテンシャルを引き出せるのが特徴で、これまでは高級モデルに採用されていた方式だ。ひき目も細引きから粗びきまで微調整が可能で、濃さの調整もできる。
さらにブリューしたコーヒーはガラスポットの中心にあるストローを通って注がれ、熱が逃げにくく、味ムラも少ない。このような対流式ガラスポットであることにも驚いた。
ウィナーズ「Grind & Brew Coffee Maker」は速回転でコーヒー豆の味を損なわず、粒度が均一に挽けるコーン式を採用(筆者撮影)
このようにさまざまな機能を搭載している本格的な全自動コーヒーメーカーにもかかわらず、実勢価格が2万2000円と手に入れやすい価格は魅力だ。
ペーパーフィルターを使って落としたコーヒーは、スッキリした香りのよさで、ドリップコーヒー好きにはたまらないおいしさだ。粒度を変えたり、コーヒーの濃度を変えたり、自分好みに微調整できるので、同じ豆でもまるで異なる味を楽しむことができる。
なお、今回紹介するほかの2台は1杯ずつ淹れるタイプだが、同製品は4杯まで淹れられる。家族で飲んだり、おかわりをしてたっぷり飲んだり、ケータイマグなどでコーヒーを持っていくのであれば、ガラスポットにコーヒーをためておける同タイプのほうが使いやすい。
カプセル式で誰でも失敗がない「UCC」
ハンドドリップでおいしいコーヒーを淹れるには、コツが必要となるが、カプセル式なら簡単だ。2020年1月に発売されたUCC「ドリップポッド(DP3)」(実勢価格1万3200円)はプロのハンドドリップを再現するカプセル式コーヒーメーカーだ。
UCC「ドリップポッド(DP3)」。カプセル式はお手入れを含めていちばん手軽。味も安定している(筆者撮影)
1杯ずつコーヒーの粉がペーパーフィルターに詰められているカプセルを、飲むときにコーヒーメーカーにポンと入れるだけ。カプセルは個装されており、密閉した状態なので保存時に鮮度が落ちにくくなっている。同製品のカプセルはめずらしい半球状で、1個のサイズが大きい。均等にお湯がゆきわたる形で、上部には少し空洞があり、しっかりと“蒸らし“ができるスペースがある。
抽出モードに「ストロング」「アイス」を新たに搭載し、カプセルの種類と新機能を組み合わせることで、50通り以上の飲み方が可能となる。
最大の魅力は、UCCの強みであるバラエティ豊かなカプセルだ。「ブルーマウンテンブレンド」や、ドリップポッドだけのオリジナル「モカ&キリマンジァロ」をはじめ、数量限定でスペシャルティコーヒーも展開している。また、コーヒーだけでなく紅茶、緑茶、ジャスミン茶などもある。紅茶と緑茶では適温なども変わるが、紅茶と緑茶のモードもあるので、それぞれの茶葉に合った抽出でおいしさを堪能できる。
UCC「ドリップポッド(DP3)」はペーパーフィルターに粉が詰まった状態なので、ドリップした後もお手入れは簡単(筆者撮影)
お手入れもとてもカンタンで、カプセルを捨てるだけ。粉が飛び散ることがなく、今回試した中ではいちばん手間がかからなかった。ただ、そのぶん1杯当たりの価格は高め。単品では12個入り716円で。通販で購入すると送料もかかる。ただ、産地や味の解説などもサイトでしっかり行われているのでわかりやすく、どれも個性がよく出ているので選ぶのも楽しい。カプセルは高いが、安定した味をつねに楽しめるので、個人的にはとても満足している。
今回は注目されている3製品を試したが、それぞれ特徴が異なる。どういった味が好みなのか、どのようなライフスタイルなのかを考慮して、自分にぴったりの1台を見つけてほしい。最近は家電量販店でも試飲ができるスペースが増えているので、ぜひそちらにも足を運んでみてほしい。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:2020年に売れた最新「コーヒーメーカー」3機種|東洋経済オンライン