2020.12.18
大豆イソフラボンが腸内でエクオールに変わると更年期症状が和らぐ!
エストロゲンに似た作用で更年期の不調対策に!
自然界の中にもエストロゲンに類似した物質がいろいろあります。そのひとつが「大豆イソフラボン」です。
大豆イソフラボンには、エストロゲンと似た作用があって、更年期の症状が和らぐといわれています。
アメリカでも、大豆イソフラボンはホットフラッシュ、自律神経失調症状を緩和し、更年期症状に効くと、女性たちが注目し、サプリメント業界は大きな市場になっています。まさに更年期に最適の成分です。
大豆を摂ってもイソフラボンの恩恵を受けられない人が50%も
「大豆が女性の美容と健康にいい!」ということは、私たち日本人にはよく知られている話です。
「日本女性は大豆製品をよく食べるため、更年期障害が軽い」「欧米人に比べ、日本人の骨粗鬆症の発症率が低いのは、大豆製品をよく食べることと関係している」と、イギリスの医学専門誌に取り上げられたこともあります。
ところが最近の研究で、大豆イソフラボンがある腸内細菌によって、「エクオール」という物質に変わり、これがエストロゲンとよく似た働きをしていることが解明されたのです。
エクオールは、更年期症状をやわらげ、骨粗鬆症の予防や改善、シワの改善効果が報告されています。また、抗酸化作用によるシミの改善、美白、血管の健康を保つ、乳がんの抑制など、女性にうれしい作用が期待されています。
しかし、残念ながら大豆イソフラボンがエクオールに変わらない日本人が約50%いることもわかりました。一生懸命、大豆製品や大豆イソフラボンのサプリメントをとっても、エストロゲンに似た作用の恩恵を受けられないのです。
ちなみに欧米人はもっとエクオール産生者が少なく、70~80%も作れない人がいます。
エクオールを作れるかどうかは検査でわかります
では、このエクオールを作る腸内細菌を持たない人は、どうすればいいのでしょうか?
大豆製品や大豆イソフラボンでなく、エクオールそのものをサプリメントで摂るという方法があります。
エクオールは体で作用したあとに尿から排出されるため、自分がエクオールを作れるかどうかは、尿検査でチェックすることも可能です。「ソイチェック」といって、検査キットも手軽に取り寄せられますので、ぜひ調べてみてください。
エクオールが作れる人、作れない人、どうすれば?
検査でエクオールを作れる人は、大豆製品を食事から摂ればOK。1日の必要量の目安は、木綿豆腐なら3分の2丁、納豆なら1パック程度です。サプリメントを利用する手もあります。
一方、エクオールが作れない人は更年期症状が強く出る確率が高いとされています。エクオールが作れない人に更年期症状が強く出るリスクを1としたとき、エクオールが作れる人に更年期症状が出るリスクは100分の7の確率に減るともいわれています。
また、別の研究でホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)がある人が、エクオールを12週間摂った結果、明らかに改善したという報告もあります。
エクオールを作れない人におすすめしたいのがサプリメント。大豆を乳酸菌で発酵させることで作られた、エクオール含有サプリメントがさまざま売られています。成分は、大豆胚芽とほぼ同じです。
女性ホルモンの減少で顔面の骨は40代から減ってくる
ここで、更年期症状にまつわる新しいニュースをご紹介しておきましょう。
更年期以降、エストロゲンの低下によって骨密度が減少し、骨粗鬆症になりやすいことは知られています。しかし、これまであまり注目されていなかったのが「顔面の骨密度」。肌を支える顔面骨の骨密度も例外ではなく、40代から減っていくのです。
米国のある研究で、年代別に、腰椎(腰の骨)と顔面骨(上あご、下あご)の骨密度を比較しました。その結果、腰椎よりも顔面骨のほうが骨密度の減少が激しいことがわかりました。
さらに、腰椎の骨密度減少は、61歳以上で起こるのに対し、顔面の骨密度減少は41歳~60歳の更年期世代で起こっていることが明らかになっています。
顔面の骨が減ると老け顔に
顔面骨は、顔の筋肉、脂肪組織、肌組織の全ての土台です。その土台が萎縮すれば、必然的に、肌はたるみます。特に目の周りの骨が萎縮すると、くぼんで老け顔に見えます。
骨粗鬆症や老け顔予防のために、骨密度の減少を抑えるためにも、エストロゲンに似た作用のある大豆イソフラボンを摂ることで、低下したエストロゲンを補います。
大豆イソフラボンに含まれる成分ダイゼインが腸内細菌で代謝され、産生されるのがエクオールです。これがエストロゲンに近い働きをします。
大豆イソフラボンを意識して摂ることで、全身はもちろん顔面の骨密度減少も防ぎましょう。
増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。
記事提供:ウェブメディア「MYLOHAS」
ヘルスコンシャスな女性たちにむけて、「カラダ・食・マインドを整える」記事を厳選してお届けします。
提供元:大豆イソフラボンが腸内でエクオールに変わると更年期症状が和らぐ!|MYLOHAS(マイロハス)