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2020.12.02

風邪でもないのに「せきやくしゃみ」が出るワケ|その症状「寒暖差アレルギー」かもしれません


「寒暖差アレルギー」は、ちょっとした工夫で気をつければ予防することが可能と言われています(写真:elise/PIXTA)

「寒暖差アレルギー」は、ちょっとした工夫で気をつければ予防することが可能と言われています(写真:elise/PIXTA)

冬到来を目前に控え、朝晩冷え込む日々が続いています。この時期、寒い屋外から暖房の効いたオフィスや電車内に移動したり、冷えた廊下から暖かいリビングに移動したりする機会が増えるかと思います。

こうした寒暖差の大きい環境にさらされる季節になると、突然くしゃみや鼻水が多くなる方がいらっしゃいます。寒い屋外から急いで暖かい会議室に駆け込んだら、鼻がズルズル……鼻水やせきの音に敏感なこのご時世、ちょっと肩身の狭い思いをした経験がある方もいらっしゃいます。

「寒暖差アレルギー」の特徴

こうした症状は風邪の引き始めでしょうか、それとも遅めに現れた秋の花粉症でしょうか? それは、もしかすると「寒暖差アレルギー」と呼ばれるものかもしれません。

寒暖差アレルギーは、日夜の気温差や屋外と室内の温度差など、寒暖差の大きい環境において、透明でサラサラとした鼻水や鼻のムズムズ感、くしゃみといった症状がでる疾患です。こうした症状が花粉症のような、いわゆるアレルギーに類似しているため「寒暖差アレルギー」と呼ばれていますが、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ぶのが正確です。

アレルギーであれば、なんらかの抗原(=アレルギーの原因物質)に対し、体内の免疫が過剰反応することで症状が出るため、検査をすると花粉やホコリなどの原因物質が見つかります。

一方、血管運動性鼻炎は寒暖差によって自律神経のバランスが崩れることが原因です。その結果、通常であれば寒いときは鼻の粘膜の血管が収縮、暑いときは拡張するところ、この調節がうまくいかなくなり、鼻の不調につながるのです。

このように、症状は一緒でも、花粉症などのアレルギーとはメカニズムが異なります。原因物質がないため、検査をしても原因物質が見つからないことが特徴です。ほかにアレルギーと異なる点としては、目のかゆみがないことも特徴的です。

また、自律神経の乱れからだるさ(倦怠感)を覚えることも少なくないため、心配されやすいものとして風邪や新型コロナウイルス感染がありますが、血管運動性鼻炎では発熱が見られないことが区別のポイントとなります。ウイルス感染ではなく一時的な反応であるため、鼻水やくしゃみなどが持続せず、しばらくすると症状が治まることも重要な鑑別点となります。

それでは、この「血管運動性鼻炎」を予防するにはどうすればよいのでしょうか。この疾患は寒暖差によって起こる疾患ですので、身体が感じる温度差を小さくすることが有効です。

秋冬であれば屋外に出るときは血管を冷やさないよう、とくに太い血管の通っている人体の3つの首、すなわち首・手首・足首を覆うことで寒さを軽減することができます。首ならマフラー、手首なら手袋、足首ならレッグウォーマーや靴下がその例です。また、身に着けるものとしてマスクの着用によっても鼻が感じる冷気を軽減することが可能です。

逆に屋外が暑い春夏は、屋内がクーラーによって冷やされているため、膝掛けや羽織りものによって温度差への対策ができます。

これに加えて、冒頭でお話ししたような、屋外から会議室などの移動の際は、時間の余裕をもって入室することも有効です。温度差を感じてすぐは鼻水などが出るかもしれませんが、(個人差はあるものの)数分程度で症状は治まります。大切なミーティングを鼻水やせきの音で遮らないためにも、早めの行動を心がけましょう。

日々の生活の見直しで予防できる

生活習慣の見直しから行える予防法としては、運動によって筋肉量を増やすことが効果的です。体内で産生される熱量が少ないと体温調節がうまくできず、結果として血管運動性鼻炎になりやすいと言われています。

コロナ禍の在宅勤務で筋肉量が落ちていると感じる方は、軽い運動やウォーキングを取り入れましょう。規則正しい生活を心がけることも重要です。食生活ではビタミンB1(肉類)やビタミンC(イチゴなど果物)、カルシウム(牛乳、小魚)などが自律神経を整えるうえで有効とされています。

それでも症状が気になる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。花粉症や風邪であるか、鼻炎かどうかがよりハッキリわかるだけでなく、処方薬によって症状を抑えることが可能です。基本的な治療は対症療法であり、症状が軽ければ市販の点鼻薬でも効果がありますが、受診することで、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの内服薬をはじめ、副腎皮質ホルモンを含む点鼻薬などを適切に処方してもらうことができます。

さらに、この疾患は寒暖差のない季節や環境であれば症状が落ち着く傾向にあるため、どのようなタイミングで薬を内服すればいいか相談することもでき、不必要な薬の使用を防ぐこともできます。

「血管運動性鼻炎」は一般的にあまり有名でない疾患であり、医療の現場においても風邪など、ほかの原因を除いてはじめて診断されるため、診断や治療に時間がかかることもあります。

しかし、日々の生活を見直すことでしっかりと予防できるものでもあります。年末年始に向けて寒さが厳しくなる折、生活習慣を整えて健康な毎日を送りましょう。

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提供元:風邪でもないのに「せきやくしゃみ」が出るワケ|東洋経済オンライン

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