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2020.11.12

「ストレスが消えても続く」不調の正体と対処法|心身症は体と心の両面から診察する必要がある


ストレスが去っても体の不調が長引いたり症状がよくならない場合は、「心身症」の可能性があります(写真:プラナ/PIXTA)

ストレスが去っても体の不調が長引いたり症状がよくならない場合は、「心身症」の可能性があります(写真:プラナ/PIXTA)

感染不安、外出自粛、在宅勤務、ソーシャルディスタンスなど、急激に変化している社会では、知らず知らずのうちにストレスを抱えることも多いのではないでしょうか。本稿では、『心療内科医が教える 家庭でできるセルフメンタルケア』から一部を抜粋し、心の疲弊から守るための対処法を紹介します。

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毎日の生活のなかで、誰もが多かれ少なかれストレスを感じています。問題なのは、そのストレスが過剰になると心や体に不調をもたらすことです。

実は、ストレスによって体に不調が現れることはよくあることです。

例えば、学生時代にテストの前にお腹が痛くなった経験はありませんか? あるいは大事な面接やプレゼンテーションの前に胃が痛くなる、下痢をするなど、そんな経験はないでしょうか?

たいていは、テストが終われば痛みもなくなり、面接やプレゼンテーションが無事に済めば、かえってお腹がすくほど元気になったりするものです。つまり、原因であったストレスがなくなれば、体の不調も治まるといった一過性の場合が多いものなのです。

ところが、ストレスが去っても体の不調が残って長引いたり、ある程度の期間通院を続けているのにもかかわらず症状がよくならない、といったケースがあります。そうした場合は、「心身症」の可能性があります。

心療内科は体も心も両方の面から診察する

心身症とは、ストレスなどなんらかの心理的要素が原因で引き起こされる体の病気の総称です。例えば頭痛や腹痛などの不調があるのに、病院で検査をしても身体的な異常が見つからないといった「不定愁訴」も心身症である場合が多く見られます。

心身症は、体と心の両面から診察する必要があり、心身症を診てもらえるのが心療内科です。

一般内科は、病気の原因を「体」という1つの側面から診るのに対して、心療内科は「体」はもちろん「心」に抱えたストレスにも原因を探します。

つまり、体も心も両方の面から診察し、両方の面にアプローチをしながら治療をするのが心療内科なのです。

長引く不調に悩んだり、不定愁訴に悩んでいるといった場合は、心療内科を受診すると解決の糸口が見つかるかもしれません。

そもそも心身症はなぜ発症するのでしょうか? そこには、「体」「心」「ストレス」の3つが複雑に絡からみ合っています。

心身症になる3つの原因は「体」「心」「ストレス」

「体」は、文字どおりわたしたちの肉体を指し、人によって、もともとその病気になりやすい体質的要因や遺伝的要因の有無などが異なります。

「心」は、性格やものごとの捉え方を指し、同じストレスでも影響されやすい人とそうでない人の違いなどがあります。

「ストレス」は、体や心に変化をもたらす外からの刺激を指します。

ストレスの原因には、天候・騒音などの物理的、薬物などの化学的、過労や睡眠不足などの生理的、人間関係からくる不安・緊張・怒りなどの心理的、そして周囲や環境など社会的なものなどがあります。なかでもいちばんやっかいなのが心理的ストレスと社会的ストレスです。

わたしたちの体は、ストレスという衝撃を心に感じても、脳から自律神経系や内分泌系、免疫系などに情報を出して、安定した心身のバランスを保っています。

ところが、ストレスが強くかかりすぎたり長期にわたると、それらの働きが過度になってバランスが崩れてしまい、体に不調が現れます。この不調を心身症と呼びます。

このように心身症は、体、心、ストレスの3つが複雑に絡み合って発症しますが、体に不調として現れるかは人によって個人差があります。

例えば同じストレスの状況下にいたとしても、皆が一様に胃潰瘍になるわけではありません。ストレスを受けてもストレスと感じなければ体に影響しません。また、ストレスを感じても体質的に胃が丈夫という人もいます。

ちょっとしたストレスに体が反応する人もいれば、体にはまったく影響されない人もいて、後者は一見、精神的に強いように思われる傾向にあります。しかし、体質の違いもあれば、実はストレスを抱えていても自覚しにくい性格のため、症状が悪化してから気づくといったケースも少なくありません。

ストレスや心の不調が原因で体の病気になることを、精神的に弱いからではないかと恐れたり、そもそもストレスの自覚がなく、「そんなバカな」と認めたがらないといったケースも少なくありません。とくに、それは男性に多い傾向が見られるようです。

実際、心療内科を訪れる患者の割合は、6対4~7対3で女性のほうが多いといわれています。その背景には、人に弱音を吐けない、悩みを打ち明けられない、といった男性に多く見られる気質的な特徴によるものだろうと推測されています。

また残念なことに、自殺者の男女比では、約7対3で男性が女性を上回っているという調査結果が出ています(厚生労働省、令和元年版自殺対策白書より)。

最悪の状況に至らないためにも、心身の不調に悩まされたら、早めに医療機関を受診してください。早期受診は、結果的に症状の早期改善にもつながります。

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家族やパートナー、親しい友人などに胸の内をさらすだけでも、気持ちが緩和されることもあります。そうしたことは弱さではなく、必要なことなのです。

知っている人には話しづらいという場合は、公的な相談窓口を利用してみるのもよいでしょう。実際に訪れなくとも、電話相談が可能な窓口もあります。

いずれにせよ、1人で悩まず誰かに相談をすることが大切です。

産業医に相談するという選択肢も

最初から心療内科へ行くことに抵抗がある場合、会社勤めの人であれば産業医に相談するのも選択肢の1つです。

産業医とは、働く人の健康管理などを行う医師のことで、50人以上の社員がいる会社では、1名以上の産業医を選任しなければいけないことが法律で義務付けられています。

産業医に相談するなかで、必要に応じて心療内科を紹介してもらい、早期対応が早期改善につながったというケースも見受けられます。

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提供元:「ストレスが消えても続く」不調の正体と対処法|東洋経済オンライン

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