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2020.11.04

大不況生き残りに向け今こそ取りたい本命資格|「G検定」が受験者2倍とにわかに人気化した訳


「G検定」は今後の世の中を考えると取得しておきたい資格です(写真:Graphs/PIXTA)

「G検定」は今後の世の中を考えると取得しておきたい資格です(写真:Graphs/PIXTA)

秋とはいえ肌寒いほどの季節になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?オリンピックイヤーになるはずだった2020年は、新型コロナウイルスの影響で思いもよらず学校や会社に行かずに社会生活を送る、いわばニューノーマルイヤーとなりました。

オンライン授業や在宅勤務などの活用で、ほとんどの方がこれまでより自宅にいる時間が増えたかと思いますが、その中には「このタイミングで資格を取ろう」と考える方も多くいらっしゃいます。そこで今回は、最近にわかに人気が出てきているAIに関連する資格についてお話しします。

“AIを使う人材”を育成する「G検定」

突然ですが、皆さんは「G検定」という名前を聞いたことがあるでしょうか? この「G」は、ゼネラリストの頭文字なのですが、何の分野に関してかというと、人工知能(AI)分野のゼネラリストです。AI分野の権威である東京大学の松尾豊教授が立ち上げた日本ディープラーニング協会が主催する、人工知能(AI:artificial intelligence)に関する検定をG検定といいます。

すでにAIに関わる仕事をしている方の中には、合格済みという方もいらっしゃるかもしれません。今後、社会実装されていくことが確実視されているAI分野の中でも、とくにディープラーニングという技術についての知識をメインで問うものです。近年とても注目されており、2017年に開始され年3回実施される試験にもかかわらず、2020年7月の試験では12,000人以上の受験者がいる状況です。

「AI」さらには「ディープラーニング」と聞くと、がっつり理系のイメージを持たれる方も多いと思いますが、G検定は非エンジニアであるビジネスパーソン向けの資格です。ビジネスにAIを活用するうえで、ディープラーニングの基礎知識を有しているかを診断する試験なのです。なので、対象とする層は広く社会人一般であり、今後の世の中を考えるとぜひとっておきたい資格といえます。

AIやディープラーニングについての知識を問われるG検定ですが、「そもそもディープラーニングとは?」と思う方がほとんどかと思いますので簡単に説明させていただきます。ディープラーニングとは機械学習の1つで、ニューラルネットワークという人間の脳の神経細胞の仕組みを人工的に模したものを用いた技術です。人間が指示せずともAI自身がデータに含まれる「特徴量」を自動的に分析して学習していきます。

例えば、私たち人間は人とゴリラの画像を目にしたときに、過去の経験からどちらが人でどちらがゴリラか正確に判別することができます。大量の人とゴリラの画像を事前に学習させることで、ある画像が人なのかゴリラなのかを非常に高い精度で判別できるようになる──という技術がディープラーニングです。従来の機械学習でも判別はできたわけですが、その精度がこの技術を用いることで上がるのです。

G検定人気の背景

前述のとおり、すでに直近の試験の受験者数は12,000人を超え、そのひとつ前の会の受験者数が6,000人超であったことを考えると、人気が加速しているといえます。この理由について、大きく3つあると思っています。

まず1つ目は、当然のことながら、AIの台頭によるニーズの向上です。AIという言葉が知られるようになってしばらく経ちますが、将来AIに奪われる職業についてはつねに人々の関心が向くくらい、社会の関心は高まる一方です。AIの中でもとくに注目されているディープラーニングの知識を身につけて、将来に備えようと考える人が増えるのも自然なことでしょう。

2つ目の理由は、G検定を主催する日本ディープラーニング協会を立ち上げた東京大学の松尾先生が持つ、圧倒的なブランド力です。松尾先生はAI研究において、ディープラーニングの普及や産業活用に貢献した第一人者で、世界でもトップクラスの権威です。松尾先生によるこのブランド力も、人々をひきつける大きな理由でしょう。

そして3つ目の理由はずばり“コロナ禍”です。今年の3月頃から爆発的に流行した新型コロナウイルスの影響で、外出を自粛し自宅にいる時間が長くなった人が大勢います。「家にいる時間をどう過ごすか」を考えたときに、時間に余裕がある今だからこそ資格を取ろうと思った方も多いことでしょう。

G検定は将来性のある資格と言われており、何か資格を取ろうと思い立ったときに選択肢に入ることは自然なことです。しかも、G検定は、オンラインで受験するテストですので、受験するハードルが低いことも人気となっている要因の1つでしょう。

G検定はディープラーニングを理解し、それをビジネスに活用してさまざまな課題を解決できる知識を身につけたゼネラリストの育成を目的とした試験です。こうした試験の特質から近年の受験者層は、エンジニアよりもビジネスサイドで最新技術に鋭いアンテナを張っている社会人が大きなボリュームを占めています(業界としてはITやソフトウェア企業、製造業の方が多いようです)。

私自身も実はG検定が始まった初期に挑戦し、四苦八苦して勉強しながら、なんとか合格しました。理系向けの試験ではないとはいえ、背後には難解な数式が横たわっている分野ですので、理解するのは容易ではありませんでした。また、私が勉強したときには公式テキストや問題集なども世の中になかったので、その意味でも学習するのに苦労しました。

今は試験実施団体が公式テキストを出していたりしますので、私が挑戦した頃よりは勉強しやすくなっていると思います。それでも文系の方には理解しにくい部分も相当あるはず。しかし、この試験は苦労して勉強する甲斐のある試験です。ビジネスで非常に役立つのです。

「AIなら何でもできるだろう」という誤解

私自身、AIの学習をする前には、「AIなら何でもできるだろう」というような誤った思い込みに基づいてビジネスを考えがちだったのですが、今のAIにできることとできないことをある程度理解できたことで、ビジネスのドタ勘が働くようになりました。

例えば、過去問を分析して今年の問題を予測する「未来問」というAI予想模試を開発したのですが、その際には、AIのどの技術をどうやって使っていけばよいのか、という何となくの感覚が身についていたので、勉強しておいてよかったと感じています。

私は、あまりにこのG検定に感動したので、私が運営している会社ではマネジャークラス以上の者にG検定合格を義務付けることにしました。もちろん勉強や受験補助も同時に行っており、積極的に社員へ取得を推奨しています。

コロナ禍にあって、自宅にいることが増えた今だからこそ、スキルアップのチャンスです。G検定はとても実用的な資格ですので、皆さんも次回の試験を目指してみてはいかがでしょうか。

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提供元:大不況生き残りに向け今こそ取りたい本命資格|東洋経済オンライン

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