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2020.10.22

メトロ銀座駅を大改装、必見「光の演出」の狙い|地下鉄のシンボル駅、ラインカラーの光で一新


丸ノ内線のラインカラーにライトアップされた東京メトロ銀座駅の数寄屋橋交差点改札(撮影:尾形文繁)

丸ノ内線のラインカラーにライトアップされた東京メトロ銀座駅の数寄屋橋交差点改札(撮影:尾形文繁)

銀座線、丸ノ内線、日比谷線の3路線が乗り入れ、1日約25万人が利用する東京メトロの銀座駅。同駅で2017年から進められてきたリニューアルがほぼ完了し、10月16日から新たな装いで使用を開始した。

同駅の大規模な改装は、日比谷線が開業し、前回の東京五輪が開催された1964年以来。東京メトロが取り組んでいる銀座線リニューアルの一環として実施し、銀座駅のほかに日本橋、京橋、青山一丁目、外苑前の4駅もあわせて改装した。

「光る柱」でご案内

新しくなった銀座駅の特徴は「光」だ。「銀座の街の重厚感を表現した」(東京メトロ)という黒を基調としたデザインの改札口付近には、各路線のラインカラーに合わせた色で上部をライトアップしたガラス張りの柱が立ち並ぶ。銀座線ホームに近い銀座四丁目交差点改札はレモンイエロー、丸ノ内線側の数寄屋橋交差点改札はチェリーレッド、そして日比谷線ホーム上の中央改札はシルバーホワイトだ。

銀座線のラインカラー、レモンイエローに光る柱が並ぶ東京メトロ銀座駅の銀座四丁目交差点改札付近(撮影:尾形文繁)

銀座線のラインカラー、レモンイエローに光る柱が並ぶ東京メトロ銀座駅の銀座四丁目交差点改札付近(撮影:尾形文繁)

光る柱は改札付近やコンコース、各線のホームなどに計130本設置。ラインカラーの光によって、利用者がどの路線の乗り場にいるかを直感的に認識しやすくする狙いがある。「銀座駅は3路線が乗り入れており、案内板だけではわかりづらいこともあるため『色』で訴えていきたい」と、東京メトロ工務部の三丸力・第二建築工事所長は語る。

光の柱とともに目立つのが、各改札内コンコースの天井に設けた「オリエンテーションサイン」と呼ぶ表示だ。内側からライトアップした天井板に、時計塔で有名な「和光本館」や銀座三越、有楽町マリオンなど改札周辺の有名な施設を描き、地上に出た際の位置を示している。照明の色は朝・夕方と日中、夜の3パターンあり、時間によって切り替わる。

改札内コンコースは「優雅さや気品のある銀座の街にあわせて改装していくというコンセプトで、一定の照度を確保しながらライトアップが引き立つように設計した」(三丸所長)といい、直接照明は少なめ。落ち着いた雰囲気だが、やや暗いと感じる人もいるかもしれない。

「光の演出」は地上の出入り口にも見られる。ビル内などでなく独立した形で設置している14カ所の出入り口のうち、今回は銀座4丁目交差点付近を中心に5カ所をリニューアル。外観をガラス張りとし、ラインカラーの光で照らし出すデザインにした。

また、銀座線ホームの側壁には1920年から現在に至るまでの銀座の街並みを描いたパネルを設置。絵は黒く塗装したアルミ板を削り出すことで表現しており、電車のライトに照らされることで輝くという。さらに、改札外には東京五輪・パラリンピックの聖火リレートーチをデザインしたアーティストの吉岡徳仁氏による、クリスタルガラスを組み合わせたアート作品「光の結晶」を展示した。

改札内の天井にある「オリエンテーションサイン」。周辺のビルなどを描いている(撮影:尾形文繁)

改札内の天井にある「オリエンテーションサイン」。周辺のビルなどを描いている(撮影:尾形文繁)

光のほかに、「図形」でも路線の違いを表現している。オリエンテーションサインのパネルの形は各改札のコンコースの形に合わせており、銀座線は円形、丸ノ内線は三角形、日比谷線は四角形。各改札付近の床面のタイルや天井のパネルなどもこの形状にそろえている。東京メトロの担当者は「色に加えて形でも路線の違いを示している」と説明するが、ちょっと凝りすぎかもしれない。

天井はできるだけ高く

今回のリニューアルでは、柱の位置をはじめとする地下施設の構造そのものは基本的に変えていない。ただ、開業が古く地表から浅いために低い部分の多かった天井については、「空調関係のダクトや配線を整理してできるだけ高さを取れるようにした」(三丸所長)。最も低い部分の天井は高さ2.1mだったが、設備を工夫して薄く仕上げ、可能な限り2.2~2.3mの高さを確保したという。

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銀座線の駅改装計画は、車両の更新やホームドアの設置などと並ぶ同線リニューアル計画の主な取り組みの1つとして2012年にスタート。全線を「下町」「商業」「ビジネス」「トレンド」、そして「銀座」の5つのエリアに分けて駅デザインを公募した。

銀座駅は2015年にデザインコンペを実施。最優秀賞の案をもとに設計を進め、2017年に工事に着手した。設計は日建設計、施工は大成建設が担当し、事業費は約220億円。今回同時にリニューアルした5駅を合わせた総事業費は約337億円という。

銀座駅の改装は、今夏開催予定だった東京五輪・パラリンピック前の完成を目指して進んできた。だが、コロナ禍を受けて工程の見直しや作業員の規模縮小などを行ったといい、リニューアルのお披露目は今回のタイミングとなった。改装はまだ完全には終了しておらず、今後もバックヤードや一部出入り口などの工事が続く。すべて完成するのは2023年の見込みで、「コロナ禍による影響も含めてこの時期としている」(東京メトロ)という。

コロナの影響はどう出るか

東京メトロは9月末、コロナ禍による減収を受け、本年度の設備投資予算を1690億円から1400億円に変更した修正事業計画を発表した。「個別の案件に関する見解は出していない」(同社)ため、具体的にどのような部分に影響するかは不明だが、例えば「車両更新」については当初の190億円から179億5000万円に、「駅空間整備」は300億円から252億円に修正しており、同社は安全確保を前提に設備投資の見直しを進めるとしている。

出入り口の一部もガラス張りにリニューアルした(撮影:尾形文繁)

出入り口の一部もガラス張りにリニューアルした(撮影:尾形文繁)

銀座線の駅改装は、今回の銀座駅など5駅を合わせて全19駅中12駅が実施済み。現在は渋谷、新橋、虎ノ門の3駅で改装を進めており、残る表参道、赤坂見附、溜池山王、三越前の4駅についてはこれからだ。2012年の計画開始時は2022年度までに全駅の改装を完了する予定だったが、現時点では具体的な目標年は決めていないという。

東京メトロは、全駅のリニューアルを実施するかどうかも含め、「先の長い案件については(見直しなどについて)今後精査していく」とする。ホームドアの整備や車両更新など推進すべき案件が多い中、今後の駅改装の進捗に影響が出る可能性もありそうだ。

コロナ禍以前は多くの訪日外国人観光客でにぎわっていた銀座駅、そして銀座線。さまざまな色の光が照らし出す駅に、訪日客の姿が戻る日はいつになるだろうか。

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提供元:メトロ銀座駅を大改装、必見「光の演出」の狙い|東洋経済オンライン

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