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2020.10.09

新アップルウォッチの凄すぎる健康機能の全貌|使ってわかったバッテリー持続時間の向上


「Apple Watch Series 6」44mmブルーアルミニウムケース。雨の日でも、鮮やかな青がこれまでと異なる印象を見せてくれる(筆者撮影)

「Apple Watch Series 6」44mmブルーアルミニウムケース。雨の日でも、鮮やかな青がこれまでと異なる印象を見せてくれる(筆者撮影)

アップルはアメリカ時間9月15日にオンラインで開催したイベントで、同社のスマートウォッチ製品、Apple Watchの最新版となる「Apple Watch Series 6」と「Apple Watch SE」を発表した。いずれも40mmと44mmの2つのサイズの文字盤と、それぞれにGPS版、単独でモバイル通信が可能なセルラー+GPS版が用意されている。

Apple Watch SEは、日本での価格税別2万9800円~の中堅モデルとして登場した。Series 6と同じボディだが、Series 5と同じS5チップを内蔵し、Series 4と同じ常時点灯に対応しないLTPO有機ELディスプレーとするなど、機能を省いたモデルとなっている。新機能や、新しいカラーのアルミニウムケース、ステンレスやチタンといった上質な素材のスマートウォッチではなく、より身近な存在として登場した。

一方の4万2800円~販売されるApple Watch Series 6には話題が盛りだくさんだ。

アルミニウムケースも、これまでのシルバー、スペースブラック、ゴールドに加え、ブルー、そして(PRODUCT)REDの赤いケースが登場した。さらにステンレススチールのゴールドは、金を一切含まないが、まるで18金のような仕上げを実現する新しいカラーに入れ替えられ、魅力を増している。

その中から、新色のブルーアルミニウムと新しいバンドの使い勝手、大きく進化した3つのポイントについて、実機を2週間使った結果をレビューしていこう。

新色と「ソロループ」という新しいバンド

今回レビューしたのは、Apple Watch Series 6 44mm ブルーアルミニウムケースだ。これまでシルバー、スペースグレー、ゴールドの3色展開のみだったが、今回、アルミニウムも出るにブルーと(PRODUCT)REDが追加された。

ブルーアルミニウムケースは、品の良い落ち着いた群青色のボディで、美しく染色されている。そもそもアルミニウムへのこうした染色自体高い技術力を必要とするが、それを小さな時計のケースに惜しみなく活用している。光の当たる面はより明るい青に、光が当たらない陰の部分はより黒に近く感じるかもしれない。デジタルクラウンの部分も青いアルミニウムで作られており、セルラーモデルを表すアクセントとなっている赤いリングの意匠ともマッチしている。

背面はSeries 5から新しくなったセンサー部がのぞく。4つの赤外線照射とそれを読み取るセンサーが備わり、後述の血中酸素ウェルネスアプリを実現している。ただし、外見からは、同時に発売されたApple Watch SEと見分けがつかないのも事実だ。SEに存在しないアルミニウム以外のケースや、ブルー、レッドのSeries 6にしかないカラーでなければ、SEかSeries 6かをパッと見分けることは難しい。基本的なデザインは共通化されているのだ。

今回の新シリーズ登場に合わせて追加されたのがソロループという新しい形態のバンドだ。これまでのシリコンバンドよりも薄く伸縮性を持たせることで、バックルなどを用いずに手首にフィットさせる新しいスタイルを実現している。

Apple Watch Series 6と組み合わせたソロループ。バックルなどの継ぎ目がなく、装着する際にバンドを伸ばしながら手首に通す(筆者撮影)

Apple Watch Series 6と組み合わせたソロループ。バックルなどの継ぎ目がなく、装着する際にバンドを伸ばしながら手首に通す(筆者撮影)

もちろん、レザーのバンドはバックル部分もデザインとして楽しむことができるため、必ずしもバックルがないことが素晴らしいわけではない。しかしバックルがないことで、不意に外れてしまうことがなく、またノートパソコンを使う際にも手首の金属がパソコンのパームレストを傷つけることがない。さらにアスリートにとっては、より軽量であることも価値になるはずだ。

ソロループにはもう1つの素材がある。リサイクル素材を用いて編み込んだブレイデッドソロループは、やはり伸縮性があるのだが、編み込んである点で、よりカジュアルに合わせやすいバンドと言えるかもしれない。

バッテリー持続時間が大幅に向上

Apple Watch Series 6を使い始めて、最も驚かされたのが、そのバッテリー持続時間の向上だ。カタログでは1日(18時間)という数字が維持されているが、それまで使ってきたSeries 5と比較すると、3〜5割程度の持続時間向上を、多くの人が実感することができるはずだ。

Apple Watch Series 6には、A13 BionicチップをベースにしたデュアルコアCPUが内蔵されるS6が搭載される。詳しい情報は明らかにしていないが、7nmプロセスで製造されているなら、理論的には同じサイズならより高性能に、同じ処理をするならより低消費電力で実現できるはずだ。加えて、ディスプレーも、より高い輝度を実現しており、持続時間を維持したことから省電力性が高まっていると考えられる。

ある日、朝6時に起床し7時に外出、夜22時に帰宅する1日を過ごしたが、帰宅した段階でのバッテリー残量は49%だった。途中、15分のウォーキング計測を3回、鉄道への乗車やコンビニでの買い物などでApple Payを利用するなどの日常的な使い方をした場合、Series 5では20%を割り込む程度にまでバッテリー消費をしていたことを考えると、大きな向上と言える。

最新のwatchOS 7には睡眠計測機能が入っており、寝ている間も時計を着けておく習慣が始まろうとしている。そうしたときに、夜家に帰ってきてApple Watchの電池が切れてしまうと、充電しながら寝てしまうことになり、計測のチャンスがなくなってしまう。しかし5割弱バッテリーが残っていれば、そのまま装着して入眠しても問題ないだろう。

加えて、充電スピードも大きく向上していた。0%から100%まで1時間半で充電することができるようになっており、朝起きて身支度や朝食の間に充電しておけば、出発までにほとんどのバッテリーを回復することができる。

もし、Apple Watchでの睡眠計測を取り入れたい場合、大きく改善したバッテリーライフは買い替える理由として非常に強い動機になる。

血中酸素ウェルネスアプリとは?

Apple Watch Series 6には、新たに血中酸素ウェルネスアプリが用意された。15秒間赤外線を照射することで、血中のヘモグロビンの何パーセントが酸素を運んでいるかを計測し、血中酸素飽和度として表示するものだ。通常95〜100%の数値が正常とされている。アップルによると、医療目的ではなく、あくまで健康増進やエクササイズの際に利用するデータだとしている。

血中酸素ウェルネスアプリの画面。15秒間静止させている間に、赤外線を用いてヘモグロビンを調べ、血中酸素濃度として計測する(筆者撮影)

血中酸素ウェルネスアプリの画面。15秒間静止させている間に、赤外線を用いてヘモグロビンを調べ、血中酸素濃度として計測する(筆者撮影)

この機能を使う際には、適度に時計を肌にフィットさせ、手首を動かさず、時計が水平になるように保ち、15秒間静止していなければならない。少しでも条件が崩れると計測できず、心拍計と比べると繊細な作業といえる。睡眠中も安定していれば、定期的に計測しており、睡眠時の血中酸素飽和度も知ることができる。

Apple Watchではこれまで、心拍計、頻脈・徐脈の通知、心電図、最大酸素摂取量(VO2Max)、そして今回血中酸素ウェルネスアプリを追加した。すでにアメリカなどで利用可能になっている心電図について、アプリとして日本の厚生労働省の認証を取ることができ、医療機器としてデータを活用することができるようになった。近日中に、日本向けにも、心電図アプリが提供されるものと考えられる。

なぜここまで、心臓に関わる計測機能を充実させてきたのか。それは、主力のアメリカ市場における死因のトップが、心臓疾患によるもので、全体の23.1%に上るからだ。2020年に関しては、新型コロナウイルスが死因の2位になったが、それでもトップは依然として心臓疾患のままだ。

Apple Watchが健康管理、特に命を守るデバイスとして役立つうえで、心臓は最も効果的な領域であり、医療費・健康保険が非常に高額で、医療が身近ではないアメリカの現状も加味すると、Apple Watchが健康を維持し、病気を察知するための頼れるデバイスとしての地位を固めようとしていることがわかる。

また、新型コロナウイルスですでに20万人もの人が命を落としているアメリカにおいては、引き続き、Apple Watchが健康管理や、心電図のような医療機器としての役割を拡大させていく流れは止まらない。

特にカリフォルニア州での人々の健康に役立つ機能を重視しており、山火事の被害が大きかった2017年にはApple Watchの天気アプリに空気の質の表示を加え、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、自宅に着いたら手洗いを促し、20秒のしっかりとした手洗いをカウントするタイマーまで2020年に対応した。

医療費も健康保険料も高騰しているアメリカにおいては、病院や保険から人々が離れつつあり、Apple Watchは既存の医療体制に頼らない健康管理ツールとして、あるいは将来の医療の再構築に向けて重要なデバイスになる可能性すらある。もちろん、Appleは徹底的にプライバシーを強化し、医療情報を担う資格があるブランドとして、その地位を確保しようとしている。

スマートウォッチの新しい役割

Apple Watch Series 6には、これまで通り、Apple Payによる非接触決済が利用できる。日本でも、Suica、iD、QUICpayに対応しており、鉄道やコンビニ、飲食店での決済を手首で済ませることができる。

特に日本では交通系ICカードであるSuicaが便利だが、首都圏の地下鉄・私鉄が採用する交通系ICカード「PASMO」が10月6日からApple Payに対応し、Apple Watchでも利用できるようになることも、手首での決済活用の後押しになるだろう。

新型コロナウイルスの感染防止の観点から、非接触決済が推奨されている昨今、スマホすら取り出さずに決済ができるApple Watchの決済機能は、より重視されていくことになるはずだ。

ただし、日本の改札機の多くは、ICリーダー部分が右側にある。右利きの筆者であっても、時計を右腕にしなければ、スムーズに改札を通ることができないのだ。もっとも、最近はあまりペンや鉛筆を長時間使うことも少なくなっており、利き手の右手に時計をしていても、さほど気にならなくなってきた。これは慣れの問題と言えるかもしれない。

加えて、Apple Watch Series 6には、iPhone 11と同様、U1チップが内蔵された。これはUWB(ウルトラワイドバンド)での無線通信を受け持つチップで、通信するデバイス同士の向きや5mまでの距離を正確に把握することができる。

2020年6月にバーチャル開催された開発者会議WWDC20で発表された、iPhoneやApple Watchを自動車の鍵にする仕組み「CarKey」は現在、Apple Payと同じNFCを用いて、タッチすることで鍵を開ける仕組みを実現しているが、今後UWBで、タッチしなくても鍵を持っていれば解錠やエンジン始動ができる仕組みを実現していくロードマップがある。

Apple Watch Series 6がU1チップを内蔵したことで、自動車側の対応が進めば、腕に着けていれば車に乗れる仕組みを実現できることになるだろう。

iPhoneがそうであったように、生活に関わるさまざまな機能やサービス、あるいは自分の健康に関わるサービスがスマートウォッチに統合されていくと、ますます重要になるのはバッテリー持続時間だ。確かにSeries 6の電池の持ちは格段に良くなっている。しかし毎日の充電が必要なことも事実だ。

2020年モデルで根本的な改善が見られなかった点は残念なポイントであり、数日あるいは1週間充電不要なスマートウォッチを擁する他のメーカーにも、まだチャンスがあるといえる。

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提供元:新アップルウォッチの凄すぎる健康機能の全貌|東洋経済オンライン

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