2020.09.10
白露(はくろ)/秋の七草とともに感じる季節の変化
赤とんぼが秋を告げるころ
大気が冷えてきて、露(つゆ)を結ぶ様子から名づけられた「白露」(9月7日〜)。ようやく残暑が落ち着いて、秋を告げる赤とんぼがあちこちで空を彩り、本格的な秋の始まりです。
季節の始まりの初候は、秋の七草である萩(はぎ)、尾花(おばな)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)が野山に咲き乱れます。季節が進む次候では、梨やアワビが旬を迎え、セキレイの鳴き声を聞いたりオシロイバナを見かけるようになります。白露の終わりである末候は、昆布や秋ナスが旬を迎えるとともに、雄鶏のとさかのような赤い花を咲かす鶏頭(けいとう)が道端に咲くのを見ることができるでしょう。
かぜやアレルギーには心とからだのケアを
白露は心の状態が不安定になりやすい時期でもあります。心の状態は免疫機能に影響を及ぼしやく、感染症と皮膚の疾患にもつながりやすくなります。
またこの時期は朝晩の温度差が大きいことから、かぜを引きやすい時期です。自己免疫機能が落ちているため、花粉症やアレルギー性鼻炎、さらにはアトピーなどのアレルギーも引き起こしやすいとされています。東洋医学で「心身一如(しんしんいちにょ)」と呼ばれるように、心とからだは一体化しています。心を整えるためにも、まずはからだのケアが大事です。
下がった免疫機能を回復させるのは、運動が効果的です。季節のよいこの時期には、秋の気配を感じながら散歩をすることで、体幹部の筋肉を鍛えることをおすすめします。
気分が落ち込みやすい人には唐辛子
この季節の食事では、栄養を補充する山芋などがおすすめです。山芋は山薬と呼ばれるほどさまざまな効果が知られており、滋養強壮など加齢によるからだの衰えを補ってくれます。また、呼吸器症状や不眠症、お肌の引き締め作用などでも知られています。
一方、唐辛子は気分を発散してくれる作用があるので、気持ちが落ち込みやすい人には向いていますが、全身の血流がよくなるため、発汗しやすく、炎症などを起こしている人にはあまり向いていません。また、過度の摂取は粘膜を傷つけ、老化を早めてしまう可能性があるので、注意が必要です。
こころとからだの二十四節気2019年<白露>の記事はこちら ※外部サイトに遷移します
伊藤和憲(いとうかずのり)
鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。
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文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
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提供元:白露(はくろ)/秋の七草とともに感じる季節の変化|ワコール ボディブック